【目次】

【「缶詰の日」はいつ?10月10日の由来と制定の背景】

■「いつ」?

「缶詰の日」は10月10日です。

■日付の「由来」は?

私たちの食卓ではすっかりおなじみの缶詰ですが、10月10日という日付は、日本で缶詰の本格的な生産が始まった日に由来します。

1877(明治10)年10月10日、北海道の開拓を担っていた開拓使(明治初期の官庁)が石狩に設けた「石狩缶詰所」で、石狩川で獲れたサケを原料に缶詰の製造が始まりました。アメリカから招いた技術者の指導のもと、製造機械を据え付け、缶そのものをつくるところから始めたという、当時としては本格的な缶詰工場でした。

■「誰が」決めた?制定の背景は

「缶詰の日」が制定されたのは、石狩缶詰所で缶詰の製造が本格的に始まってから110年後の1987(昭和62)年です。現在の公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会が、創立60周年を機に、石狩缶詰所で製造が始まった10月10日を「缶詰の日」と定めました。

ちなみに、日本で缶詰そのものが初めてつくられたのは、これより少し前のこと。「缶詰の日」は「日本で初めて缶詰がつくられた日」ではなく、本格的な缶詰生産の始まりに由来する記念日なのです。その歴史については、次で詳しく見ていきましょう。


【日本の缶詰の歴史|「缶詰の日」につながる石狩のサケ缶詰】

■日本で最初につくられた缶詰は?

「缶詰の日」の由来となった石狩缶詰所での製造開始は1877(明治10)年ですが、日本で初めて缶詰がつくられたのは、それより6年前の1871(明治4)年とされています。

手がけたのは、長崎の松田雅典(まつだ・まさのり)氏です。松田氏は長崎の外国語学校でフランス人教師から缶詰の製造技術を学び、イワシの油漬缶詰を試作しました。これが日本における缶詰製造の始まりとされています。明治政府が西洋の技術を積極的に取り入れていた時代。缶詰もまた、日本の新しい産業として期待されていたのです。

■石狩のサケ缶詰から本格生産へ

その後、缶詰の製造を産業として大きく前進させたのが、北海道の石狩でした。当時の石狩はサケ漁が盛んな土地。開拓使は、その豊富な水産資源を生かす産業として缶詰に着目しました。石狩缶詰所にはアメリカ製の製缶機や製造機械が導入され、アメリカ人技術者の指導を受けながら、缶そのものの製造からサケの加工、密封までを行いました。こうして日本で缶詰の本格的な生産が始まったのです。

当時はまだ、日本人にとって缶詰そのものがなじみの薄い食品でした。一方、石狩でつくられた缶詰は海外にも出品・輸出され、その後、缶詰の製造は全国へと広がっていきました。明治から大正、昭和へと時代が進むにつれ、サケやカニ、マグロ、イワシ、ミカンなどさまざまな缶詰がつくられ、日本の重要な輸出品へと成長していきます。


【缶詰はなぜ長持ちする?おいしさを保つ仕組み】

■缶詰が長持ちするのはなぜ?

缶詰は、保存料を使っているから長持ちする――そんなイメージをもっている人もいるかもしれません。実は、一般的な缶詰が長期間保存できる大きな理由は、「密封」と「加熱殺菌」にあります。

缶詰は、食品を缶に詰めたあと、空気を抜いて密封し、加熱して殺菌します。加熱によって食品を腐敗させる原因となる微生物をほぼ死滅させ、さらに密封することで、外部から新たな微生物が入り込むのを防いでいるのです。つまり、食品を傷みにくくしたうえで、外からも微生物が入れない状態をつくる。このふたつの仕組みによって、常温での長期保存が可能になっているというわけです。

■「保存料なし」でも長期保存が可能

缶詰は密封した状態で加熱殺菌するため、保存料を使わずに長期保存できるのも特徴です。

また、缶の中の空気を抜く「脱気」には、食品の酸化を抑え、色や風味などの品質を保ちやすくする役割もあります。缶の内部を外気から遮断することで、食品を長く保存できる環境が保たれているのです。

密封された小さな缶の中には、「脱気」「密封」「加熱殺菌」という、食品を安全に長く保存するための工夫が詰まっているのですね。


【缶詰の賞味期限と保存方法|開封前・開封後の注意点】

■「賞味期限」はどのくらい?

長期保存できる缶詰ですが、もちろん「賞味期限」はあります。賞味期限とは、表示された方法で保存した場合に、おいしく食べられる品質が保たれる期限のこと。期限を過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるという意味ではありません。

缶詰の賞味期限は商品によって異なりますが、一般的には製造から3年程度に設定されているものが多いようです。ただし、まず確認したいのは缶に記載された賞味期限。保存期間を自己判断せず、商品の表示を確認しましょう。また、賞味期限は未開封で、表示された方法に従って保存した場合の期限です。直射日光が当たる場所や高温多湿になる場所を避け、温度変化の少ない場所で保存するのが基本です。

■開封した缶詰はどう保存する?

