「スタイリッシュな着こなしだけど、何かもの足りない…」と思うならば、ネックウェアでフレンチっぽく個性をつけるのもいいだろう。

若者で賑わうパリ10区にあるネックウェアのメゾン「シナーブル」は、2011年に、アレキサンドル・シャプリエが蝶ネクタイのブランドとして創設した。

フォーマルな装いの印象が強い蝶ネクタイだが、「シナーブル」はさまざまな素材、柄で日常にも着用できる蝶ネクタイを提案し、メンズ・ファッションの表現の幅を広げて一躍話題となった。敏腕職人を抱えるアトリエで製作したハイクオリティのメイド・イン・フランスであることもセールスポイントだ。

パリジャンが注目するネックウェアメゾン「シナーブル」

10区にあるブティック。
10区にあるブティック。
アーティストによるゴリラと森の絵が店内の壁を飾る。
アーティストによるゴリラと森の絵が店内の壁を飾る。
蝶ネクタイには、フォーマルなブラックタイのほか、ポップなプリント地、ミリタリーのヴィンテージを使ったものなど遊び心あるものも。
蝶ネクタイには、フォーマルなブラックタイのほか、ポップなプリント地、ミリタリーのヴィンテージを使ったものなど遊び心あるものも。
裏地が赤いのがシナーブルのシグネチャー。メゾン名の「シナーブル」とは朱色の鉱物、辰砂のことだからだ。
裏地が赤いのがシナーブルのシグネチャー。メゾン名の「シナーブル」とは朱色の鉱物、辰砂のことだからだ。
蝶ネクタイを裏返すと、目盛りがふられ、首の太さに応じてホックが入るようになっている。昔ながらの蝶ネクタイだ。
蝶ネクタイを裏返すと、目盛りがふられ、首の太さに応じてホックが入るようになっている。昔ながらの蝶ネクタイだ。
18世紀フランスで制作されていた田園柄のテキスタイル「トワル・ド・ジュイ」を使った夏の新作の蝶ネクタイ。1785年に制作された柄を復刻した。シルクとコットンが半々。  
18世紀フランスで制作されていた田園柄のテキスタイル「トワル・ド・ジュイ」を使った夏の新作の蝶ネクタイ。1785年に制作された柄を復刻した。シルクとコットンが半々。  
表面感のあるテキスタイルを使った、9月発売のネクタイ「マリーン・シエル」。麻、コットン、シルク。
表面感のあるテキスタイルを使った、9月発売のネクタイ「マリーン・シエル」。麻、コットン、シルク。

アレキサンドルは、ヘッド・ハンティングならぬ国際的なタレント(才能)・ハンティング会社で働いていたが、趣味でDJをやっていた。蝶ネクタイをしめてDJをするのが彼のスタイルだった。自分で蝶ネクタイを製作したところこれが好評で、コレットから買い付けられたり、カール・ラガーフェルドが購入したりと、一躍注目の的に。

「みんな同じような装いをしているからアクセサリーが重要なんだ。特に最初に目が行く首の周りだ」とアレキサンドル。

蝶ネクタイが成功し、今や、普通のネクタイ、帽子、バッグ、カフス、スカーフとアイテムの幅を広げている。どのアイテムも、ロワールやジュラのアトリエに依頼してつくるフランス生産が信条。なかには、シャネルの仕事を請け負っているアトリエもあるという。今や、マクロン大統領もシナーブルのネクタイを愛用している。

マクロン大統領も「シナーブル」のこのブルーのネクタイをつけている。
マクロン大統領も「シナーブル」のこのブルーのネクタイをつけている。
アレキサンドルは、スエーデンとフランスのハーフ。ジャケットにネクタイというきちっとしたトップスに、ジーンズとスニーカー、キャップで外すのが彼のスタイル。
アレキサンドルは、スエーデンとフランスのハーフ。ジャケットにネクタイというきちっとしたトップスに、ジーンズとスニーカー、キャップで外すのが彼のスタイル。

ユーモアのスパイスで、大人の余裕感じるスタイリングを

ジダンの頭突きモチーフネクタイ
ジダンの頭突きモチーフネクタイ

シナーブルのネクタイには思わず笑ってしまう柄もある。

こちらのレジメン・タイは2006年に起きた当時フランス代表で、現在レアル・マドリッドで監督を務めるジネディーヌ・ジダンの頭突きがモチーフ。

シャレでつくったが、アレキサンドルによるとサッカースペイン代表博物館も買い付けて収蔵したそうだ。ほか、今年はラグビーW杯が開催されるため、ラグビーニュージーランド代表オールブラックスの戦いのダンス「ハカ」モチーフも製作。

上質でありながらもキメすぎずに、カジュアルだが崩しすぎずに。ユーモアのスパイスやカジュアル感あるネクタイをスタイリングして肩の力を抜いた余裕のメンズ・ファッションに挑戦してみてはいかがだろう。

問い合わせ先

  • Cinabre
  • 営業時間/(月〜金)10:00〜19:30、(土)11:00〜19:00
  • 定休日/日曜日
  • TEL:+33(0)1.48.24.72.28
  • 住所/20 rue d’Hauteville 75010 Paris

 

この記事の執筆者
某女性誌編集者を経て2003年に渡仏。東京とパリを行き来しながら、食、旅、デザイン、モード、ビューティなどの広い分野を手掛ける。趣味は料理と健康とワイン。2013年南仏プロヴァンスのシャンブル・ドットのインテリアと暮らし方を取り上げた『憧れのプロヴァンス流インテリアスタイル』(講談社刊)の著者として、2016年から年1回、英語版東京シティガイドブック『Tokyo Now』(igrecca inc.刊)を主幹として上梓。
公式サイト:Tokyo Now