取引先や営業先などの会社に招かれたとき、生きてくるのが「訪問マナー」の心得。すでに身についていると思っても、今さら聞けないことも、実はたくさんあるものです。でも、今さらながら聞く機会って、なかなかありませんよね。
訪問先を去った後で、「あの人、ちょっと…」と思われないために、ぜひ正しいマナーをこっそり確認しておきましょう。今回は、マナー講師の藤島久美子さんに、「迷いがちだけれど改めて覚えておきたい訪問先マナー」を3つ、教わります。
■1:出されたお茶やお菓子には手をつけるべき?
まずは知っているものの、やはり気になるのが、出されたお茶やお菓子について。手をつけるかどうか、迷うことはありませんか? 藤島さんはマナーの観点から次のように話します。
「冬場のお茶、夏場の冷茶や麦茶など、お茶は来客に対する『心遣い』そのもの。相手の気持ちに応えるためにも、ひとくち口をつけてかまいません。ただし、謝罪に伺った場合は例外です。
また口をつけるタイミングは大事です。基本は『どうぞと先方に勧められてから』、あるいは用件が一段落したときに、『頂戴いたします』と一言お伝えしてからです。
私の経験で、ビジネスの用件に集中していて、出されたお茶に手をつけずに辞去しようとしたとき、『宇治のお茶屋さんで入れ方を勉強しているんです。ぜひ一口だけでも』と言われたことがあります。いただくのは『心』なのです。でも、すすめられたからといって、あわてて飲み干すのはNG。またお菓子については、商談中に手をつけるのはNG。商談後に出されたお菓子は、状況によっていただいてもよいでしょう」
お茶はタイミングを見て口をつける、お菓子は商談後の雰囲気や状況によっていただくか判断するのが大切なようです。
■2:会社訪問時にやってしまいがちな盲点とは? 3つの実例
40代以上のキャリア女性にとっては、会社訪問は慣れたものではないでしょうか。でも、もしかしたら盲点になっているマナーもあるかもしれません。藤島さんに具体的に、やってしまいがちだけれどよくない例を3つ挙げていただきました。
【パターン1】先方にタクシーで向かう際のマナー
「相手の会社の正面に、タクシーを乗り付けていませんか? 少し手前で降りるのがマナーです」
【パターン2】先方の会社の受付などで担当者を待っている際のマナー
「部屋に通され、待っているときに、足を組んだりカバンやコートを無造作に広げたり、電話をしたりしていませんか? 膝をつけてコンパクトに座って待つことは、ビジネスマナーの基本です」
【パターン3】ミーティング後、辞去する際のマナー
「立ち上がった後、座っていた椅子を元の位置に整えていますか? 部下が直すからいいと無意識に思っているかもしれません。横柄な印象、雑なふるまいは、魅力的ではありません」
以上すべては、横柄に見られないこと、謙虚な心を表すことにつながっています。会社訪問は、一緒に仕事をするパートナーのおひざ元に伺うということ。堅苦しくなるのではなく、信頼を損なわない振る舞いを心がけたいものです。
■3:会社訪問にふさわしい女性の服装マナーは?
訪問時のファッションは「顔色がよく見える白や薄いグレーのトップスや、落ち着いて見えて信頼度が高まるネイビーのジャケットがいい」とはPrecious.jpでもたびたびお伝えしてきていますが、マナーの観点からすれば、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
「相手の業種業態、社風に合わせたファッションであるかが最大のポイントです。例えば、クライアントが病院・医療機関であれば控えめファッションに加えて、香水なし、ネイルなし、もしくは控えめネイルが原則です。先方がクリエイティブな業種でしたら自由度は高いと思いますが、一般的には次のものはNGです」
避けたほうがいいアイテム5つ
・スイングイヤリング
・胸の空いたトップス
・柄や模様のあるストッキング
・ピンヒールの靴
・ミュールなどのサンダル
「また最近は下着の色や模様が見えても気にしない人が増えていますが、上品とはいえません。
その他、訪問先では、コートは社屋外で脱ぎ、外側が中、内側が外になるように、つまり中表に畳んで持って訪問するのが基本です。これは外部でコートについたかもしれないチリなどを、社内に広げないための心遣いです。意外と”コートを中表に”ができていない方が見受けられますので、実践できると評価が高まる一助になると思います」
基本的なことはある程度、心得ていると思っていても、意外と盲点になっていたことはありませんでしたでしょうか? もし抜けていたことがあれば、明日から実践して、相手先企業とよりスムーズに、着実な仕事ができるヒントにしていただければ幸いです。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利