THEPLACE ザ・プレイス 24:00L.O.
ワイングラスを手に集う時間を楽しむ

 近年まで生産地の北限はフランス、シャンパーニュ地方とされてきたワイン。それは葡萄は腐敗が極めて早く運搬がままならず、ワインは葡萄の収穫地のみでつくられてきたため。そんなローカルな酒であったワインを世界の酒文化の主役の座へと引き上げたのは、まぎれもなく英国だった。

 ヴィクトリア女王時代(19世紀後半)は、植民地が世界に広がった大英帝国の黄金時代。その偉大なるヴィクトリア女王の食卓にのった酒、それは12世紀から300年間英国領地だった、フランスはボルドーのワインに、スコッチを注ぎ入れたものだった。

 この飲み方に、信じられない、とばかりに驚愕したと伝わるのが、宰相グラッドストン。ワインの味わいを愛した彼は1860年にワイン関税を引き下げて英国内の販売自由化を進め、国民を大のワイン好きに変えた。

 この時代、ロンドンの上流階級のたまり場だったブルックス・クラブで、よく飲まれていたのがシャンパーニュ。1861年、ヴィクトリア女王の夫君プリンス・アルバートが亡くなったときに、シャンパーニュの輝きが喪の期間にはふさわしいくないと配慮したクラブが、黒いビール、ギネススタウトを混ぜて提供。それが、今も愛されるカクテル「ブラックベルベット」である。

 ワイン好きとしてはグラッドストン同様、ボルドーもシャンパーニュも、本来の味わいで楽しみたいところだが、ヴィクトリア女王時代のこうした飲み方から、どんなふうにしてでもワインを飲みたいという、英国人のワイン愛が伝わってくるようだ。

政治、文学、芸術……、様々なテーマで熱き論議を重ねた、かつての英国の紳士たち。その場面に欠かせなかったのが、フランス、ボルドー産のワインだ。「ザ・プレイス」の優雅さ漂うフロアの一角には、そんな英国紳士たちが集ったクラブを思わせる席が設けられている。
バーカウンターを挟んで、ゆったりとしたテーブル席に、ソファを設えたVIPルーム。ワインセラーには貴重なボルドーのヴィンテージのストック……。広尾商店街の喧騒から少し離れたビルの2階に、紳士たちが集ったクラブやサロンをイメージさせる贅沢な空間のバー「ザ・プレイス」がある。オープンは2001年。ソムリエの木村克己さんがプロデュースしたこともあり、ワインやシャンパーニュを愉しむ場所としての優雅な空気感も漂う。照明や家具、そして絵画や彫刻など、隅々まで調度品にこだわったインテリアになっている。中でもVIPルームは、プライベートな時間を過ごす書斎を思わせるような空間。夜も更けたころ、ひとりでカウンターに座り、バーテンダーとの小粋な会話を交わすのも楽しい。厨房でシェフが腕をふるう料理も評判だ。チャージ¥1,000(税込、サービス料別)

■ザ・プレイス THE PLACE
住所:東京都渋谷区広尾5-17-10 EASTWEST2F
TEL:03-5447-5505
http://www.bar-place.com/

営業時間:18時~2時(L.O.1時)定休日/日、祝日は休み

クレジット :
撮影/荒木大甫 構成・文/堀けいこ