曲線が美しいボディは意外なほど大柄

 
 

イタリアらしい官能的なデザインとドライビングフィールが魅力のマセラティから昨年リリースされたSUV、「レヴァンテ」。足掛け10年以上に及ぶ開発の末に誕生したこのニューモデルは、いまや百花繚乱のSUVカテゴリーにおいても鮮烈な存在感を放っている。その理由のひとつがスタイリングで、最新のコンセプトカー「アルフィエーリ」同様の、シャープな目つきと大きく口を開けたフロントグリルが力強さとスピード感を表している。そして全体的に丸みを帯びたボディは全長約5m、全幅も約2mと大柄。ホイールベースも3005㎜と長くとってあり、実車を前にすると写真以上の迫力だ。

スポーツモードと4WDがもたらす充実感

 
 

パワーユニットは3ℓのV型6気筒で、出力の異なる2種類のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが選べる。「レヴァンテ」に限らずマセラティのエンジンは自社で設計し(ディーゼルは専門企業のVMモトーリ製)、フェラーリのマラネロ工場で製造されていて、今回試乗したのは低出力版(350馬力)のガソリンエンジンを積む「レヴァンテ」。低回転から頼もしいトルクを発揮し、多少ラフにアクセルを踏み込んでもトルク配分式の4WDで、危なっかしさは微塵もない。なお、「レヴァンテ」には車高調整機能が付いていて、ラフロードにも繰り出しやすい。今回はオンロードのみでの試乗だったが、以前、同じ4WDシステムを積むスポーツサルーン「ギブリQ4」に試乗した際、不意の大雪に見舞われたにもかかわらず(しかもノーマルタイヤ)、アクセルとステアリングを懸命に駆使してロケ先から帰京することができた。スタッドレスタイヤを履いていれば、より安心感の高いドライブが満喫できたはずだ。

 

 

イタリア車ならではの色や素材が揃う
 

 
 
 
 

頼もしいV型6気筒ツインターボを積む「レヴァンテ」には、マセラティなら欠かせない「音の愉しみ」も備わっている。走行モードを「スポーツ」にすると、エンジンのパフォーマンスを最大限に発揮すると同時に低く乾いた咆哮を奏で始める。足元も引き締まり、SUVならではの高い視点を除けば、そのフィーリングと走りはスポーツカーそのものだ。そして、イタリア車ならではの魅力を堪能するならば、インテリアにもこだわりたい。「レヴァンテ」の標準モデルにはレザーシートが標準装備されるが、試乗車にはオプションのフル・プレミアムレザーが装備されていて、ソファでも有名なポルトローナ・フラウの素材を使った、張りと艶のある質感がたまらなく快適だった。さらにエルメネジルド・ゼニアのシルクを使ったコンビレザーのオプションも選べ、こちらも実にラグジュアリー。絶妙な色合いのボディカラーも豊富に揃え、ブレーキパッドの色までも選べる「レヴァンテ」なら、たとえ納期が余計にかかっても構わないという気にさせてくれる。

〈マセラティ・レヴァンテ〉

全長×全幅×全高:5004×1968×1679(標準時)㎜
排気量:2979cc
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
最高出力:350PS/5750rpm
最大トルク:500Nm/4500rpm
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速AT
価格:1080万円~(税込)※ディーゼルエンジン搭載モデルは976万9090円~。
マセラティ コールセンター ☎︎0120-965-120

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。