ロロ・ピアーナといえば、最高級の生地を生産する、イタリアを代表するファブリック・メーカーとして名高い。なかでも、自らのブランド名を冠して発表されるワードローブは、世界中のセレブリティから強く支持されている。暑い夏こそ涼しげな上着を一枚羽織るのが、身だしなみに上品さを加える上級者の着こなしだ。今回紹介している各社の名品リネンジャケットなら、着ている本人も涼しく、また周囲の人にも清涼感を感じさせるだろう。この、リネン特有のシワをうまく生かしたラグジュアリーな一品を、タウン、リゾート、ナイトシーンで着こなしてみたい。名門、ポール・スチュアートとハケットのリネンジャケットも交えながら、男ぶりが3割増しになる、シーン別のクラシックスタイルを提案する。
ジャケット選びのポイントは清涼感を意識して
昔ながらの質感にこだわるのがポイント
「リネンの懐かしい風合いを持ったジャケットを積極的に選びたいですね。ウールのジャケットに比べて、リネンジャケットは清涼感がポイント。着ている本人も涼しく、周囲の人も涼しげに感じられるリネンは、夏の重要な素材です。昭和の頃の写真を見ていると、洒落者たちはリネンのジャケットを本当に楽しんでいるのがわかります。リネン素材特有のシワをうまく生かしたジャケットの着こなしは、実に格好よく見えます。往時も今も、厚手のリネン100%の生地を使ったジャケットを選ぶのが第一ですが、現在はリネンを主体に、コットンやシルク、ウールなど異素材を混紡した生地が増えています。シワが気になる人には、そんなリネン混ジャケットもいいですね」(スタイリスト/大西陽一氏・談)
ザックリとした往年のジャケットの風合いが魅力
素朴なノッチドラペルをデザインし、サイドポケットをパッチ仕様にしたことで、より軽快なリネンジャケットに仕上がっている。リネンにコットンを混紡し、乾いた生地の感触が絶妙。肩のラインに片返しのステッチを施すなど、随所に凝った仕立て技を生かした名品ジャケットだ。
クラシックテイストは多彩な色味にこだわる
大西氏の提案するクラシックな雰囲気が漂うコーディネートは、タウン、リゾート、ナイト、どのシーンであっても、鮮やかな色彩の対比を生かすリネンジャケットの着方がポイント。タウンでのコーディネートは、ダンディな香りが備わるダブルジャケットを選び、人気の色合わせとなる、マローネ・エ・アッズーロが基本。しかし、ブラウンのアイテムをコーディネートに多く加えると、少し暑苦しくなる。ブルーのジャケットに対して、ギンガムチェックのシャツやベージュのパンツで軽やかな着こなしを目ざす。リゾートでは、存在感ある格子のジャケットに、クラシックなデザインのポロシャツの組み合わせを提案。シャツのボタンをいちばん上まで留めるのが今季流であり、カーキのパンツやブルーのタッセルローファーで、遊び心のある着こなしをつくる。ナイトシーンは、暗い色調のコーディネートよりも、あえて、明るい色調でまとめて、涼しげに演出するほうが、よりクラシックな雰囲気が漂う。
実践的クラシックコーデ
■ウイークエンドの街中でダンディに振る舞うなら・・・
肉厚なリネンのダブルジャケットにギンガムチェックのシャツを合わせ、ニットタイを加えて、正統的な着こなしに軽やかさを演出。ブルーとブラウンを基本に、より爽やかな色を合わせるのが正解。
■地中海沿いのヴィッラで爽やかにくつろぐなら・・・
ネイビーを基調に、ウインドーペーンをデザインしたシングル2ボタンのジャケット。リネンにシルクを混紡した素材は清涼感があり、薄手のコットン・ポロとよくなじむ。コットンストレッチ素材を使ったカーキのパンツとブルーの靴で、鮮やかなアクセントを。
■プールサイドのパーティでエレガントに振る舞うなら・・・
背抜き仕立てのシングル2ボタンのジャケットは、織り柄が際立つリネン混素材を使用する。そんなさえたブルーのジャケットには、エメラルドグリーンのリネンシャツに、繊細な織りでペイズリー柄を表現したホワイトデニムを合わせ、爽やかでクリーンなコーディネートを楽しみたい。足元は、軽快なグルカサンダルで粋に。
ここで紹介したリネンジャケットのコーデを参考に、ジャケットを使い分けていただきたい。まずはロロ・ピアーナのジャケットを手に入れ、チャレンジしてみてはいかがだろうか?
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年夏号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- 2016年夏号「王道クラシック」を追求するか?「革新スタイル」で鮮度を上げるか?より
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- クレジット :
- 撮影/小池紀行(パイルドライバー) スタイリスト/大西陽一(RESPECT) 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)