カラオケはないけれど…

スナックにつきもののカラオケだが、この店にはない。でもなぜかマイクはある。

おもちゃのマイクでカラオケ気分を味わう

「それ、おもちゃのマイクなんですよ」

と典子ママ。カラオケの設備はないものの、CDとそれの歌詞カードは用意してあり、雰囲気だけを味わうこともできるという。

ちなみに牧野さんの十八番は、ちあきなおみの『喝采』。

「タクシーに乗っている時、運転手さんに教えてもらって。いい唄だな、と思って以来唄うようなりました」

『喝采』を知るきっかけが独特なのも、これもまた牧野さんの感性。今度聴かせてもらおう。

典子ママが新宿ゴールデン街でママを始めた理由

しばらくすると常連客が訪れ、カウンターは人であふれる。物怖じしない牧野さんは早々に常連グループになじんでいる。

料理は隣の店からデリバリーしてもらえる

それにしても常連は男性が多い。おそらく典子ママが美人だからではないか、と推察する。

「ゴールデン街は、年齢も職業も違う人が集まるのが良さ」と話す典子ママ

典子ママはアロマショップの販売員をしていた当時、新宿ゴールデン街の店に通っていた。ある時、空き店舗ができたことから「ママにならないか」と誘われたことがきっかけで店を開いたそうだ。

「それまでは飲食店勤務の経験すらなかったんです。でもママをするチャンスなんてこの先ないだろうし、ゴールデン街は素人ママでも受け入れてくれる懐の広さがあります。実際にお店を始めると、お店同士の交流も活発で、助け合いの精神があると思いますね」

店名の『のら』は、典子ママが猫好きだったことから。店内には猫モチーフのものがたくさん置かれている

牧野さんにも新宿ゴールデン街の魅力を尋ねた。

「友人にも話しづらい内容も、ママやここに集まってくる人には打ち明けられます。いろいろな経験をしている人が多いから、そういう人に話すとモヤモヤも晴れるような気がしますね」

「絶対にまた遊びに来ます」と、『スナック のら』を気に入った牧野さん

最後に牧野さんにとってスナックとはどういう存在だろうか。

「初めて会う人とも仲良くおしゃべりできて、いろいろ教えてもらえるので世界が広がる場所! そういう店は足で調べないと見つからないから、友人と飲んだ日の2軒目はスナック探訪しますね。これからもみんなに教えたくないスナックを開拓していきたいなぁ」

あちこちに猫のモチーフが飾られ、家庭的な雰囲気の『スナック のら』は、女性も訪れやすい。新宿で飲む夜はこの店の灯りを探してはどうだろうか。

【スナック のら】

問い合わせ先

  • スナック のら TEL:非公開
    住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-10 G2通り1F
    営業時間:19:00〜26:00
    定休日:日曜
    メニュー:チャージ(お通し付き)1,000円、生ビール(ハートランド)700円、角ハイボール700円
この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