モーターサイクルコート、トレンチコート、フィールドジャケット、オフィサーコート。これらの、野性的な男らしさを表現したミリタリーアウターは、注目すべきアイテムのひとつだ。サッとはおれば、だれでもそれなりに男っぽい雰囲気になるのが魅力だが、ミリタリーアウターは、自然に汚れたり癖がついたり、とにかく自分の体とテイストになじませるために、長い間着続けることが重要だ。新たに出合ったミリタリーアウターから、長いつきあいが始まると心せよ。

Motorcycle Coat
機能を備えた無骨なスタイルのモーターサイクルコート

ひざ下までを隠すロングシルエットの存在感あるモーターサイクルコート。起毛されたツイード調の生地を使い、スタイルが決まる大きな襟と左胸の象徴的なポケットをデザインする。着こなしは、コートの持ち味を生かすために、インナーはシンプルにして、パンツは太くゆったりとしたものを合わせるのがコツだ。コートの着丈は、サイズ48で130㎝。コート¥350,000・シャツブルゾン¥120,000/参考価格・ニット¥60,000・パンツ¥90,000・靴¥150,000(ボッテガ・ヴェネタジャパン)
ひざ下までを隠すロングシルエットの存在感あるモーターサイクルコート。起毛されたツイード調の生地を使い、スタイルが決まる大きな襟と左胸の象徴的なポケットをデザインする。着こなしは、コートの持ち味を生かすために、インナーはシンプルにして、パンツは太くゆったりとしたものを合わせるのがコツだ。コートの着丈は、サイズ48で130㎝。コート¥350,000・シャツブルゾン¥120,000/参考価格・ニット¥60,000・パンツ¥90,000・靴¥150,000(ボッテガ・ヴェネタジャパン)

1940年代、英国陸軍の伝令使がバイクにまたがるとき、あるいはサイドカーに乗る際に着ていたのが、モーターサイクルコートの由来。ゆえに、書類などを入れる大きなポケットを左胸にデザインするほか、風を防ぐためにあごまで覆い尽くす大きな襟や長い着丈が、無骨ながらも機能美を備えたコートを生んだ。

Trench Coat
粗野な姿に男くささを感じるトレンチコート

写真左/通常のトレンチよりも肉厚なコットンギャバジン素材を使い、ツヤのある質感とがっちりとした着用感が楽しめる。ガンフラップやDリング、エポレットなどトレンチの歴史的なディテールはそのままに、ステッチワークやボタン使いなどでアップデートしたスタイル。男の色気が漂うシルエットは完璧だ。着丈は、サイズ48で108㎝。¥280, 000(バーバリー・ジャパン)
写真右/映画に出演するとき以外にも、アクアスキュータムのコートを身につけていた名優ハンフリー・ボガート。ブランド設立165周年を記念して、ボギーが愛用していた1950~80年代の『キングスウェイ』をアレンジ。さらにゆったりとさせたシルエットが、今のスタイルである。着丈は、サイズ38で115㎝。¥220,000(レナウン プレスポート〈アクアスキュータム〉)
写真左/通常のトレンチよりも肉厚なコットンギャバジン素材を使い、ツヤのある質感とがっちりとした着用感が楽しめる。ガンフラップやDリング、エポレットなどトレンチの歴史的なディテールはそのままに、ステッチワークやボタン使いなどでアップデートしたスタイル。男の色気が漂うシルエットは完璧だ。着丈は、サイズ48で108㎝。¥280, 000(バーバリー・ジャパン)
写真右/映画に出演するとき以外にも、アクアスキュータムのコートを身につけていた名優ハンフリー・ボガート。ブランド設立165周年を記念して、ボギーが愛用していた1950~80年代の『キングスウェイ』をアレンジ。さらにゆったりとさせたシルエットが、今のスタイルである。着丈は、サイズ38で115㎝。¥220,000(レナウン プレスポート〈アクアスキュータム〉)

