いつの時代も憧れるのは、「自分」というスタイルがある人。仕事もプライベートも充実したワークライフバランス、ただトレンドなだけでなく自分なりの審美眼に裏打ちされたファッションセンスを垣間見たとき、私たちはいつも心奪われます。そんなスタイルのある人の個性や魅力が凝縮されているのが「バッグとその中身」。Preecious.jpでは、大人の女性のバッグ事情を丁寧に調査してゆきます。
まずはPR&ブランディング会社・オーエンス代表 兼 イメージングディレクーター・髙橋みどりさんのバッグとその中身を拝見させていただきます。自分なりの視点やこだわりをもって、「好きなもの」に忠実な姿勢は、「働く大人の女性のモノ選び」の好例。私たちの今後のモノ選びにも影響を与えてくれそうです。
ブラウンにもグレーにも合う、グレージュの色味がお気に入り
ここ10年くらい、冠婚葬祭を除いては、黒い服をほとんど着なくなったいう髙橋さん。
「年を重ねた今となっては、モード感が強すぎるものも、ファッションコンシャスすぎるのも違う気がしてきて。素材の上質感はありつつも、リラックスした雰囲気を目指すように、気持ちの上でも変化があったからかもしれません。バッグ選びもまた然り。グレー系にもベージュ、ブラウン系にも合うものばかりが多くなりました。中でも上品さとこなれ感のある”グレージュ”のものが増えましたね。エルメスのこの『ボリード リラックス』も、かなり愛用しているバッグのひとつです」
iPadが入るかどうかが、バッグ選びの新基準
iPadを持ち歩くようになって5年くらいという高橋さん。それまではその日の予定や服装、気分などに合わせてバッグを選んでいたので、小さなバッグの日も大きめバッグの日もあったとか。
「今では仕事で使うiPadが入るかどうかがマスト。このエルメスの『ボリード リラックス』も、iPadを持ち始めた5年くらい前に買いました。どうしてもiPadの分は重くなるので、軽いというのも決め手に。かっちりしすぎない、少しくたっとした佇まいも好みでした。口が大きく開くので、荷物の出し入れがしやすいという利便性も。あまりに使いやすかったので、キャメルも買いました」
急きょオフィスに戻れなくなったり、ちょっとした合間にメールの返信などもしたいから、iPadは常に持ち歩いているという髙橋さん。となると、iPadケースは必須です。これはiPadを買ってすぐのイタリア出張で買ったという、ステラ マッカートニーのもの。「写真を撮ったり、メールを確認したり、パーティーやイベント中にiPadを持ち歩くことも多いから、ケースもファッション性重視で探していました。とはいえ機能性も重視したかったので、専用ケースがいいと思っていたのですが、なかなかいいものに出合えず。コルソコモでこれを見つけたときは感激でした。クラッチバッグ感覚で持てるのがとってもいいんです。どうやら日本未発売らしく、そんなアイテムあったの? とよく褒められます」
お財布はロエベ。絶妙なブルーの色味がお気に入り
少し前に買い替えたという、ロエベのウォレット。これより前に使っていたグレーのプラダの財布が古くなり、新しいものを探していたとき、ふらりと入った六本木ヒルズのエストネーションで偶然出合ったのだとか。
「レザーの上質感はもちろん、なんとも言えない上品なブルーの色味がパッと目に入りました。バッグの中のレザー小物もブラウン系が多かったので、それとも相性がいい色味なのもよかったです。整理しても整理しても、すぐに領収書が溜まってしまうので、それまでのスナップタイプのお財布だと、止まらなくなってしまうことも。しっかり閉じるラウンドジップタイプにして正解でした」
スケジュール管理は手帳派。プライベートと仕事用を使い分け
スケジュールをデジタル化している人も多いけれど、髙橋さんはスケジュール管理はもっぱら手帳派とか。
「もう長いこと、プライベートはエルメス、仕事用はクオバディスのものを使っています。プライベート用のエルメスは30代のころに使い始めてもう4代目。これも既に5年近く使っているけれど、サイズ感といい、ペンが収まる機能性といい、絶妙です。毎年買い換えているクオバディスともかなり長いおつきあい。1週間の予定がひと目で見られるのも好きです。今年は落ち着いたブラウンですが、もっとポップな色味のものを使っていたことも」
名刺入れはピネッティ。薄いからこそ使いやすい
最近おろしたばかりという名刺ケースも、やっぱりグレージュ。ブラウン系の手帳とも水色の財布とも色味がマッチ。「これは友人のお店で見つけ、なんとも言えない色味に惹かれて買いました。このシンプルで薄いデザインもお気に入りです。名刺もすぐに溜まってしまうので、できるだけすぐに整理をするようにしています。これだと溜め込むことができないので、逆に名刺整理も効率的になった気がします」
化粧ポーチには必要最低限のものを
バイ マレーネ ビルガーのポーチは、必要最低限のものを入れるのにちょうどいいサイズ感と、コロンとした丸味のあるフォルムがお気に入りとか。
「ほとんどお化粧直しをしないタイプで…(笑)。ポーチの中は必要最低限のものしか入れていません。ケースがかわいいリップクリームは、ハワイで買ったロスポブラノス。ベージュ系のリップを1、2本。今日はシャネルとTHREEです。香りもポーチに収まるサイズ感も好きな、エルメスのオードトワレを。毎朝出勤前につけてからポーチに入れて持ち歩いています。ほかに、マスカラとチークを入れている日もあります」
外回りが多い日やセミナーのある日は携帯用の歯ブラシも
「講演会やセミナーなど、お話をさせていただく機会も多いので、携帯用の歯ブラシもマストです。どうせ持ち歩くならかわいい方がいいと思っていたら、エストネーションでマービスのトラベルセットを発見。これはいいとすぐに買いました。どんなものであっても、バッグの中に入れて持ち歩くものは、1日に何度も目にするもの。だからこそ自分が好きなものを持っているだけで、気分が全然違うから。このトラベルセットも買って大正解でした!」
雑貨屋で買った、折りたたみ式の老眼鏡
イタリアの雑貨屋さんで買ったという老眼鏡。白を選ぶところがさすが髙橋さん!
