あなたは窓の外側に、どんなアートを観たことがありますか?「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」が開催中

窓の外をぼうっと眺めているとき、鳥が飛んできて、太陽光が差し込む瞬間を目撃するなど、窓枠のなかで繰り広げられる一瞬の情景に興奮した経験、ありませんか?

そんな偶然のサプライズをくれる「窓」は、当然のことながら、感受性の高いたくさんのアーティストにインスピレーションを与えてきました。窓とアートは、等しく四角い枠のなかに別世界を描く、いわば親戚のようなもの。その枠のなかに何を配置するか?が、世界中のアーティストの好奇心を刺激してきたのです。

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ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》2012年 ワコウ・ワークス・オブ・アート ©️Gerhard Richter, courtesy of WAKO WORKS OF ART Photo:  Tomoki Iwai アングルによってガラスに映る光や人が変化。撮影を楽しむことが可能です。

この「窓」をテーマにした展覧会「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」が、東京国立近代美術館で開催されています(2020年2月2日まで)。一般財団法人 窓研究所とタッグを組み、絵画、建築、写真、インスタレーション、映像など58作家による117点の作品が競演。

この展覧会では、マティスやクレーといった絵画から、現代美術に至るまで、「窓」というテーマのもとに集められた、バラエティに富んだ作品を「観賞」するだけでなく「参加」するなど、斬新なアプローチで構成されているのも、注目ポイントです!

誰でもお気に入りが見つかる!「窓展」の見どころ5選

14章から構成され、「窓」をテーマに、旅というイメージで、主に20世紀初頭から現代までの時代をたどる「窓展」。見応えたっぷりの、その見どころを5つご紹介します。

■1:部屋の中に居ながら遠い景色を体感!巨匠が愛した窓の競演

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アンリ・マティス 《待つ》1921〜22年 愛知県美術館

絵画と長年密接な関係を築いてきた「窓」。3室にはボナール、マティス、マティスと巨匠作品が並ぶゴージャスな壁があります! 部屋の中に居ながらも、遠い海を見ているような感覚を味わえるほか、佇む女性たちの心理なども妄想しながら観賞すると、より作品を深く味わうことができます。 

■2:抽象絵画は30秒以上見つめてみると、何かが浮かび上がってくる?!

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パウル・クレー《花ひらく木をめぐる抽象》1925年、東京国立近代美術館

20世紀美術の大きな発明と言えるのが、抽象絵画です。実は、色と形により人間の視覚と脳に訴える仕組みが隠されています。じっと見つめれば、そこにあるはずのない3次元空間を、見る人に感じさせるのです。抽象絵画にそんな幻の空間を見る感覚は、ガラスの向こうに「ここではないどこか」を夢見る、窓の存在にも似ています。

■3:架空の国へようこそ。参加しないと次に進めないアート

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西京人(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)《第3章:ようこそ西京にー西京入国管理局》 2012年 金沢21世紀美術館での展示風景(2016年)ミクストメディア 作家蔵 Courtesy of the Artist 撮影:木奥恵三

国境を持たない架空の都市国家「西京国」の入国管理局。いわばグローバルスケールの「窓」のようなカウンターでは、パスポートでなく、とあるアクションが必要。と言っても「簡素でゆるい」のがポイントのインスタレーションですから、心配ご無用。大規模な展覧会の観賞疲れが吹き飛ぶアート、気軽にトライしてみてはいかがでしょうか? 移民や難民の問題がとりざたされる、現実の閉塞状況に、大きな疑問符を投げかけるアートです。

■4:36人がひしめき合う狭小空間!でも絶対ぶつからない不思議な映像作品

ズビグニエフ・リプチンスキの映像作品「タンゴ」は、1983年のオスカーの短編アニメーション部門で受賞した作品。窓が印象的な狭小空間に、次々と人が入ってくる様子がユーモラス! 混み合う内部に存在する、ひとりひとりを観察したくて、思わず何度も見てしまいます。

■5:前庭の建築は、今回だけのスペシャルプロジェクト!

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前庭に登場した、藤本壮介《窓に住む家/窓のない家》

中に入っても窓穴だらけで、まるで外にいるかのような爽快な作品が、こちら。入れ子構造の空間で、大きな窓を通して、外にいるように自然を感じながら、壁があることで室内にいるような安心感を得ることもできます。

面白いことに室内にいると、たくさんの「窓」の存在をそれほど感じません。この不思議感覚、ぜひ実際に体感してみてください!

見ないで暮らす日はないほど、毎日の生活に身近な窓。そっとのぞけば、その景色に癒されたり、元気づけられたりします。お疲れ気味で、想像力や思いやりが欠けてしまいそうになったら、リフレッシュが必要。ぜひ「窓」から別世界を覗きに、出かけてみてはいかがでしょうか?

問い合わせ先

  • 窓展:窓をめぐるアートと建築の旅
  • 会場/東京国立近代美術館 1階 企画展示ギャラリー
  • 会期/開催中〜2020年2月2日(日)まで
  • 開館時間/10:00〜17:00、金曜・土曜は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
  • 休館日/月曜日(1月13日は開館)、年末年始(12月28日(土)〜2020年1月1日(水・祝)、1月14日(火)
  • 観覧料/一般 ¥1,200(900) 大学生 ¥700(500)
 ※( )内は 20名以上の団体料金。いずれも消費税込
  • 主催/東京国立近代美術館、一般財団法人 窓研究所
  • TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 住所/東京都千代田区北の丸公園 3-1

この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子
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