余らせて味が落ちてしまったパンを、おいしくいただくには? レシピ開発や飲食店プロデュースなど食に携わる幅広い分野で活躍するフードコーディネーターのよしもとこゆきさんに、食べきれず余ってしまった「昨日のパン」を生まれ変わらせるレシピを教えていただきました。


カリッと焼けたバゲット、フワフワの食パン――焼き立てのパンのおいしさは格別ですが、食べきれずに持て余してしまったことはないでしょうか。乾いてカチカチになった「昨日のパン」は、せっかくのおいしさが半減してしまいます。

ところが、パン文化の欧米には、余ったパンをおいしく食べるための料理がたくさん存在します。ほんのひと手間で、乾いたパンもごちそうに。「昨日のパン」を上手に使って、おいしい一皿に変身させてみませんか?

今回ご紹介するのは、「パッパアルポモドーロ」という、イタリアはトスカーナ地方の伝統料理。余ったパンをトマトソースで煮込んだ、日本語にするならば「トマトのパンがゆ」のような料理です。

その昔、農家の人が古くなったパンをおいしく食べるために生まれた料理だそうで、余ったパンを使うのにうってつけ。トマトの酸味がさわやかで、体調の悪いときや、食欲の落ちる暑い時期にもおすすめの一皿です。

「パッパアルポモドーロ」におすすめのパンは?

固くなってしまった「昨日のパン」をおいしく生まれ変わらせよう
固くなってしまった「昨日のパン」をおいしく生まれ変わらせよう

パッパアルポモドーロに適しているパンは、バゲットやカンパーニュ、食パンなどの食事パン。ブリオッシュやクロワッサンなどの油分や甘みの強いものよりも、リーンなパンが向いています。

それでは早速、「昨日のパン」でパッパアルポモドーロをつくってみましょう。

「パッパアルポモドーロ」のつくり方

【材料】2名分・所要時間:25分

パッパアルポモドーロの材料
パッパアルポモドーロの材料

・パン(バゲットなどの食事パン)=100g
・トマト=300g(1個~2個)※トマト缶(200g)でもOK
・オリーブオイル=大さじ1
・にんにく=1片
・鷹の爪(輪切り)=ひとつまみ
・生バジル=3~4枚
・コンソメ(顆粒)=大さじ1
・塩=ひとつまみ
・こしょう=少々
・熱湯=300ml

【準備】

パンはひと口大にちぎるか、包丁で切っておく。にんにくはみじん切りにしておく

パンはひと口大にし、にんにくはみじん切りにする
パンはひと口大にし、にんにくはみじん切りにする

【手順】

(1)パンに熱湯を注ぎ、10分ほど浸してやわらかくする

パンに熱湯を注ぐ
パンに熱湯を注ぐ

(2)トマトは湯むきし、角切りにする

※トマト缶でも代用できますが、旬の季節はフレッシュな生のトマトがおすすめです
※トマト缶でも代用できますが、旬の季節はフレッシュな生のトマトがおすすめです

(3)鍋にオリーブオイル、にんにく、鷹の爪を入れ、弱火で熱する。香りが立ったら(2)を加えて中火で炒める

オリーブオイル、にんにく、鷹の爪を熱する。焦がさないよう注意
オリーブオイル、にんにく、鷹の爪を熱する。焦がさないよう注意
トマトを加え、中火で炒める
トマトを加え、中火で炒める

(4)トマトの形が崩れてきたら、(1)を湯ごと加える。コンソメを加えて弱火にし、焦げないようたまに混ぜながら15分煮込む

湯に浸したパン、コンソメを加える
湯に浸したパン、コンソメを加える
焦げないように混ぜながら弱火で煮込む
焦げないように混ぜながら弱火で煮込む

(5)ペースト状になったら器に盛り、オリーブオイル(分量外)を回しかける。バジルを飾ってできあがり

仕上げにオリーブオイルをかける
仕上げにオリーブオイルをかける
バジルを飾り、できあがり
バジルを飾り、できあがり

トマトの酸味がさわやかな一皿。冷やしてもおいしい!

パッパアルポモドーロの完成
パッパアルポモドーロの完成

パッパアルポモドーロの完成です。すっかり乾いて固くなったパンも、煮込まれてトロトロに。できたてはもちろん、冷やして食べるのもおすすめです。暑くて食欲が出ないときも、これならペロリと食べられそう。

パッパアルポモドーロの「パッパ」とは、イタリアの幼児ことばで食べ物という意味。日本語では「まんま」といったところでしょうか。その名の通り、イタリアでは離乳食がわりにも食べられています。トマトのさわやかな酸味とにんにくの香りが食欲をそそり、消化がいいので唐辛子を抜いてつくれば小さなお子さんの食事にもぴったりです。

余ってしまった昨日のパンも、工夫次第でおいしい一皿に。トマトのおいしい季節に、ぜひ「パッパアルポモドーロ」をお試しください。

 
 
よしもとこゆき
フードコーディネーター、ライター
世界にもっと、「おいしい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。
この記事の執筆者
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よしもとこゆき
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