厚みのあるハイド(成牛の皮)をベジタブルタンニングで鞣し、さらに手作業でロウが擦り込まれたブライドルレザーは、その堅牢な性質から、馬具からバッグまで幅広く使われる素材となった。かつて「ロイドフットウェア」が展開していたこの革のバッグは、現在、英国スタイルのコブラー(靴修理店)である「ユニオンワークス」が取り扱っている。さらに「ロイドフットウェア」が製作を依頼していた英国のメーカーは現存せず、その職人や生産設備等を引き継いだのが、アレックスとラスの英国人夫妻が新たに興した「ラザフォード」社だった。日本でのラザフォードのバッグは、ふたつの「継承」により実現したといえる。

金具なども別注したというユニオンワークス&ラザフォードの最新アイテムは『サッチェル(ショルダー)』。英国では学生用の鞄として長年使われてきたが、近年では機動性ある鞄として再評価された。その折り目正しい雰囲気は、ジャケットスタイルなどとも相性がよさそうだ。  

■名品DATA:手前S・奥L(UNION WORKS 渋谷店〈ラザフォード〉) ※不定期入荷のため、要問い合わせ

■名品DATA:手前S・奥L(UNION WORKS 渋谷店〈ラザフォード〉) ※不定期入荷のため、要問い合わせ

今や英国内でも稀少となるブライドルレザーを採用。ラフなバッグに重厚感を与える真鍮の留め具も、英国製。S・Lの2サイズ展開。ストラップは、取り外しが可能。全5色展開。小ぶりのSサイズ[縦22×横33.5×マチ6.5㎝]でも、マチがしっかり取られているため、A4書類もすっぽり!

この記事の執筆者
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菅原幸裕 編集者
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MEN’S Precious2016年秋号 紳士の心を昂ぶらせる「英国名品」のすべてより / 2017.7.6 更新
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。
クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也・小池紀行(パイルドライバー) スタイリスト/武内雅英(code) 文/菅原幸裕