【目次】
- 「貿易記念日」とは? 意味・由来・いつなのか解説
- 開港5港との関係をわかりやすく説明
- 「貿易」とは? 輸出入の仕組みを簡単に解説
- 日本の貿易の歴史|開国から現代まで
- 貿易赤字・黒字とは? 経済ニュースの基本用語
【「貿易記念日」とは? 意味・由来・いつなのか解説】
■「貿易記念日」とは?
キリスト教を禁制するため、海外渡航を禁止し、外国船の来航を長崎に限定した「鎖国」が始まったのは、江戸時代初期の1630年代。三代将軍徳川家光によって発令されましたね。実際には長崎以外にも対馬、薩摩、松前の4つの窓口を通じて周辺国との交易は行われていましたが、横浜・長崎・箱館の3港で自由貿易が開始されたのは安政6(1859)年5月28日。この日にちなんで制定されたのが「貿易記念日」です。
■なぜ6月28日?
安政6年5月28日を、現在使用している新暦に換算した日付(=6月28日)です。
■誰が、いつ制定?
「貿易記念日」を制定したのは通商産業省(現在の経済産業省)です。自由貿易がはじまって約100年後の昭和38(1963)年のことでした。
■由来
江戸幕府が、横浜、長崎、函館(当時の表記は「箱館」)の3港で、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、オランダの限定5か国との自由貿易を開始したことに由来します。
■目的
日本は資源が少ない国です。食料もエネルギーも資材も海外からの輸入に頼らざるを得ませんが、輸入した原材料で製品をつくって輸出し、経済を豊かにしてきました。資源は少なくても知恵や技術はある、ということですね。「貿易記念日」は、こうした「貿易の大切さを認識するため」に制定されました。
また、諸外国と良好な関係を築き、「お互いの文化を理解し合うきっかけにする」という願いも込められています。
【開港5港との関係をわかりやすく説明】
まず貿易相手となったのが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、オランダですが、この5か国に覚えはありませんか? そうです、「安政五箇国条約」を結んだ相手がこの5か国でした。安政5(1858)年、大老・井伊直弼が、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスの5か国と順次結んだ通商条約の総称ですね。勅許(天皇の許可)なく調印したので「安政の仮条約」とも呼ばれます。
実は、この条約で約束された開港地は、箱館、新潟、神奈川、兵庫、長崎の5港。しかし、貿易スタート時点では国内の準備や政治的な事情で足並みがそろわず、まずは横浜、長崎、箱館の3港を開港して自由貿易を始めたというわけ。
■神奈川? 横浜? どっちも開港地の候補ではなかった!
日米修好通商条約の交渉時、アメリカ側が望んだ開港地のなかに神奈川や横浜はありませんでしたが、幕府はアメリカ総領事のハリスに神奈川の開港を提案。日米和親条約ゆかりの地であり、江戸にいちばん近い港であったため、江戸が貿易に向けて開かれるときには必ず横浜が重要な場所になると訴え、ハリスがそれを受け入れたのです。
ハリスが考えていた神奈川とは、現在の神奈川区東神奈川あたりに置かれていた「神奈川宿」のこと。しかし外国人と日本人のトラブルを懸念した幕府は、人の往来が多い神奈川宿ではなく、小さな漁村に過ぎなかった「横浜」を主張。一方的に横浜に開港場(外国との貿易に使用される港)をつくってしまいました。これが“巨大都市・横浜”の始まりだなんて、面白いですね。
【「貿易」とは? 輸出入の仕組みを簡単に解説】
ここで「貿易」についておさらいしてみましょう。
■「貿易」とは?
簡単に言うと、「国と国との間で行う商品やサービスの売買」のこと。海外から原油や食料を購入したり、日本の企業が海外へ自動車を販売したりする活動が「貿易」です。
■基本は「輸入」と「輸出」
貿易の柱になるのは輸入と輸出です。どちらも国内売買とは異なる「税関」というステップが必要です。国をまたいでの売買では、当事者間での契約ののち、「税関」を通らなくてはなりません。これが貿易の大きな特徴です。国の窓口である「税関」に輸出入に必要な書類を提出し、認められたものが貿易対象となります。輸入時には「関税」という税金も課せられます。
■「貿易」はなぜ必要?
