【目次】

【「日本酒の日」とは?いつ、誰が制定した?】

■「日本酒の日」とは?

「日本酒の日」は10月1日。日本の伝統文化に根付いた「國酒(こくしゅ)」である日本酒を後世に伝え、より多くの人に親しんでもらいたいという願いを込めて、日本酒の魅力や文化に改めて目を向ける日として制定されました。

■「いつ」「誰が」制定した?

1978(昭和53)年に、日本酒の業界団体である日本酒造組合中央会が制定しました。10月1日が選ばれた背景には、酒造りの季節や「酉」とお酒の深い関係があります。


【「日本酒の日」が10月1日になった理由】

■酒造りが始まる季節だから

10月1日が「日本酒の日」とされた理由のひとつが、酒造りを行う時期です。日本酒造りには米が欠かせませんが、毎年秋になるとその年に収穫された新米が出回り始め、酒蔵では秋から冬にかけて酒造りの季節を迎えます。

また、かつて明治29(1896)年に制定された酒造税法では、10月1日から翌年9月30日までが『酒造年度』と定められていました。酒蔵では10月1日を『酒造元旦』とする風習も生まれ、こうした歴史が『日本酒の日』の制定につながっています。

なお、現在の酒造年度は7月1日から翌年6月30日までとなっています。そのため、10月1日が酒造年度の始まりというのは現在の制度ではなく、かつての酒造りの区切りに由来するものです。

■「酉」の字とお酒の深い関係

もうひとつの理由は、「酉」という漢字です。日本酒造組合中央会は、十二支の10番目にあたる「酉」と10月を結びつけて、「日本酒の日」の由来を説明しています。「酉」は「とり」と読みますが、もともとは酒壺の形を表す象形文字で、酒を意味していました。「酒」の字にも「酉」が使われています。

酒造りの季節と、お酒に関わる「酉」の字。こうした背景から、10月1日が「日本酒の日」に選ばれたのです。


【日本酒の「種類」と基礎知識】

■「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」の違い

日本酒のラベルには、「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」という表示がありますよね。これらは、主に原料や米の削り方、造り方などによって分類されています。

「純米酒」
米と米麹・水を原料として造った日本酒です。醸造アルコールを加えていないことが大きな特徴で、米本来の味わいや香りを楽しみやすいタイプといえます。

「本醸造酒」
米、米麹、水に醸造アルコールを加えて造ったもの。ただし、使用できる醸造アルコールの量には上限があり、精米歩合は70%以下と定められています。

「吟醸酒」
精米歩合60%以下の米を使い、低温でゆっくり発酵させる「吟醸造り」によって造られた日本酒です。果物のような華やかな香りが特徴で、「吟醸香」と呼ばれる独特の香りを楽しめるものもあります。

なお、『吟醸酒』には、醸造アルコールを使用する『吟醸酒』と、米・米麹のみで造る『純米吟醸酒』があります。吟醸酒のうち、精米歩合50%以下の米を使い、固有の香味と色沢が特に良好なものは「大吟醸酒」と呼ばれます。そのうち、醸造アルコールを使用せず、米・米麹・水を原料とするものが「純米大吟醸酒」です。

このように、「純米」「吟醸」「本醸造」は、単純に「高級・普通」といった違いではなく、原料や精米歩合、製法による分類です。ラベルを見るときは、こうした違いを知っておくと、日本酒選びがより楽しくなりますね。

■「甘口」「辛口」は何で決まる?

日本酒を選ぶとき、「甘口」「辛口」という表示を目にすることがあります。一般に、甘口は甘みを感じやすい日本酒、辛口は甘みが少なく、すっきりした味わいの日本酒を指します。

この違いを判断する目安のひとつが「日本酒度」です。日本酒度は、日本酒の比重を示す数値。一般に、アルコール度数が同程度なら、糖分が少ないほどプラス側に、多いほどマイナス側になります。そのため、プラスの値は辛口、マイナスの値は甘口の目安とされてきました。

ただし、日本酒の味わいは日本酒度だけで決まるわけではありません。酸度やアミノ酸度、アルコール度数なども味の感じ方に影響します。そのため、日本酒度が同じでも、酸味や旨味などによって「甘く感じる」「すっきり感じる」といった違いが生まれます。つまり「日本酒度が高い=必ず辛口」「日本酒度が低い=必ず甘い」とは限りません。ラベルの日本酒度はひとつの目安として、酸度などの表示や、実際の味わいも合わせて選ぶとよいでしょう。


【日本酒のおいしい飲み方|冷酒・燗酒の温度と料理との相性】

■「雪冷え」「花冷え」…って知ってる?

