機械式時計は温故知新の世界だ。時代がITの波に飲み込まれても時計職人たちは、ネジとゼンマイと歯車を組み合わせながら、過去に学び、過去に挑み、驚くような未来をつくりだす。今年もそんな職人の手によって、驚くような時計がいくつも発表された。そんなニュースな時計を、特に注目したい5ブランド、ゼニス、ヴァシュロン・コンスタンタン、オメガ、ブライトリング、カルティエから紹介しよう。
1/ 100 秒を計測する新世代「エル・プリメロ」誕生
ゼニス『デファイ エル・プリメロ21』
インナーベゼルに刻まれた目盛りは「100」。プッシュボタンを押すと、クロノグラフ針が1秒に1周という信じられないスピードで文字盤の上を走る。クロノグラフムーブメントの名機「エル・プリメロ」が進化。新素材のヒゲゼンマイを採用するなど、最新技術を注ぎ込むことで、100分の1秒を高精度で計測できるようになった新時代の名作だ。
大いなる宇宙を1本の時計に詰め込む
ヴァシュロン・コンスタンタン
『レ・キャビノティエ・セレスティア・
アストロノミカル・グランド・コンプリケーション 3600』
永久カレンダー、トゥールビヨンはいうに及ばず、厚さわずか8.7㎜のムーブメントに詰め込まれたのは、日の出と日の入り、昼夜の長さ、四季、潮位表示、北半球の天空図など、23以上もの機能。天空の動きを残らず表現するかのように表裏に多くの針と目盛りが存在する。まるで手首の上に宇宙を閉じ込めてしまったようなロマンあふれる一本だ。
名作クロノグラフが60周年を機に充実!
オメガ『スピードマスター 38㎜』
世界で最も有名な時計といっても過言ではないだろう。1957年に誕生した『スピードマスター』がその名を高めたのは、’65年にアメリカ航空宇宙局の公認クロノグラフとなったこと。アポロとともに月に渡ったエピソードは、あまりにも有名だ。誕生60周年となる今年は、復刻から進化形まで多くのバリエーションが登場。改めて注目を集めそうだ。
伝説のダイバーズウォッチが60年目に進化を遂げた
ブライトリング『スーパーオーシャンヘリテージ Ⅱ 42』
質実剛健の代名詞のような時計だ。1957年に発表された『スーパーオーシャン』は、マリンスポーツを愛する人間にとっては定番中の定番。今年は誕生60周年を記念した『スーパーオーシャンヘリテージⅡ』が登場。針やインデックスにオリジナルモデルのデザインを生かしつつ、最先端の技術を用いて機能面を強化。新しい伝説がここから始まりそうだ。
新定番がより華麗に進化
カルティエ『ドライブ ドゥ カルティエエクストラフラット ウォッチ』
2016年に発表され、クッションシェイプの優美なデザインで大きな話題となった『ドライブドゥカルティエ』に厚さわずか6.6㎜のエクストラフラットモデルが登場。オリジナルモデルから40%も薄型化され、よりカルティエらしいエレガントな印象を与えてくれる。薄くても存在感抜群。どんなファッションにも似合う一本に仕上がりだ。
いかがだろう、機械式腕時計はまだまだ進歩できる、そう思わされる素晴らしいラインナップを愉しんで、できれば実際に手に取っていただきたい。
※価格はすべて税抜です。※価格はすべて2017年夏号掲載時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious 2017年夏号スイスの2大時計フェアから厳選した男の手元を飾るべき「名品時計」の結論より
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- クレジット :
- 撮影/武田正彦(静物)、唐澤光也(静物/パイルドライバー)、川田有二(人物)スタイリスト/大西陽一(RESPECT) ヘア&メーク/星 隆士(SIGNO) モデル/Trayko レイアウト/澤田 翔(H.D.O.) 構成/川上康介、岡村佳代