【目次】

【「鑑みる」とは?「読み方」と「意味」】

■「読み方」

「鑑みる」は、「かんがみる」と読みます。

■「意味」

「鑑みる」は、「過去の例や手本などに照らして考える」という意味の言葉です。「過去の失敗に鑑みる」「先例に鑑みる」のように使い、過去の事例や手本を参考にして、これからどうするべきかを考えるときに用います。

「鑑」という漢字には、「手本」や「模範」という意味があります。「鑑みる」は、もともと「かがみる」という言葉が変化したものです。「鏡」に由来するという説もあり、鏡に映して見ることから、「手本や先例などに照らして考える」という意味につながったとされています。


【「~に鑑みる」と「~を鑑みる」はどちらが正しい?】

「鑑みる」は、「過去の失敗に鑑みて対策を見直す」「先例に鑑みる」のように、「~に鑑みる」とする使い方が一般的です。文法的にも、比較や照合の対象を表す格助詞「に」を伴う「〜に鑑みる」が本来のかたちであるという説があります。一方で『精選版 日本国語大辞典』には「臣が忠義を鑒みて」という古い用例も収録されています。文化11年(1814年)から天保13年(1842年)にかけて刊行された『南総里見八犬伝』にも、「その信その義を神明鑑み」と「~を鑑みる」の用例があります。

従って、私たちが文章で「鑑みる」を使うなら、「〜に鑑みる」とするのが一般的ですが、「〜を鑑みる」も歴史的な用例があり、一概に間違いとは言えません。ただし、ビジネスシーンでのメールや公的な文書などでは、「〜に鑑みる」「〜に鑑みて」を使うのが無難と言えそうです。


【「鑑みる」と「考慮する」「踏まえる」「顧みる」の「違い」】

■「考慮する」との違い

「考慮する」は、「物事のさまざまな要素をよく考え合わせること」という意味です。「費用を考慮する」「相手の事情を考慮する」のように、考える対象に特に制限はありません。

一方で「鑑みる」は、過去の例や先例、手本などと照らし合わせて考えること。「過去の失敗に鑑みて対策を見直す」のように、過去の事例などを判断の材料にする点が特徴です。

■「踏まえる」との違い

「踏まえる」には、「判断のよりどころにする」「根拠とする」という意味があります。「現状を踏まえて計画を立てる」のように、事実や事情などを前提として、そのうえで判断したり行動したりするときに使います。

例や手本、状況などに照らして考えることに重点があります。一方、「踏まえる」は、事実や事情を判断のよりどころにするときに使います。どちらも現在の状況について使えます。

■「顧みる」との違い

「顧みる」には、「過去を振り返る」「わが身を反省する」のほか、「心にかける」「考慮する」という意味があります。

「過去を顧みる」のように過去を振り返る場合や、「健康を顧みない」のように何かを気にかける場合に使われます。「鑑みる」と同じように過去に目を向けることもありますが、「顧みる」は過去の事例などと照らし合わせて判断するという意味ではありません。


【ビジネスでの「鑑みる」の使い方と「例文」7選】

「鑑みる」は、やや硬い表現なので、日常会話よりも、ビジネスメールや会議資料、報告書などの文章で使われることが多いようです。「~に鑑みて」「~に鑑み、」のかたちで多く使われ、過去の経験や実績、問題点などを踏まえて、今後の方針や対応を検討するときに適しています。

■1:「御社のご要望は承知しました。過去の事例に鑑みて、今後の対応を検討いたします」

■2:「前年度の実績に鑑み、来年度の予算が決定するのがこれまでの慣例です」

■3:「この度はご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。今回の反省点に鑑みて業務フローを見直しましたので、ご確認ください」

■4:「市場環境の変化に鑑み、販売戦略を一部変更いたします」

■5:「このままでは損害が広がるばかりです。現状に鑑み、計画の見直しが必要ではないでしょうか」

■6:「これまでに発生したトラブルに鑑みて、安全対策の強化が不可欠です」

■7:「このたび、利用者から寄せられた意見に鑑み、サービス内容を改善しました」


【「鑑みる」の「類語」「言い換え」と「英語表現」】

「鑑みる」は、文章語としてやや硬い表現です。相手や場面によっては、よりわかりやすい言葉に言い換えることもできます。

■「考慮する」

■「踏まえる」

■「照らし合わせる」

「照らし合わせる」は、複数の事柄を比べて確かめたり、考えたりすること。「過去の事例に鑑みて」を「過去の事例と照らし合わせて」のように言い換えることができます。

■「鑑みる」の英語表現は?

「鑑みる」は、英語では文脈に応じて[in view of][in light of][considering]などで表現できます。

・In view of the research team's past achievements, funding for this project should be increased.
(研究チームのこれまでの実績に鑑みて、このプロジェクトの研究費を増やすべきです)

「現状に鑑みて」は[in light of the present situation]、「~という事実に鑑みて」は[in view of the fact that ...]などと表現できます。このように、「鑑みる」は英語のひとつの単語にそのまま置き換えるというより、「何を考慮して判断するのか」に合わせて表現を選ぶとよいでしょう。

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「鑑みる」は、日常会話ではあまり使われることがありませんが、ビジネス文書や公的な文章では目にする機会の多い言葉です。「過去の事例や状況などに照らして考える」という意味を押さえておけば、「考慮する」「踏まえる」との使い分けもしやすくなりますよ。少し硬めの表現だからこそ、意味を理解して適切に使いこなしたいですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)
/『類語例解辞典』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『ビジネス技術実用英語』(Project Pothos) :