日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。

極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。今回ご紹介するのは、鳥取県にある三朝(みささ)温泉「旅館大橋」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3900スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『おとな「ひとり温泉旅」のススメ』(三笠書房)、『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

浸かってよし吸ってよし!稀少な足元湧出の温泉を五感で享受する

鳥取県の中部に位置し、850年以上の歴史を誇る三朝温泉。「三たび朝を迎えると元気になる」との言い伝えが名前の由来とされ、世界屈指のラドン含有量を誇る放射能泉が多くの旅人の心と体を癒してきました。なかでも昭和7年(1932年)創業の「旅館大橋」は、職人の技巧が凝らされた木造建築の粋を集めた空間で、歴史の重みを感じながら心ゆくまで放射能泉の恩恵にひたれる老舗旅館です。

外観
三徳川沿いに佇む「旅館大橋」。
正面玄関
老舗の風格が漂う正面玄関。建物は国の登録有形文化財でもある。
客室一例
全客室がリバービュー。天井や欄間など随所に職人の技と遊び心が感じられる建築美も必見。

「こちらの宿の名物は、足元湧出の『巌窟の湯』。足元湧出とは、源泉の真上に浴槽があり、一度も空気に触れていない生まれたての温泉が足元から湧いてくる状態のことで、湯の鮮度が抜群です。もともとは河原だった場所の源泉が湧いているところに浴室を作ったという、まさに自然のままの湯処。浴槽に入ると足元の岩の間からポコポコと気泡と共に熱い湯が湧いてくるのを、肌で直接実感することができます。

3種類の浴槽があり、うち2つはラジウム泉、もう1つはトリウム泉。ラジウム泉もトリウム泉も、放射能泉の一種ですが、トリウム泉があるのは三朝温泉のなかでも『旅館大橋』だけです」(植竹さん)

巌窟の湯
名物「巌窟の湯」。
足元湧出
源泉が湧き上がってくるのが気泡でわかる。

「放射能泉は、浸かるだけでなく湯気に含まれる成分を吸い込むことで細胞が活性化されるホルシミス効果が期待できるといわれています。『巌窟の湯』はその恩恵にあずかるのにも好適。川の高さに合わせて作られた浴室で、岩に囲まれた洞窟のような半地下構造をしていることから、 温泉が気化した湯気がたちこめます。

深呼吸しながら湯浴みすることで、放射能泉の“浸かってよし吸ってよし”の醍醐味を十二分に堪能することができました」(植竹さん)

せせらぎの湯
露天風呂「せせらぎの湯」。

もう一か所の湯処「せせらぎの湯」は、川のせせらぎを間近に感じられる露天風呂です。四季折々の風情に包まれながら開放的な空間で湯浴みする。そんな自然のサイクルに身を委ねる贅沢な時間が、日常で凝り固まった心身を静かに解きほぐしてくれます。

客室の露天風呂
一部の客室は露天風呂付き。プライベートな空間で源泉かけ流しの湯をひとり占めできる。

冬は「松葉蟹」尽くし!山陰の旬を散りばめた会席料理に舌鼓を打つ

旅のもうひとつの主役といえば、やはりご当地の旬の幸。山と海に囲まれた山陰の恵みを贅沢に散りばめた会席料理は、名湯に癒やされた体に染み渡る味わいです。なかでもこの季節の主役は、鳥取の冬の味覚を代表する「松葉蟹」。活蟹をおひとりにつき2杯分も使用した蟹尽くしのフルコースは毎年人気を誇り、今シーズンは3月15日までの提供です。

カニ尽くしコース
蟹尽くしコース。

透き通った身が甘くとろける「蟹刺し」、熱を通すことでうまみが凝縮する柔らかな「蟹しゃぶ」、そして香ばしい香りと濃厚な蟹味噌がたまらない「焼き蟹」。めくるめく美食にひたる時間は、まさに冬の山陰を訪れた者だけが享受できる至福のひとときです。

カニ刺し
蟹刺し。
松葉ガニ
焼き蟹。

以上、三朝温泉「旅館大橋」をご紹介しました。国内でも希少な足元湧出の放射能泉や松葉蟹尽くしの会席料理で英気を養いたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

問い合わせ先

  • 旅館大橋
  • 住所/ 鳥取県東伯郡三朝町三朝302-1
    客室数/全21室
    料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥17,600~(税込)、松葉蟹尽くしコース 2名1室1名 ¥88,000~(税込)
  • TEL:0858-43-0211

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)