「ブラックのレザージャケットをおもちの方は多いと思いますが、意外とクローゼットのなかで眠っていませんか?」というのは、スタイリストの大西陽一さん。かつて一斉を風靡したアイテムだけに、世代によっては新鮮味に欠けることもあるかもしれませんが、実は永遠のベーシックアイテムでもあります。
今回は、大西さんが実際にミラノのストリートで見つけたマダムたちのスナップ写真を見ながら、着こなしの幅を広げるヒントを探っていきましょう。
実は永遠のベーシック!上質な「黒のレザージャケット」が1着あればいい
「ブラックレザー=ハード」というイメージが根強くもありますが、実は季節の変わり目などにも重宝する「ブラックレザージャケット」。ここでは、イタリアンマダムたちがこぞって愛用するアウターに、改めて注目していきます。
■1:スタンダードをスニーカーで外す
一見スタンダードなブラックスタイルで颯爽と歩くこちらのマダム。パンプスなど上品なヒール履を合わせがちな万能スタイルに鮮度を与えたのは、スニーカーの存在でした。
「ミラノでも定番化しているスニーカーの外し技ですが、イタリアンマダムは、どんなスタイルにもエレガントに合わせているように思います」と大西さん。「プラス、シャネルのチェーンバッグ! 上手にトレンドに寄り添っていますよね」。
パーティーにも出席できそうな女性らしいスタイルに、あえてスニーカーを合わせる、その潔さが、フレッシュにアップデートできるポイントです。
■2:さり気なく品格を宿す、上質な素材感
「白Tシャツにデニムという、カジュアルの王道スタイルを品良く着こなすには、上質レザーの質感が何よりも大事!」と、大西さん。「袖をキュッと上げたときにしなやかなシルエットが生まれるのは、上質素材の証。普通に見えて普通ではない物選びは、さすがですね」。
カラーリングをワントーンでまとめたり、こなれ感のあるダメージデニムを選ぶなど、品格あるカジュアルスタイルは、まさに大人女性のお手本的スタイルといえます。
■3:ストリート発信の異素材ミックス術
「彼女は、長年愛用しているであろう、自分の肌になじんだレザーの質感が、主張の強い柄と絶妙に馴染んでいます。王道のライダースジャケットを、トレンドと上手く調和させている、その発想が自由でいいですね」
ジャケットだけではハードにも見える、ワンピースだけでは主張が強すぎる。それぞれのもつ違った個性を引き立て合う独自のミックス術は、ストリート発信のよさを感じさせます。ライダースの袖をきちんと通すのではなく肩掛けにしたり、ホワイトスニーカーを合わせたり、絶妙なこなれ感を漂わせる着こなしテクニックも盗みたいポイントです。
■4:独自のスタイルを貫く!
「自転車に乗って近づいてくるときのインパクトの強さといったら……こちらのマダムには、正直目を奪われました!(笑)」と大西さん。「スタイリッシュかどうかは、それぞれの見解にお任せいたしますが、『好きなものを好きに着る』という、外国人ならではの自分のスタイルを貫くその姿勢に惹かれます」。
なんともミラノらしい着こなしには衝撃が走りますが、保守的ではないセンスからは勇気をもらえます。トレンドを追うだけではなく、自分という個性を引き出すスタイルにチャンレンジしてみることで、新たな発見があるかもしれませんね。
■5:イケメンの着こなしも要チェック!(おまけ)
「中性的なムードを放っていた彼は、女性なのか男性なのか!? 近くで見るまで謎めいていた彼ですが、とにかくバレエダンサーのように美しいスタイルが際立っていました。こんな素敵な着こなしの男性と一緒にカップルコーデを楽しむ、そんな夢を抱くのも、ファッションモチベーションを上げる要素として必要かもしれませんね」
一見ハードな印象の強いブラックのレザージャケットですが、ミラノのストリートスナップを見ていると、アレンジ次第でさまざまなスタイルを楽しめることに気がつきます。自由な発想でおしゃれを楽しむイタリアンマダムたちのように、まずは自分の取り入れやすいスタイルから挑戦してみてください。
- TEXT :
- 大西陽一さん スタイリスト
- PHOTO :
- 大西陽一
- EDIT&WRITING :
- 石原あや乃