服&雑誌ヲタがつくった伊丹十三特集

早いもので、今年も最後のメンズプレシャスが完成しました。今回は計43ページの「伊丹十三特集」。正直いうと、自分が作った雑誌を人様に胸を張ってオススメできることって、それほどないんです。決して自信がないわけじゃないですよ。でも書店に並ぶ頃には「やっぱこうすればよかったな〜」なんて後悔に苛まれていたり、自分のその時の気分がダイレクトに表現されているポエジーな文章に照れていたり。つまりは自分のウン・・・いや排泄・・・いや副産物を「ホラホラ、すんごいいい形の出たから見てみて!」って言えるかってことなんですよぉ!

しかしそんな僕でも、この特集に関しては言わざるを得ません。

「これ買わないと損ですよ」と。

残念ながら中身は見せられないので、ここで列挙いたしましょう。

●1960年代〜90年代にかけての伊丹十三のポートレートの数々

●宮本信子さんが語る「伊丹十三ファッション」

●「伊丹十三記念館」で撮影した、伊丹十三の愛用ファッションアイテム

●グラフィックデザイナー、佐村憲二さんが語る「天才伊丹伝説」

●河毛俊作さんと「ヨーロッパ退屈日記」

などなど、ファッション誌、いや僭越ながら服&雑誌ヲタである僕にしかできない切り口による伊丹十三特集なのです。

ちなみになぜ「買わないと損」なのかというと、そこには具体的な根拠があります。ほら、僕みたいな雑誌好きって、1枚でも“ヤバイ”写真があったら買っちゃう系じゃないですか(知らん)。だからして古い雑誌の中には入手困難になっていたり、プレミア価格がついているものも多いのですが、今回の伊丹十三号はそんな中でも非常に貴重な「ネタ」を使っているのです!

伝説の雑誌「デラパン」の特集を(ほぼ)まんま転載!

まずひとつは、「HEIBONパンチDELUXE 1966年VOL.1」。平凡パンチは有名ですが、こちらはその兄弟誌でありそれほど古本市場には出ていない、略して「デラパン」。ファッションはもちろんヌードグラビア、名車、全国のトイレ事情、ニューギニアのヘア事情にいたるまで、男の欲望を全方位的から満たすキレにキレた編集方針にそそられます。その中で7ページにわたって伊丹一三(当時)が世界の一流品を紹介する特集があるのですが、なんと私その特集を丸パク・・・いや完全に拝借しております(もちろん許可済み)!

デラパンの1966年VOL.1。2冊手に入れたので当分安心です(何が?)。

超レア70年代伊丹スタイルも掲載!

そしてもうひとつは「男の雑誌 NOW」。1970年代初頭に文化出版局から刊行されていたこの雑誌は、山下的観点では“日本初のサブカル系メンズファッション誌”。アーティスティックなファッションシューティングから湯村輝彦のイラスト、怪談、岡田真澄の女遍歴など、こちらも濃厚極まりない内容。おそらく当時あまり売れていなかったのでしょう、さほど値はついていないものの、デラパンよりも探すのは困難です。そんな雑誌の「NO.14 冬の号」では、2ページにわたって伊丹十三のファッションインタビューが掲載されているのですが、本誌では浅井慎平さんが撮ったそのメチャクチャ格好いい写真を使っております! カモフラ柄のフィールドジャケットにフレアパンツという、伊丹史上ではかなりレアなスタイルを拝めますよ。実を言うと1970年代に雑誌などに掲載されていた伊丹十三写真って、すでにほとんどが紛失しているので、通信社や出版社、そしてカメラマンもあまりアーカイブしておらず、これは相当貴重です。

こちらが「男の雑誌 NOW」。立木義浩さんや大西公平さんなど、当代屈指のフォトグラファーの写真は必見。探すの苦労した〜。

このように他では見れないレア写真を掲載するため、そして事実関係を調査するために神保町界隈を駆け回り、資料代にウン万円(もちろん全部自腹ですよ、なぜなら俺のモノにしたいから!)費やしてつくった特集ですから、資料的価値は計り知れません。きっと数年後にはプレミア価格がついているはず。1200円は安い! と断言しちゃいます。

ちなみに今回はほかにも「わかる人ならわかる」貴重な特集がいっぱい。

●完売必至エルメスの復刻ロシアンカーフ特集(独占公開)!

●マノロ・ブラニクの超クレイジーなインタビュー!

ああもう、僕が読者なら5,000円くらい払いたいですよぉぉ!!

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。