ジェントルマン、東京の街を遊歩す

ジェントルマン。もともとイギリスの支配階級を指す「ジェントリ」を由来に持つこの言葉が、「紳士」という言葉に訳され日本に伝わってから、優に100年を超える。ならば私たちは、世界を代表する都市・東京からしか生まれ得ない新しい紳士像をそろそろ確立し、そこに磨きをかけなくてはならない。伝統を愛しながらも、自由かつおおらかで、そして何よりも洒脱......。MEN’S Preciousが改めて考えた、この街にふさわしい装いや振る舞いにおける、50の流儀。それらを満たした新時代の紳士たちこそ、「東京ジェントルマン」と呼ぶべき存在なのだ。

スエードのブルゾンで、休日も紳士の品性をまとう

ブルゾン¥640,000・シャツ¥60,000・パンツ¥66,000・靴¥105,000(ロロ・ピアーナジャパン) 眼鏡¥40,000(ブリンク〈アイヴァン 7285〉)
ブルゾン¥640,000・シャツ¥60,000・パンツ¥66,000・靴¥105,000(ロロ・ピアーナジャパン) 眼鏡¥40,000(ブリンク〈アイヴァン 7285〉)

カジュアルスタイルの主役はブルゾン。素材は滑らかで毛羽立ちを抑えたキッドスキンのスエード。特徴はジャケット風の襟型で、襟と脇下はカシミア×コットンのニット。細部にまで行き届いた上質さはさすがロロ・ピアーナと感嘆! パンツの生地は伸縮性を備えたツイル。ベージュと白の淡い配色が知性的で、東京の街を散策する男の品性をどこまでも高める。

英国調のスーツから、成熟した色気が立ち昇る

スーツ¥740,000・シャツ¥65,000・タイ¥28,000・チーフ¥22,000(トム フォード ジャパン) 眼鏡¥46,000(トム フォード アイウエア) 時計¥1,025,000(ジャガー・ルクルト)
スーツ¥740,000・シャツ¥65,000・タイ¥28,000・チーフ¥22,000(トム フォード ジャパン) 眼鏡¥46,000(トム フォード アイウエア) 時計¥1,025,000(ジャガー・ルクルト)

しばらく続いた軽量化ブームとは逆ベクトルのどっしりと構えたスリーピーススーツが、紳士の風情に似つかわしい。グレンチェックはいかにも英国調。モヘア×シルク×ウールの生地は目が詰まり、ヴィンテージのような風合いだ。クレリックシャツはタブカラーで、タイの結び目を隆起させ、襟元からもクラシックなイメージを盛り上げる

スーツスタイルの洒脱は、麻の風合いから生まれる

スーツ¥420,000・シャツ¥73,000・タイ¥33,000・チーフ¥18,000(ブルネロクチネリ ジャパン) 眼鏡¥40,000(ブリンク〈カトラー アンドグロス〉) 時計¥2,425,000(ジャガー・ルクルト)
スーツ¥420,000・シャツ¥73,000・タイ¥33,000・チーフ¥18,000(ブルネロクチネリ ジャパン) 眼鏡¥40,000(ブリンク〈カトラー アンドグロス〉) 時計¥2,425,000(ジャガー・ルクルト)

春夏の紳士のワードローブに欠かせない、リネンのスーツ。ベージュのヘリンボーンはリネンの素材感をありありと映し出し、洒脱さを引き立てる。胸に吸い付いた幅広のピークドラペルが男らしい。白のシャツもグレーのタイもリネン混の生地を使用。こうした風合いの統一感が、装いの完成度を高める。

悠然たる立ち居振る舞いで紺のジャケットを着こなす

ジャケット¥504,000・シャツ¥56,000・タイ¥29,000・パンツ¥108,000(キートン) 肩にかけたニット¥48,000(クルチアーニ 東京ミッドタウン店) 時計¥795,000(カルティエ カスタマー サービスセンター)
ジャケット¥504,000・シャツ¥56,000・タイ¥29,000・パンツ¥108,000(キートン) 肩にかけたニット¥48,000(クルチアーニ 東京ミッドタウン店) 時計¥795,000(カルティエ カスタマー サービスセンター)

