名店「アンダーソン&シェパード ハバダッシャリー」に、秋の紳士に向けた装いを提案してもらった。このふたつのコーディネートをご覧いただければ、その圧倒的なラグジュアリーさや、ほかのどこにもない洒脱なセンスを感じとっていただけるだろう。 加えて 「ハバダッシャリー」は、別名「トラウザーショップ」と呼ばれるほどに、パンツに力を入れている。その魅力は、全12モデルという豊富なモデル展開と、英国製を中心とした上質かつ美しい生地との組み合わせ、そして「アンダーソン&シェパード」のカッターが携わった、美しいシルエットにある。それらは今時のイタリア的なローライズ&ナローパンツに慣れきった目にはやや太く感じられるのだが、いざはいてみると、まるでビスポークしたパンツのように、すっきりとスマートに見えるのだ。購入したパンツはすぐに「アンダーソン&シェパード」の工房に持ち込まれ、その職人によって翌日にはすそ上げが完了しているという、旅行者にとって実にうれしいサービスも。現状はロンドンのショップでしかその世界観を味わうことはできないが、つくづく日本での本格展開が望まれる。

これが「ハバダッシャリー」が誇る名品。究極のトラウザーズだ!

圧巻の12モデル展開!

12モデルが展開されている中から、代表的なモデルを紹介したい。「スタイル8」と呼ばれるグルカタイプのトラウザーズである。ミリタリーのディテールを取り入れながらも、端正なドレス仕様の縫製が施されており、とてもシックな一本だ。股上は深く細身でもないのだが、決して野暮ったく見えないのはさすが! ヒップポケットを省いているのもビスポーク的だ。

都会で楽しむ、カントリースタイル

鮮やかなグリーンの「アンダーソン&シェパード」製ツイードジャケットに、オレンジのシェットランドニットや、青みがかったグリーンのコーデュロイ製トラウザーズをコーディネート。チェックのカシミアシルクストールや、ピッグスキンのスエードシューズで、さらに軽やかさを表現している。カシミアソックスも実に贅沢なアクセントだ。こんな洒脱な色使いならカントリースタイルは決して野暮ったく見えず、ロンドンや東京の街にだって映えるはずだ。

大人の休暇にふさわしいマリンスタイル

軽快なダブルブレストのウールニットジャケットに、ボーダーシャツやオフホワイトのコットンパンツをプラス。エスニックのムードを取り入れたイカット柄のカシミアシルクストールや、ベルベットでつくったエスパドリーユ風スリッポンを合わせれば、ラグジュアリーなリゾートのホテルやレストランにぴったりの、知的なマリンスタイルが完成! 上品だけれどコンサバティブではない、大人の遊び心が「ハバダッシャリー」のスタイルには宿っている。

この記事の執筆者
TEXT :
山下英介 MEN'S Preciousファッションディレクター
BY :
MEN'S Precious 2016年秋号「アンダーソン&シェパード ハバダッシャリー」が考える 世界でいちばんセンスのいい コーディネート術 より
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
クレジット :
撮影/小池紀行(パイルドライバー) スタイリスト/河又雅俊 構成・文/山下英介(本誌)