理性ある大人のクルマ選びはなかなかに難しいもの。シチュエーションにあわせてクルマを複数台持つのは理想的かもしれないが、それも決してスマートとは言い切れない。そこで選びたいのが、シーンを問わずに連れ出せるプレミアムSUVである。このセグメントに新しく加わったレクサスの最高峰SUV「LX」はまさに真打ち登場の感があった。

高速巡航でも風圧をものともせずに突き進む

新型LXではレクサスのアイコンであるスピンドルグリルがより大胆な意匠となり、フラッグシップらしい迫力を醸し出している。
新型LXではレクサスのアイコンであるスピンドルグリルがより大胆な意匠となり、フラッグシップらしい迫力を醸し出している。
ボディサイズは全長5100mm、全幅1990mm、全高1885~1895mmと先代LX570よりもわずかに拡大された。
ボディサイズは全長5100mm、全幅1990mm、全高1885~1895mmと先代LX570よりもわずかに拡大された。

新型LXは昨年フルモデルチェンジを果たしたトヨタ・ランドクルーザーと同じく、悪路でも根を上げない強靭な、それでいて軽量の新開発ボディ・オン・フレーム構造の“GA-Fプラットフォーム”を採用。加えてボディへのアルミパネルの採用範囲の拡大や3.5ℓV6ツインターボユニットの搭載などにより、先代モデルに比べて約200kgの軽量化を果たしたのがトピックだ。それらはもちろんオン/オフロードを問わないダイナミック性能や燃費性能の向上を狙った方策であり、実際、新型LXは期待どおりの走りっぷりを披露してくれた。

まず感じられるのはフットワークの軽さ。新型は先代に比べて排気量こそダウンサイズされたものの、2個のターボ過給のおかげで出力が向上。ピックアップはよりシャープになり、2.5トン超の巨体を軽々と押し進めてくれる。その印象はワインディングロードでも変わらず、電動パワーステアリングの素直な反応とともに、穏やかな姿勢変化を許しながらスイスイと駆け抜けていけるのが心地いい。特に高速巡航では油圧式車高調整システムを備えたアクティブハイトコントロールサスペンションによる安定性の高さが際立ち、風圧をものともせずに突き進んでいけるのが印象的だった。

ストロークの長いサスペンションで悪路をこなす

物理スイッチが適所に配されるのは、機能性を重視したSUVならではのレイアウトと言えるだろう。ランドクルーザーと同様に指紋認証のスターターが採用される。
物理スイッチが適所に配されるのは、機能性を重視したSUVならではのレイアウトと言えるだろう。ランドクルーザーと同様に指紋認証のスターターが採用される。
セミアニリンレザーを用いたシートは乗員の体を優しく包み込み、オン/オフロードを問わず快適な掛け心地を提供してくれる。
セミアニリンレザーを用いたシートは乗員の体を優しく包み込み、オン/オフロードを問わず快適な掛け心地を提供してくれる。

オフロードでの振る舞いも頼りがいのあるものだった。コブの続くモーグル路や岩場などは長いサスペンションストロークを生かしたトラクション性能と適切な駆動力配分で走破性の高さを見せつけつつ、直接的な衝撃を和らげる緻密な制御で快適にクリアして行ける。ハードな路面ですでに感心しきりだから、多少の悪路ならば涼しい顔でやり過ごすのは間違いない。まさにワールドワイドに活躍するレクサスならではの躾けといえるだろう。

 そんな上質さのうえに成り立つ安心感はレクサスの真骨頂。威風堂々としながら洗練されたフォルムはフォーマルなシーンでもしっくりと馴染み、童心に帰ってアウトドアフィールドを楽しむときもスマートに振る舞うことを忘れないのがレクサスLX。酸いも甘いも嚙み分けた、大人の冒険家にとっての格好の相棒である。

エグゼクティブのリアシート。座席間コンソールのタッチパネルで多彩なシートのアレンジやエアコンの調整が可能。
エグゼクティブのリアシート。座席間コンソールのタッチパネルで多彩なシートのアレンジやエアコンの調整が可能。
新採用のGA-Fプラットフォームの強靭さが際立つオフロード走行。長いサスペンションストロークを生かした接地性の高さは安心感の賜物である。
新採用のGA-Fプラットフォームの強靭さが際立つオフロード走行。長いサスペンションストロークを生かした接地性の高さは安心感の賜物である。

【レクサスLX600“エグゼクティブ”】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:5,100×1,990×1,895mm
車両重量:2,600kg
駆動方式:4WD
エンジン:3,444cc V型6気筒ツインターボ
最高出力:305kW(415PS)/5,200rpm
最大トルク:650Nm/2,000~3,600rpm
車両本体価格:¥18,000,000

問い合わせ先

レクサス

TEL:0800-500-5577

この記事の執筆者
自動車専門誌『CAR GRAPHIC』で編集記者として取材・執筆から進行管理のデスク業務を担当したのち、ライター・エディターとして独立。専門知識を軸に読み手の知的好奇心を刺激する記事の執筆を心がける。
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