以前エルメス主催のイベントにて見かけた、フランス人女性の着こなしが今も忘れられません。真っ白いTシャツ&ブルージーンズの上に、ヌメ革のベスト、ジャケット、さらにコート! しかも恐ろしいのは、そのイベントが土砂降りの中開催されていたということ・・・! いつか僕も、こんなスタイルにチャレンジしたいと心に誓ったものです。

あれから5〜6年くらい経ったでしょうか。エルメスのレザーウエアを買うような余裕はまだ(一生)ないけれど、あのときの決意を形にするチャンスが訪れました。なぜなら東京いち濃厚と言われるセレクトショップ「カセドラル」で、レザーウエアのオーダーができるというのだから。

まずもって、選べる革がメゾンブランド級の上質もの。
イタリアのベビーカーフ、
英国のロイヤルスエード、
北米のディアスキン、
スペインのムートンetc...
もちろん裏地やボタンなどの付属も一流品揃いです。

さらにすごいのは、いわゆるパターンオーダーではなく、完全に型から起こせるビスポークということ。もともと定型のあるテーラードと違って、レザーのようなカジュアルアイテムはセンスが問われるアイテムであり、ショップにとっても、われわれ客にとっても、一から仕立てるのは非常に難しい。その点知識もセンスも抜群の「カセドラル」なら安心して自分のイメージを伝えられるというものです。

あまり大きな声ではいえませんが、メゾンブランドと較べると激安といってよい価格かも・・・。

山下のオーダーは、こんな感じ。
革はブラウンのロイヤルスエードで、
リラックスフィットのロングコート。
裏地なしで、Tシャツの上にはおれるような
軽快な仕立てにしてほしい・・・。

かくして数ヶ月後、1回の仮縫いを経てあがってきたのがこんなコートでした。

もう、とにかく・・・素晴らしい仕上がり!
裏地なしのレザーアウターなんてそう多くはありませんが、これが非常に体になじんで、春っぽい軽やかなドレープ感を描いてくれます。

着用するとこんな感じ。このベロンとしたシルエット、相当すばらしいのでは?

夏が来る前に少しでも着込んでおこうと思い、ただいま毎日袖を通しているのですが、これほど周囲に褒められる服もありません。早くも同じ革を使ったベストのオーダーを思案しています。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。