日本は資源がとても少ない国ですが、各国それぞれ資源の種類や量、そして生産能力も異なります。そこで、豊富な資源や得意とする製品などをほかの国に輸出し、足りない資源や不得手な製品を輸入することで、快適な生活を実現する――これが、貿易が必要な理由です。産業を発展させ、国民生活を豊かにする大きな原動力ともなっています。
【日本の貿易の歴史|開国から現代まで】
税関(Japan Customs)が発表している「統計で見る貿易の変遷」から、日本の貿易の歴史を見てみましょう。
■繊維産業の発展による「産業革命」
明治初期の日本の主な輸出品目は、生糸(きいと)、茶、水産物。主な輸入品目は綿織物、毛織物、砂糖、鉄類でした。絹の生糸は、絹織物を含めて輸出額全体の約4割を占めるほど。当時、絹は欧米でも贅沢品。富岡製糸場を中心に製造した、良質で安価な生糸を輸入した欧米諸国では、絹が幅広い階層の人に使用されるようになったのだとか。
明治中期になると、輸入した実綿や繰綿から生産した綿織糸や綿織物などの輸出が増えます。綿織物は昭和初期には輸出額全体の約2割を占めました。蒸気機関を利用した紡績機で、大量の綿製品を生産・輸出できるようにもなります。こうして軽工業分野での産業革命が進み、貿易立国としての礎を築きました。
■重化学工業とハイテク産業
昭和20(1945)年の日本の輸出入額は約13億円でしたが、戦後の民間貿易再開やGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が発足したこともあり、昭和30(1955)年には輸出入額は約1.6兆円に。
昭和後期の輸出の中心は、自動車や家電、コンピュータなどのハイテク機器に変わり、米国との貿易摩擦を背景に繊維製品の輸出割合は下がっていきました。軽工業から、重化学工業・ハイテク産業へとシフトしたという訳です。高品質な日本の自動車や家電は外国での需要が拡大。とくに自動車は長らく日本の輸出の柱となっています。
■IT産業の発展と半導体
1989年1月に平成時代が幕を開けましたが、当時の日本の主要な輸出品目は、引き続き自動車や半導体、鉄鋼でした。やがて自動車の輸出をめぐってアメリカとの間に貿易摩擦が起こり、平成初期には完成した自動車ではなく、自動車の部品の輸出が増加。日本から部品を輸入して現地で製造、というわけです。
■現代の主要な「輸出」と「輸入」
インターネットの普及など、ICT産業の発展に伴う半導体の世界的な需要増を背景に、「半導体」は日本の主要な輸出品目となっています。さらに、中国が半導体の製造に力を入れ始めたことなどを背景に、半導体製造用の機械の輸出がアジア向けを中心に増加。こちらも日本の主要な輸出品目となっています。
一方の輸入は、海外生産を主軸とするアパレルメーカーの台頭により、アジア諸国から衣類が大量に輸入されるようになりました。日本の企業が海外工場で製造した製品を輸入して販売することで、「衣類」は「原油」に次ぐ輸入品目に。また、普及し始めの携帯電話は国産が主流でしたが、平成後期のスマートフォンの普及により、韓国や中国からの輸入が増加しました。
そしてコロナ禍に見舞われた令和2(2020)年には、世界的に経済活動や物流の停滞が起こり、日本も自動車(や部品)の輸出や原油などの輸入が大幅に減少しました。しかし、マスクの着用やテレワーク推進など感染拡大の抑制取り組みによって、マスクやパソコンの輸入が一時的に増加。このように、貿易には社会情勢が如実に現れるのです。
【貿易赤字・黒字とは? 経済ニュースの基本用語】
■GDP(国内総生産)
1年間に新しく生み出された「儲け(付加価値)」の合計を言います。その国の「稼ぐ力」の合計によって経済規模を表す世界共通の物差しです。
■CPI(消費者物価指数)
全国の世帯が購入する財(食料、衣料など)やサービス(交通費、医療費など)の価格を総合してひとつの指数に表し、その時系列的な変動を測定するもの。総務省統計局が算出し、毎月公表しています。「CGPI(企業物価指数)」と並ぶ重要な物価指数として、景気の動向や物価対策などの資料として重視されています。
■インフレとデフレ
一般的な物価水準が継続的に上昇し続ける現象をインフレ(インフレーションの略)と言い、下落し続ける現象をデフレ(デフレーションの略)と言います。
■貿易赤字と貿易黒字
輸入額が輸出額を上回り、貿易収支が赤字状態にあることを「貿易赤字」といいます。その逆が「貿易黒字」です。日本は長く貿易黒字のイメージが強い国でしたが、近年は赤字が続いています。財務省の貿易統計(通関ベース)によると、2021年から2025年まで5年連続で貿易赤字であり、2022年には19兆9,713億円と過去最大の貿易赤字を記録しました。
■金融緩和
金融市場で資金の供給が需要を上回り、資金調達が容易になった状態。近年使われる「金融緩和」は、中央銀行が景気を刺激するためにとる調整政策の意味合いのことが多いですね。
■為替介入
国や地域の通貨当局が、自国通貨の為替相場を安定させるために、外国為替市場で通貨を売買すること。日本の場合は、財務大臣の指示に基づいて日本銀行が実務を遂行します。
■貿易収支
一国の輸出と輸入の差額のこと。日本では、「国際収支統計」の貿易収支(決済ベース)と、財務省が毎月発表する「貿易統計」の輸出入額から算出されるもの(通関ベース)があります。
■サプライチェーン
生産において、原材料や部品製造の“上流”から、営業やアフターサービスなど最終顧客と直面する“下流”まで、企業間の調達と販売活動に関連するあらゆる組織で結合された一連の流れをチェーン(鎖)に見立てた概念。簡単に言えば、製品やサービスの原料調達から販売に至るまでの一連の流れのことです。
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豊かで便利な生活に欠かせない「貿易」。この「貿易記念日」での解説を、ビジネス雑談に役立てて! 個人輸入も立派な貿易なんですよ。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/税関( https://www.customs.go.jp/ )/日経ビジネス( https://business.nikkei.com/ )/『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :

