「メガネ屋さんで買った老眼鏡も持っているのですが、こちらはデザインと色に惹かれて即決したもの。それまでに持っていたものと度数を変えて使っています。折りたためるからコンパクトになって便利だし、おもちゃっぽいこの感じがかわいくて。ラフにそのままバッグに入れて、持ち歩ける気軽な感じも気に入っています。私たち世代だと、どうしても老眼鏡ともつきあっていかなきゃいけないもの。だからこそ持っていて楽しくなる、遊びのあるデザインだと気分が全然違いますよね」
そしてここからは、髙橋さんがエルメスの「ボリード リラックス」のほかに、最近愛用しているバッグも見せてもらいました。iPadが入るのが大前提のお仕事バッグも、選び方ひとつでこんなに違うのだ…と発見がいっぱいです!
梅雨時期にもぴったり!デルヴォーの限定ビニールバッグ
「休日に夫と銀座をブラブラしていて出合ってしまった、デルヴォー限定のバッグ。ベルギーブランドのデルヴォーは、品があって、佇いが美しくて、日本に上陸する前から大好きでした。そんな老舗ブランドの遊び心満載なビニールバッグが素敵じゃないわけありません。夫婦そろってひとめ惚れ。夫からは、私には大きすぎるのではと言われましたが、かなり前にもう少し小ぶりで赤のビニールバッグを買って、雨の日やカジュアルな服装のときに大活躍していたので…。結局、夫婦で共有しているのですが、使いたいタイミングがかぶるので、いつも取り合いです(笑)。梅雨の時期は、気分もオシャレ意欲もダウンしがちですが、お気に入りなアイテムがひとつあるだけで全然、景色も違って見えますよね」
褒められ率がとにかく高い!プラダの迷彩トート
「10年くらい前に買い求めた、プラダの迷彩トートバッグ。1週間くらいイタリアに滞在していたにも関わらず、プライベートタイムがほぼゼロという過酷な出張の帰りに、ローマ空港の免税店で運命的に私好みのものを発見。衝動買いしてしまいました。実は日本未発売だったらしく、それどこの? と聞かれ、10年経った今でも褒められることが多いバッグなんです。グレーベースなので迷彩でも大人っぽく、レザーの上品さもあり、程よくスポーティー。意外とどんな服にも合わせやすく、カジュアルスタイルをリッチアップさせるのに、ベーシックスタイルのポイントにと、とても重宝しています。シンプルでベーシックなものももちろんいいけれど、こういうデザイン性のあるものでも、自分が好きなものを選べば、何年たっても色あせずに活躍してくれると実感しています」
今年はカラーバッグも気分。買い足したのはジル・サンダーのイエロー
「この春夏は色物がトレンドのひとつと言われていて、服もバッグも靴もカラーバリエーションがとっても豊富。とはいえ、私自身が身につけるのは比較的ベーシックカラーのものが多かったのですが…。このジル・サンダーのバッグは、ビビッドすぎないけれど華があり、大人が持っても嫌味がない、まろやかなイエローに惹かれて、つい手に取ってしまったもの。ショルダータイプですが、iPadもしっかり入る絶妙なサイズ感。チェーン使いが涼やかで、持ったときにV字になるシルエットなど、見た目以上に持ったときのかわいさとしっくり馴染むデザインがとても秀逸。ブラウンやグレーにもよく映えるので、これからの季節、かなり重宝しそうです」
とにかく軽いボルボネーゼは、出張や荷物が多いときにも便利!
「お仕事をしていると、どうしても荷物が多くなってしまう日もあります。バッグ自体も重いとそれだけですごい重量になってしまって、移動も苦痛に。私はいつでも、少しでも気分よくストレスフリーでいたいから、そういう日はバッグも軽いものが一番。何年も愛用しているボルボネーゼのバッグは、一枚革で持っていないみたいに軽いので、まさに最適です。シンプルながらスタッズ使いやビッグタッセルで、程よくエッジの効いたデザインで、どんなシーンにも持てるので重宝しています。クタっとしていてトランクの中にもしまえるので、出張のときにも必ず持って行きます。私の鉄板カラーのグレージュなので、ワードローブとも相性抜群です」
いつからかトレンドなどに流されずに、「自分の好き」に忠実にモノ選びをするようになったと語る高橋さん。そのバッグと中身は、「ベーシックで上質」というさすがのラインナップでした。そして、「iPadが入ることが基準」という、バッグ選びに対して譲れないこだわりをもつという姿勢も、参考になりました。自分なりのポイントをもつことで、バッグ選びも中身の小物選びもスマートに、スタイリッシュになるのですね。
次回はトータルビューティサロンukaの代表でトップネイリスト、渡邉季穂さんの「バッグと中身」をご紹介します。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 草間智博(TENT)
- EDIT&WRITING :
- 塚田有紀子