現在のようなジャケット・ヴェスト・パンツの3 つのパーツで構成するスリーピーススーツが、西洋における男の基本的な服装として確立されてから、100年がたった。1世紀を超えてなお、そのたたずまいは、ジェントルマンの服装のスタンダードとなっている。夏の暑い盛りにシャツ一枚で過ごすことはあっても、男の装いの基本を忘れてはならないだろう。きちんとしたスリーピーススタイルのシステムを知ることはジェントルマンのたしなみだ。本格的な形を今に残すビスポーク仕様のスーツを例にとって、紳士服の基本となるスタイルやディテールを読み解く。

英国伝統のスタイルを今に伝える極上のスリーピーススーツ

 ダンヒルのビスポーク仕立てのスリーピーススーツ。英国紳士のスタイルを受け継いだ本格的なスーツは、スリーピースに見られる、昨今の基本スタイルやディテールが見事に表現されている。
 ジャケットは、着丈の長いシルエットで、ひとつボタンのデザイン。胸回りのヴォリュームを強調し、ウエストが絞り込まれたツヤのある雰囲気が絶妙である。ヴェストは、ボタン位置の低いダブルの打ち合わせで、往年のデザインが生きている。パンツは、股上の深い、ゆったりとしたシルエットをつくる。さらにディテールを見よう。

ロンドン本店の工房で、すべての工程を手作業でつくり上げたビスポークスーツ。注文する際には予約が必要。来店時に、モデルや生地、ディテールなどを選び採寸。約3か月後の仮縫いを経て、さらに3か月後に最終フィッティングとなる。納期は約6か月。スーツ(オーダー価格)¥650,000~(ダンヒル)シャツ¥97,000(ストラスブルゴ〈フライ〉)タイ¥25,000(トゥモローランド 丸の内店〈トゥモローランド〉)チーフ¥2,800(ビームスF 新宿〈ビームスF〉)

Detail①
英国スタイル伝統のターンバックカフ。遊び心のあるデザインと同時に貴族的な雰囲気を演出。

Detail②
斜めに配置したスラントポケット。小物などを入れる英国スーツらしいチェンジポケットも付く。

Detail③
パンツは機能的なハイバックスタイルの手の込んだ細部。

服づくりの原点やエレガンスが詰まったスリーピーススーツは、いつでも旬なスタイルなのである。

存在感際立つ、ツヤのあるダブルヴェストが
スリーピーススタイルを決定付ける!

ジャケットのピークドラペルに合わせて、ヴェストの襟もピークドラペルで仕上げ、ビスポークならではの統一したデザインを狙う。低いボタン位置のため、広く開いたVゾーンが表現できる。鮮やかなブルーの背裏も美しい。

細部にいたるまでこだわったスリーピーススーツの美しさを知っていただけただろうか? 伝統的な紳士服を着こなせば、あなたの服装コーデはより豊かになるだろう。

※価格は税抜価格です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious 2016年秋号「この慎み深い格式こそ、紳士たる装いの頂点だ!英国的たたずまいはスリーピーススーツ に宿る」より
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/小池紀行(パイルドライバー) スタイリスト/村上忠正 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)