雑誌「Precious」2月号では【We are best friends!「アヤとネコ」の物語】と題し、最新のモードを纏った大政 絢さんと優美な被毛に包まれたネコが織りなすレヴュー・ショーをお届けしました。
まるで親友のように息の合ったアヤとネコが繰り広げる、華麗な競演に魅せられて。
今回は、俳人・小津夜景さんによるコラムと共に、「プラダ」のベルベットのプルオーバーをご紹介します。
Her Second Skin Theory(第二の皮膚理論)
文/小津夜景
猫という生き物は、その存在そのものが周囲の秩序を変調させる。ラグドールの満身は光を抱きながら揺れて見ている者の心を蕩かし、メインクーンの堂々たる量感は身じろぎするたび空間の重心をほんの少し動かす。ロシアンブルーの眼差しに至っては、金属の鋭さを湛えつつ周囲の輪郭に思いがけない緊張を刻む。
一方、彼女がモードを纏うときに生まれる気配は、まったく別の質を帯びている。猫の佇まいが自然による完成の一形態だとすれば、彼女の佇まいは直感と判断の連続とがその基盤となる。
服、靴、鞄、帽子、アクセサリー。そうした選択の断片が寄り合い、彼女のまわりに薄い膜を形づくる。どう立つか。どんな線を纏うか。どれだけの逸脱を自分に許すか。そのたびに、彼女は世界との距離を測り直し、わずかな差異の累積を自身の深みとして受け止めていく。動きに応じて変化するその薄い膜は、やがて彼女のもうひとつの皮膚として定着し、そこからは偶然までもが気を利かせて寄り添うかのごとき奇妙な現象がふいに起こるようになる。
猫と彼女は似ていると言われることがあるが、それは容貌だけの話ではない。どちらも騒がず、飾らず、それでいて世界の側をそっと調整してしまうあたりにおそらく通い合う品格があるのだ。美とは、意味に先んじて世界を再配列する力であり、その力をわずかな身振りで行使する点において、猫も彼女も稀有な存在なのである。
深みのある光沢をたたえたベルベットのプルオーバーと黒ネコの毛並みのいい佇まい。共通して漂うのは、仏語で育ちのよさを意味するbon ton(ボン トン)なムード。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- PHOTO :
- 伊藤彰紀(aosora)
- STYLIST :
- 高橋リタ
- HAIR MAKE :
- ヘア/SHOTARO(SENSE OF HUMOUR)、メイク/SHINOBU ABE(関川事務所)
- NAIL :
- 渡邉季穂(uka)
- MODEL :
- 大政 絢(Precious専属)、ひじき(猫)
- EDIT&WRITING :
- 下村葉月、福本絵里香(Precious)
- 撮影協力 :
- BACKGROUNDS FACTORY

















