マーガレット・ハウエルがデザインする服は、英国では大人のエレガントなデイリーウエアとして浸透している。その人気の秘密は、上質な素材感にある。もともと古着との出合いがデザインを始めたきっかけというハウエル氏が、フォックス ブラザーズやジョン スメドレーといった、英国を代表する老舗工場とコラボレートを始めたのは自然な流れであった。その取り組みは、既存の生地やモデルを使うことに終始するのではなく、自ら工場のアーカイブルームを訪れ、膨大な資料の中からそのシーズンの気分に合う生地を選び、復刻するというもの。そんな老舗のテーラーでも滅多に見られないこだわりを、彼女は長年貫いている。毎シーズン新鮮に感じるものづくりの背景には、他のファッションブランドとのコラボの積み重ねが現在の活動に生きている。遠目で見ると作りはシンプルだが、近くで見ると風格ある生地の表情に驚かされる。

洒落者の間で話題!「名品」シャツの誕生に迫る

マーガレット・ハウエルにとって、シャツはブランドの出自を物語る特別な存在。一度でもそのシャツにそでを通したことがある方なら、おわかりだろう。彼女のものづくりの真摯な姿勢が。

多くのシャツを展開する中で、実は意外と知られていないのが、北ロンドンにあるエドモントンのシャツファクトリーでつくられる、数型のみのシャツの存在。ここでは高い技術を持ったシャツづくりのプロが、一枚のシャツの全工程を担当している。

「美しいシャツは、パターンが命。そして、強くてやわらかい肌触りのいい素材も……。私たちがつくるシャツは、常に活動的なライフスタイルに根ざした実用性と着心地を大事にしているの。必要なディテールは、必然的に後から生まれるもの」

と、ハウエル氏は語る。誂らえたかのようなシャツは、彼女の根底に流れる、英国人が持つロングライフのものづくりそのものだ。

マーガレット・ハウエルの生産工場へ

作業スペースのある2階は、淡色のシャツづくりには特に適した自然光が入る心地いい空間。現在は、国際色豊かなシャツづくりの職人が、8人在籍。ひとりひとりの作業を静かに見守り、必要であれば的確にアドバイスするハウエル氏は、職人たちからリスペクトされる存在。
ファクトリー内のベテラン、パタンナーのジューンさんと、カッターのカークさん。服づくりの話になると話題は尽きない。
素材の質感を手の感触で何度も確かめている。長年培われた感覚をたよりに上質な生地を選別。
ここでつくられるシャツは、ほとんどが出荷前に水洗いを施し、自然な風合いを引き出している。またシャツ一点一点には、担当した職人が明確にわかるよう、イニシャルタグが取り付けられる。

マーガレット・ハウエルがコラボしたファッションアイテム

■名品DATA:1
英国の学生が着ていたマックコート(=レインコート)のアーカイブから着想したデザイン。フォックス ブラザーズ社製の、畝のしっかりあるサージを採用した、モダン&クラシックな一着。¥100,000(アングローバル〈マーガレット・ハウエル〉)
■名品DATA:2
着丈に長さを持たせたバブアーの定番『ボーダー』に、ポケット位置や幅等、数ミリ単位でアレンジを加えた一着。マーガレット・ハウエルらしいモダンなカジュアルスタイルが楽しめる。¥75,000(アングローバル〈マーガレット・ハウエル×バブアー〉)
■名品DATA:3
英国靴の老舗トリッカーズの『チェルシーブーツ』は、今季のトラウザーズのスタイリングに欠かせない、バランスに優れた一足。原型は変えず、ステッチ等の微差で別注を実現。\93,000(アングローバル〈マーガレット・ハウエル×トリッカーズ〉)
■名品DATA:4
マーガレット・ハウエルのオリジナルモデルである、ワイドクルーネックを、ジョン スメドレーのハイゲージウールニットで完成。写真のグレーのほかに、ブラック、ネイビーもあり。¥36,000(アングローバル〈マーガレット・ハウエル×ジョン スメドレー〉)
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。

英国のセンスと知性が伝わっただろうか。マーガレット・ハウエルがこだわる着心地を、ぜひ体験していただきたい。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN’S Precious2016年秋号 紳士の心を昂ぶらせる「英国名品」のすべてより
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/平川さやか 文/兼信実加子