イタリア・フィレンツェの靴店『イル・ミーチョ』を営む深谷秀隆氏。海外で靴づくりの修業を行う日本人がそこまで多くなかった1990年代後半にイタリアへと渡り、シエナのアレッサンドロ・ステッラ氏のもとで靴づくりを行い、その後フィレンツェにて独立、現在に至っている。

 彼が生み出す靴は、一見いかにもフィレンツェらしく、クラシックな職人性とアーティスティックな感性とが融合したものだが、それは飽くなき探究心の賜物でもある。イタリアで修めた靴づくりでは飽き足らず、ヴィンテージの靴を渉猟してその製法を研究し、さらに英国やフランスなど、世界各地の靴職人や靴づくりの現場を訪ねることで技術を習得して、現在の自身の靴づくりを確立したのだった。海外の靴職人の取材において、もっとも挙がる日本人職人の名、それがフカヤ・ヒデタカだった。

唯一無二の魅力をもつ靴をつくる深谷秀隆氏

フィレンツェを拠点に活躍する靴職人深谷秀隆氏
フィレンツェを拠点に活躍する靴職人深谷秀隆氏
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 彼の靴の魅力は、英国の古いビスポークシューズを思わせる足の形や動きを盛り込んだアナトミックな木型と、その一方でスマートさが際立つトウシェイプだろう。細部のつくりは緻密さがありながらも、どこか手仕事の感覚を感じさせ、さらには男性的な印象もある。深谷氏が「フィレンツェという街から得ているものは多い」と常々語っているが、街がもたらす美的な刺激がこれら靴のディテールに反映されているのかもしれない。

 そしてトゥモローランドでは年2回、深谷氏が来日して、ビスポークのオーダー会を開催している。世界的にも唯一無二の魅力を備える靴を、身近な場所で誂えることができる好機といえるだろう。

2019年秋冬の新作
2019年秋冬の新作
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 また、このオーダー会に合わせて、トゥモローランドで展開中の、深谷氏がデザインを行いイタリアのファクトリーが生産しているレディメイドシューズ「ヒデタカ・フカヤ・ペル・トゥモローランド」のニューモデルも販売開始。「セミブローグ」「シングルモンクストラップ」「サイドエラスティック」3型のブラックスウェードモデルは、来たる秋冬の気分を先取りしている。

開催期間・店舗

  • 場所:トゥモローランド 丸の内店 TEL:03-5220-2391
    会期:7月27日(土)~28日(日)
    住所:千代田区丸の内2-5-1 丸の内2丁目ビル 1F
    オーダー内容
    木型:スクエア、ラウンドトウなど
    マテリアル:ボックスカーフ、スエード、型押しレザー、コードバン、シャーク、アリゲーターほか
    価格:¥650,000~ ※仮縫い1回含む。2回以上の場合、アップチャージを承ります。

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この記事の執筆者
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。