日本酒は、5℃前後から55℃以上まで、幅広い温度で楽しめるお酒です。同じ日本酒でも、温度によって香りや味わいの感じ方が変わるため、好みや酒のタイプに合わせて温度を変えてみるのも楽しみ方のひとつです。

冷たい日本酒には、温度によって「雪冷え」「花冷え」「涼冷え」という呼び名があります。5℃前後が「雪冷え」、10℃前後が「花冷え」、15℃前後が「涼冷え」です。一方、温めた日本酒には「日向燗」「人肌燗」「ぬる燗」「上燗」「あつ燗」「飛びきり燗」などの呼び名があり、それぞれ30℃前後から55℃以上まで、温度に応じた呼び名があります。

ただし、「日本酒は冷やせばおいしい」「燗にすればおいしい」と一律に決まっているわけではありません。日本酒造組合中央会では、日本酒を「香りの高いタイプ」「軽快でなめらかなタイプ」「コクのあるタイプ」「熟成タイプ」の4タイプに分け、それぞれに適した飲用温度を紹介しています。例えば、香りの高いタイプは10~16℃、軽快でなめらかなタイプは6~10℃、コクのあるタイプは10~45℃、熟成タイプは7~25℃が目安です。

■料理と日本酒の合わせ方

日本酒は、香りや味わいの違いによって、大きく4つのタイプに分けて考えることができます。日本酒造組合中央会では、「香りが高いか低いか」「味わいが若々しいか濃厚か」という2つの軸から、「香りの高いタイプ」「軽快でなめらかなタイプ」「コクのあるタイプ」「熟成タイプ」に分類しています。それぞれに合う料理も異なるので、これを知っておくと、料理から日本酒を選ぶときの目安になりますよ。

●香りの高いタイプ
華やかで透明感のある果実や花のような香りが特徴。味わいは甘さと丸味が中程度で、爽快な酸味とのバランスが取れています。山菜や魚介など、素材そのものの味を生かした料理と合わせると、日本酒の華やかな香りを楽しみながら、料理の味わいも引き立てられます。

●軽快でなめらかなタイプ
香りは穏やかで、清涼感があり、さらりとした味わいが特徴です。あっさりした料理や後味の軽い料理と相性がよく、例えば淡白な魚料理や野菜料理など、料理そのものの繊細な味を楽しみたいときに向いています。

●コクのあるタイプ
樹木や乳製品を思わせる旨味のある香りと、甘味、酸味、心地よい苦味が調和した、ふくよかな味わいが特徴です。鶏肉や豚肉、牛乳など、素材の旨味を生かした料理と合わせると、料理と日本酒の双方のコクを楽しめます。

●熟成タイプ
スパイスや干した果物を思わせる、力強く複雑な香りが特徴。とろりとした甘味と、よく練れた酸味が調和しています。しっかりした旨味を持つ、高タンパクな食材を使った料理と相性がよく、味の濃い料理などと合わせても楽しめます。

このように、日本酒と料理の組み合わせは「和食だから日本酒」というだけではありません。香りの華やかな酒には素材を生かした料理、軽快な酒にはあっさりした料理、コクのある酒には旨味のある料理、熟成した酒には味わいのしっかりした料理というように、酒と料理の個性を合わせてみると、いつもの食卓でも新しいおいしさを発見できそうです。

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新米が収穫される秋に始まる酒造り、「酉」の字にまつわる由来、そして日本酒ならではのさまざまな楽しみ方…。10月1日の「日本酒の日」は、身近なお酒の奥深さを知るよい機会です。

日本酒は海外でも人気が高まっており、輸出も拡大しています。2025年(令和7年)の日本酒の輸出額は約459億円で、前年比6%増。2015年の約140億円から見ると、10年間で約3.3倍にも増えているのですね!

普段は日本酒にあまりなじみがない人も、「日本酒の日」くらいは温度や料理との相性にも少しだけこだわって、ゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /日本酒造組合中央会(https://japansake.or.jp/sake/) /国税庁「清酒の製法品質表示基準」(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2022/pdf/052.pdf) /日本の心酒 地酒蔵元会(https://www.kuramotokai.com) /酒類販売管理研修(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hambai/moderutekisuto/pdf/r02_04_01.pdf?utm_source=chatgpt.com) :