毎日十数時間、裁断に縫製そして接客と、片時もアトリエから離れずに服づくりに従事する「ディトーズ」のオーナー兼カッターの水落卓宏氏。スーツをはじめ、礼服にいたるまで正統派のスタイルにこだわる、一流のつくり手である。
「ディトーズ」の厳格な礼服は、水落氏のこれまでの経歴が見事につくりに生かされている。銀座の名店「壹番館洋服店」に勤め、世界最高峰のスーツを誇るイタリアのブリオーニのマスターテーラーなどを経て独立。日本とイタリアの名門で腕を磨いた水落氏だが、紳士服の本場、英国スタイルもこよなく愛する。そのため、伝統的で正統派のスタイルを表現し、やわらかな仕立てを生かし、精緻な仕事を駆使した、三位一体となった服をつくる、世界でも珍しい実力派のテーラーである。
「フォーマルは伝統やスタイルなど、決められたマナーを守るのがエチケットです。細部の仕様まで大切な意味があります」
水落氏がフォーマルウエアを仕立てるうえで、常に意識していることだ。そこで、生地は礼服の基本となる、重量感のある英国産のドスキンという厚手のウールを選ぶほか、外からは見えないパンツのウエスト周りの細部の仕上げにも、伝統の技を再現する。それだけに「ディトーズ」の礼服は、服をよく知る洒落者にとっても満足のいくスタイルを確かに具現化する。
「メンズファッションのカジュアル化が進むなか、やはり紳士的な着こなしを演出するフォーマルウエアは、これから益々貴重になってくると思います」
クラシックなスタイルを見つめ続ける、水落氏の服づくりの意思が表れる。本物志向の今、いよいよ「ディトーズ」の礼服の出番である。
タキシードのデザインは、ピークドラペルの1ボタンが「ディトーズ」のハウススタイル。ベントのない正統派のシルエットで、体にフィットしたラインを描き出す。ラペルにデザインするシルクの拝絹は、英国有数のブランドリチャードジェームス&サンを使うなどこだわりが満載。タキシード用のベストもオーダー可能の本格派だ。タキシードにコーディネートするドレスシャツは、襟、そで口、胸の部分にピケを使用。フォーマルのルールに則したシャツもオーダーできるのがうれしい。
いかがだろう、本物の礼服は、歴史をきちんと学んできた超一流のテーラーから生まれることが、水落氏の仕事ぶりからわかっていただけるのではないか。紳士たる者たるもの、やはり礼服はオーダーすべきなのである。
SHOP DATA
住所:東京都港区南青山4-14-2-201
TEL:03-6438-9313
http://www.dittos.jp
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2012年冬号「必読!フォーマルの強化書」より
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- クレジット :
- 撮影/篠原宏明 構成・文/矢部克已