厚みのあるハイド(成牛の皮)をベジタブルタンニングで鞣し、さらに手作業でロウが擦り込まれたブライドルレザーは、その堅牢な性質から、馬具からバッグまで幅広く使われる素材となった。かつて「ロイドフットウェア」が展開していたこの革のバッグは、現在、英国スタイルのコブラー(靴修理店)である「ユニオンワークス」が取り扱っている。さらに「ロイドフットウェア」が製作を依頼していた英国のメーカーは現存せず、その職人や生産設備等を引き継いだのが、アレックスとラスの英国人夫妻が新たに興した「ラザフォード」社だった。日本でのラザフォードのバッグは、ふたつの「継承」により実現したといえる。
金具なども別注したというユニオンワークス&ラザフォードの最新アイテムは『サッチェル(ショルダー)』。英国では学生用の鞄として長年使われてきたが、近年では機動性ある鞄として再評価された。その折り目正しい雰囲気は、ジャケットスタイルなどとも相性がよさそうだ。
今や英国内でも稀少となるブライドルレザーを採用。ラフなバッグに重厚感を与える真鍮の留め具も、英国製。S・Lの2サイズ展開。ストラップは、取り外しが可能。全5色展開。小ぶりのSサイズ[縦22×横33.5×マチ6.5㎝]でも、マチがしっかり取られているため、A4書類もすっぽり!
- TEXT :
- 菅原幸裕 編集者
- BY :
- MEN’S Precious2016年秋号 紳士の心を昂ぶらせる「英国名品」のすべてより
- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭・唐澤光也・小池紀行(パイルドライバー) スタイリスト/武内雅英(code) 文/菅原幸裕