いくつもの旅を重ねる中で出会った美味とは‥‥
日本だけでなく海外でも様々な旅を重ねてきた井浦 新さん。「食」では、旅先で出会った美味について語ってくれました。といっても、どこそこの店がお気に入り、といった情報ではないのです。「本当に気に入っているところは、すみません、人に教えられないんです」と、インタビューでは笑っていました。
井浦さんが語ってくれたのは、旅の行動食となる、おにぎりのこと。誌面では、和歌山を旅したときに出会ったというおにぎり、「めはりずし」をページのビジュアルとして撮影しました。
「めはりずし」は和歌山県熊野地方に伝わる郷土料理。馴染みのない人のために、東京有楽町にある和歌山県のアンテナショップ「わかやま紀州館」の物産担当の方にめはりずしの歴史を取材しました。
「もともとは山仕事や筏のりの弁当であったそうです。山間部や海沿いなどでもよく育つ高菜は、熊野のような山がちの地形で昔から育てられていました。大量のご飯を高菜で包んでいたので1つが大きく、目を張って食べていたことから“めはりずし”と呼ばれるようになったと言われています。現在では、そこまで大きくはなく、手のひらに収まるくらいのサイズです」。
レシピは、「高菜の漬物の茎を切り取り、葉でご飯を包みます。切り取った茎は刻んで、ご飯に混ぜたりもします」とのこと。おや、簡単。なのに、「目を見張るほど、本当に美味い」と井浦さんが語ってくれた、めはりずし。「わかやま紀州館」では高菜の漬物(冷凍品)も販売しているとのことなので、めはりずし作りにチャレンジしてみるのはいかがだろう。
- TEXT :
- 堀 けいこ ライター
- PHOTO :
- 篠原宏明