理性ある大人のクルマ選びはなかなかに難しいもの。シチュエーションにあわせてクルマを複数台持つのは理想的かもしれないが、それも決してスマートとは言い切れない。そこで選びたいのが、シーンを問わずに連れ出せるプレミアムSUVである。このセグメントに新しく加わったレクサスの最高峰SUV「LX」はまさに真打ち登場の感があった。
高速巡航でも風圧をものともせずに突き進む
新型LXは昨年フルモデルチェンジを果たしたトヨタ・ランドクルーザーと同じく、悪路でも根を上げない強靭な、それでいて軽量の新開発ボディ・オン・フレーム構造の“GA-Fプラットフォーム”を採用。加えてボディへのアルミパネルの採用範囲の拡大や3.5ℓV6ツインターボユニットの搭載などにより、先代モデルに比べて約200kgの軽量化を果たしたのがトピックだ。それらはもちろんオン/オフロードを問わないダイナミック性能や燃費性能の向上を狙った方策であり、実際、新型LXは期待どおりの走りっぷりを披露してくれた。
まず感じられるのはフットワークの軽さ。新型は先代に比べて排気量こそダウンサイズされたものの、2個のターボ過給のおかげで出力が向上。ピックアップはよりシャープになり、2.5トン超の巨体を軽々と押し進めてくれる。その印象はワインディングロードでも変わらず、電動パワーステアリングの素直な反応とともに、穏やかな姿勢変化を許しながらスイスイと駆け抜けていけるのが心地いい。特に高速巡航では油圧式車高調整システムを備えたアクティブハイトコントロールサスペンションによる安定性の高さが際立ち、風圧をものともせずに突き進んでいけるのが印象的だった。
ストロークの長いサスペンションで悪路をこなす
オフロードでの振る舞いも頼りがいのあるものだった。コブの続くモーグル路や岩場などは長いサスペンションストロークを生かしたトラクション性能と適切な駆動力配分で走破性の高さを見せつけつつ、直接的な衝撃を和らげる緻密な制御で快適にクリアして行ける。ハードな路面ですでに感心しきりだから、多少の悪路ならば涼しい顔でやり過ごすのは間違いない。まさにワールドワイドに活躍するレクサスならではの躾けといえるだろう。
そんな上質さのうえに成り立つ安心感はレクサスの真骨頂。威風堂々としながら洗練されたフォルムはフォーマルなシーンでもしっくりと馴染み、童心に帰ってアウトドアフィールドを楽しむときもスマートに振る舞うことを忘れないのがレクサスLX。酸いも甘いも嚙み分けた、大人の冒険家にとっての格好の相棒である。
【レクサスLX600“エグゼクティブ”】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:5,100×1,990×1,895mm
車両重量:2,600kg
駆動方式:4WD
エンジン:3,444cc V型6気筒ツインターボ
最高出力:305kW(415PS)/5,200rpm
最大トルク:650Nm/2,000~3,600rpm
車両本体価格:¥18,000,000
問い合わせ先
- TEXT :
- 桐畑恒治 自動車ライター