一度缶を開けると、密封によって保たれていた保存性は失われます。そのため、開封後は賞味期限にかかわらず、できるだけ早く食べきるのが基本です。

食べきれずに残った場合は、清潔な容器に移してラップやふたをし、冷蔵庫へ。特に果物など、内面を塗装していないブリキ缶に詰められたものは、開封後に缶のまま置いておくと、空気に触れてスズが溶けやすくなるため、別の容器に移すことが推奨されています。また、未開封でも、缶が膨らんでいる、液漏れしている、継ぎ目に異常があるなど、明らかな変化が見られるものは食べないようにしましょう。賞味期限だけでなく、缶そのものの状態を確認することも大切です。


【缶詰を日々の食卓に|手軽に楽しむアレンジのヒント】

■「そのまま」からひと手間加えて

開ければすぐに食べられる缶詰は、忙しい日の食事にも便利な存在。そのまま食べるだけでなく、いつもの料理に加えるだけで、メニューの幅がぐっと広がります。すでに加熱調理されているものが多く、面倒な下ごしらえを省けるのもメリットです。

例えば、サバやイワシなどの魚の缶詰は、パスタや炊き込みご飯、サラダなどに。味噌煮やしょうゆ煮なら、豆腐や野菜と合わせて煮るだけでも立派なおかずになります。ツナ缶はサンドイッチや和え物、炒め物のほか、卵料理やチャーハンなど、和洋を問わず使える万能選手。焼き鳥など味つきの缶詰なら、卵でとじて丼にしたり、野菜と一緒に炒めたりすれば、短時間でボリュームのある一品が完成します。

トマト缶や豆の缶詰、コーン缶なども常備しておくと便利です。スープやカレー、煮込み料理などに加えるだけで、手軽に具材をプラスできます。包丁やまな板を使わずに調理できるものも多いので、「もう一品欲しい」というときにも頼りになります。

■缶汁も料理に活用

魚介類などの缶詰では、缶の中の汁にも素材のうま味が含まれています。煮物やスープ、炊き込みご飯などに使えば、缶詰の味わいを丸ごと料理に生かすことができます。水煮、味噌煮、しょうゆ煮など、それぞれの味つけに合わせて料理を考えるのも、缶詰を上手に使いこなすコツ。

また、長く保存できるからと棚の奥にしまい込んでしまうと、気づいたときには賞味期限が近づいていた、ということも。普段の食事に取り入れながら、食べた分を買い足していけば、無理なく一定量を常備できます。

そして、日頃から食べている缶詰なら、いざというときにも「いつもの味」として活用できます。こうした普段使いの缶詰は、実は防災備蓄にも役立ちます。次章では、缶詰を防災に役立てる方法を見ていきましょう。


【「缶詰の日」に見直したい防災備蓄|ローリングストックへの取り入れ方】

■そもそも「ローリングストック」って?

地震や台風などの災害に備えて、食品を用意しておくことは大切です。とはいえ、非常食を買って長期間しまったままにしておくと、いざというときに賞味期限が切れていた、ということも。そこで取り入れたいのが「ローリングストック」です。

ローリングストックとは、普段から少し多めに食品を買っておき、日常の食事で使った分だけ買い足して、一定量の食品を家庭に備蓄しておく方法。特別な非常食だけを用意するのではなく、いつも食べている食品を「食べる→買い足す」と循環させながら備えるのがポイントです。

缶詰は常温で長期間保存でき、開ければそのまま食べられるものも多いため、ローリングストックにも取り入れやすい食品です。普段から食べているものなら、災害時にも取り入れやすく、好みに合わず食べられないといった心配も減らせます。

■どんな缶詰が「防災備蓄」向き?

備蓄というと、つい保存期間の長さに目が向きがちですが、「普段から食べたいもの」を選ぶことも大切です。サバやイワシ、ツナなどの魚、焼き鳥などの肉類、豆やコーン、果物など、種類を組み合わせておけば、食事のバリエーションも広がります。災害時には、電気やガス、水道が使えず、普段どおりに調理できない可能性もあります。そのため、加熱しなくても食べられるものや、缶を開けるだけで食べられるものを用意しておくと安心です。プルトップ式でない缶詰を備える場合には、缶切りも忘れずに。

そして大切なのは、備蓄したあとも、定期的に見直すこと。定期的に賞味期限や缶の状態を確認し、期限の近いものから日々の食事に使って、その分を補充してくださいね。

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「缶詰の日」の由来をたどってみると、明治時代、北海道のサケを長く保存し、遠くへ届けるために始まった缶詰づくりに行き着きます。150年近くたった今では、私たちの毎日の食事を助け、さらには災害への備えにもなっていることがわかりますね。

改めて考えてみると、缶詰はなかなかの優れもの。常温で長く保存でき、開ければすぐに食べられ、料理にも使えるうえ、「もしも」のときには頼れる非常食にもなります。10月10日の「缶詰の日」には、食品庫に眠っている缶詰をチェックしてみてはいかがでしょう。賞味期限が近いものが見つかったら、それを今夜の一品に。食べたら、またひとつ買い足しておく――それだけで、いつもの食事が未来への小さな備えにもなるのです。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会(https://www.jca-can.or.jp/useful/) /農林水産省消費期限と賞味期限」(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html?utm_source=chatgpt.com) /石狩市「開拓使石狩缶詰所」(https://www.city.ishikari.hokkaido.jp/museum/1001801/1004573/1004698.html?utm_source=chatgpt.com) :