程よい距離感があるマスターの方が気楽

マスターが「うちはスナックより居酒屋に近いかもしれない」と言うとおり、メニューは居酒屋や定食屋のようなメニューが並ぶ。

カレーが人気で、それを目当てに食べに来る客もいるという
カレーが人気で、それを目当てに食べに来る客もいるという

すべてマスターの手作りで、平日は料金の中に料理代も含まれている。さすが庶民の味方を標榜するだけある。人気があるというカレーと焼き魚、ベーコンとピーマン炒めをオーダーする。

調理しているマスターの背中を眺めながら、大西さんにこの店に対する印象を聞いた。

スナックにはあまり行ったことがなかったため、最初は緊張の面持ちだったものの、中盤からは笑顔に
スナックにはあまり行ったことがなかったため、最初は緊張の面持ちだったものの、中盤からは笑顔に

「ママがいる一般的なスナックは何度か行ったことがありますが、カウンターだけで、しかもマスターのお店は初めて。ママが細やかにケアしてくれるのもありがたいですが、程よい距離感を保ってくれるマスターの方が気楽かもしれませんね」

確かにマスターの接客に甲斐甲斐しくはないものの、お手洗いから出た後にさっとおしぼりを渡すなど、さりげないやさしさが随所に感じられた。

マスターの料理はどれも家庭の味がした

グリーンとピンクの彩りも良いベーコンとピーマン炒め
グリーンとピンクの彩りも良いベーコンとピーマン炒め

ピーマンの苦味が感じられ、肴として良い。細切りのたけのこが食感に小気味よさを加えている。

続いて焼き魚。今日はほっけだ。

信頼している魚屋から、その時季に一番良いものを仕入れている
信頼している魚屋から、その時季に一番良いものを仕入れている

肉厚で塩気がしっかり効いている。これは日本酒や焼酎の方が合いそうだ。ビールから福岡の米焼酎『博多小女郎』に切り替えよう。

人心地ついたところで、〆のカレーが到着。

ルーだけのため、するすると食べられる
ルーだけのため、するすると食べられる

さらりとしたテクスチャーの中に、細かく刻まれた野菜が溶け込んでいる。

「愛情をいっぱい込めているんですよ」と冗談めかしてマスターは言うが、家のカレーそのもので、これを口にすると郷愁に誘うだろう。

のんびり食事をしていると、時計は11時を指している。マスターが

「終電、大丈夫なの?」

と尋ねてきた。終電までに帰すのがポリシーで、常連客なら自宅最寄り駅に着いた頃に電話をかけて無事帰れたのか、確認するという。

「女同士でも遊びに来やすい店ですね」と大西さん
「女同士でも遊びに来やすい店ですね」と大西さん

どこまでも気遣いの人だ。ここにサラリーマンはもちろん、女性客やカップルも多い理由を見た気がした。

【おゃじのお店】

問い合わせ先

  • おゃじのお店 TEL:090-4060-8165
  • 住所:東京都台東区上野2-4-1 エクセル上野ビル2F
    営業時間:19:00〜24:00
    定休日:大晦日、正月
    メニュー:平日飲み・食べ・歌い放題2時間5,000円、日曜・祝日飲み・食べ・歌い放題1時間3,000円、ワインボトル3,000円〜
この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