こざっぱりとしたブルーグラデーションの着こなし。紳士の基本アイテムであるネイビージャケットは、ウール×シルク×リネンの軽やかなファブリックで背抜き仕立て。襟のロールが美しい純白のシャツに、セッテピエゲのネイビータイを巻いて。自然な色落ち感のブルージーンズが若々しい。

クラシックコートから屹立するダンディズムの遺伝子

コート¥318,000(メゾン マルジェラトウキョウ)
コート¥318,000(メゾン マルジェラトウキョウ)

フロントにボタンがなく、腰ベルト付きのコートはガウンのように優美なドレープを描き出す。それをスーツの上にさらりとはおり、悠然と歩を進める。くっきりとした太めのストライプは男の強い意志を表すかのようで、その後ろ姿からは、かつて粋であることに命をかけた、東京人としての矜持すらにじみ出てくる。

純白スーツの洒落た装いに東京紳士の今と昔が交錯する

スーツ¥156,000・ポロシャツ¥26,000(ボリオリ 東京店) ハット¥53,000(ボルサリーノ ジャパン) 時計¥795,000(カルティエカスタマー サービスセンター)
スーツ¥156,000・ポロシャツ¥26,000(ボリオリ 東京店) ハット¥53,000(ボルサリーノ ジャパン) 時計¥795,000(カルティエカスタマー サービスセンター)

ハットをかぶり、リネンのスーツにそでを通す。向かう先は老舗ホテルにある行きつけのバー。その風情はまるで昭和の東京ジェントルマン。ジャケットは2ボタンで玉縁ポケット、パンツはすそ幅が細く、テーパードシルエット。純白のリネンの生地がなんともいえず粋。インナーはえてポロシャツでドレスダウンして。これが、現代的な紳士像。

雨上がりの空のように紳士の心意気はさえ渡る

コート¥384,000・スーツ¥451,000・シャツ¥82,000・タイ¥23,000・傘¥99,000・靴¥162,000(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)
コート¥384,000・スーツ¥451,000・シャツ¥82,000・タイ¥23,000・傘¥99,000・靴¥162,000(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)

ウール×ポリエステルのボンデッド生地を使用した、ソリッドなグレーのレインコート。パスポート用、ボーディングチケット用などのポケットがあり、クラシックな面持ちからは想像がつかないトラベル仕様の機能を備える。スーツは英国を想起させるチェックのファブリック。ダブルブレストに貫禄がある。現代の紳士に向け、クラシックをモダンに置き換えたコーディネート。

静謐な黒の着こなしに隠しきれない色気がにじむ

ジャケット¥321,000・ニット¥172,000・パンツ¥108,000・ベルト¥44,000・サンダル¥98,000(エルメスジャポン)
ジャケット¥321,000・ニット¥172,000・パンツ¥108,000・ベルト¥44,000・サンダル¥98,000(エルメスジャポン)

芯なし、裏地なし。ナイロンのジャケットは軽やかなはおり心地。インナーのシルク100%のヘンリーネックニットからは、色気がそこはかとなく漂う。パンツは細身のシルエットで素材はモヘア×ウール。足元にはサンダルを合わせて。黒ずくめのなかで、シルク地のリングベルトがアクセントとして目を引く。神楽坂の料亭に通う紳士には、控えめでありながらもどこか艶やかな装いがなじむ。

※価格はすべて税抜です。※価格は2016年春号掲載時の情報です。
この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
イラスト/緒方 環 撮影/熊澤 透(人物)モデル/Yaron スタイリスト/櫻井賢之 ヘア&メーク/MASAYUKI( the VOICE)