数多の名優たちに愛され、多くの伊達男たちが必ず愛用してきたトレンチコート。第一次世界大戦中に英国陸軍が塹壕(トレンチ)戦用に開発し、着用が始まったことから命名。その発祥国から代表的な2大ブランドが生まれたのだ。エポレットやガンストラップのディテールをアレンジし、よりゆったりとしたドレープ感が楽しめるのが今季の特徴。随所に男らしさがみなぎる、進化したトレンチの登場だ。

Field Jacket
勇敢な男たちの汗がにじむフィールドジャケット

写真左/トム・クルーズやジョージ・クルーニーといった、ハリウッドスターたちをも虜にする〝ベルスタッフ〟のジャケット。多彩なポケットや防寒性のあるボア付き襟など、ミリタリーテイストが伝わる味なデザインだ。カシミア混の素材を使い、エレガンスも忘れていない。¥208,000(ベルスタッフ・ジャパン カスタマーサービス)
写真右/ミリタリーコートやダウンジャケットなど、男っぽいアウターづくりを得意とするイタリアのモンテコーレ。やや着丈の長い、ゆとりのあるシルエットが秀逸。中綿にダウンを使用するほか、取り外し可能なフードを用いるなど、機能的な魅力も満載だ。¥149,000(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター〈モンテコーレ〉)
写真左/トム・クルーズやジョージ・クルーニーといった、ハリウッドスターたちをも虜にする〝ベルスタッフ〟のジャケット。多彩なポケットや防寒性のあるボア付き襟など、ミリタリーテイストが伝わる味なデザインだ。カシミア混の素材を使い、エレガンスも忘れていない。¥208,000(ベルスタッフ・ジャパン カスタマーサービス)
写真右/ミリタリーコートやダウンジャケットなど、男っぽいアウターづくりを得意とするイタリアのモンテコーレ。やや着丈の長い、ゆとりのあるシルエットが秀逸。中綿にダウンを使用するほか、取り外し可能なフードを用いるなど、機能的な魅力も満載だ。¥149,000(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター〈モンテコーレ〉)

フィールドジャケットは、アメリカ陸軍由来のM-65タイプのフード付きモデルなどが代表格だが、モーターサイクルジャケットからアレンジした派生型も多い。いずれにしても、勇敢な男たちの野性味あるスタイルを、ファッション・アイテムに落とし込み、常に刺激的なデザインが生まれるジャンルだ。軽快さも持ち合わせた男くさい表情が、フィールドジャケットの本領だ。

Officer Coat
ベテランの貫録を剝き出すオフィサーコート

ウールとナイロン素材を、目の詰まった重厚なメルトン地に仕上げた生地を使う。リーダーとしての権威を表す大きな襟や、数多くの光り輝くメタルボタンを配し、鮮やかな太いステッチワークによって、より厳格な強い男のスタイルをつくり上げる。コートの存在感を生かし、シンプルに着るのが、何よりもポイントだ。コートの着丈は、サイズ48で110㎝。¥340,000(バーバリー・ジャパン)
ウールとナイロン素材を、目の詰まった重厚なメルトン地に仕上げた生地を使う。リーダーとしての権威を表す大きな襟や、数多くの光り輝くメタルボタンを配し、鮮やかな太いステッチワークによって、より厳格な強い男のスタイルをつくり上げる。コートの存在感を生かし、シンプルに着るのが、何よりもポイントだ。コートの着丈は、サイズ48で110㎝。¥340,000(バーバリー・ジャパン)

オフィサーコートとは、軍の将校や士官用に誂えたコートを意味する。大きなメタルボタンや階級を表す華麗なるステッチ、ロングシルエットでヴォリューム感をも備えたデザイン。ミリタリーアウターの威厳が際立つ、存在感の強いコートだ。男らしさがにじみ出る、ハードボイルドアイテム、これに極まれり。いかがだろうか、これから長い付き合いの始まる、ミリタリーコートをまずは手に入れてみては?

※価格はすべて税抜の価格です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2016年秋号〝ハードボイルド〞アイテムに回帰せよより
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/熊澤 透(人物)、唐澤光也(パイルドライバー/静物) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/MASAYUKI (the VOICE) モデル/Yaron 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)