実用車=無機質とはならないのがフランス流!

随所にアクセントをまぶしたポップなスタイリングが、このクルマ最大の魅力だ。
プレス向けに披露された会場では、名車「2CV」も展示されていた。実用に徹しながらも、どこか洒脱な雰囲気が漂うのは、フランスの伝統芸。

押し出しの強さとか、曲線を随所に取り入れた複雑な造形もいいが、毎日使うクルマは、シンプルなほうがいい。小型車ならなおさらだ。

その点、フランス車はデザインも機能も割り切った設計のものが多い。合理的精神が息づくかの国で長い歴史を誇るシトロエンは、1949年に小型実用車の傑作、「2CV」を創造した。簡潔で独創的なスタイリング、ゆとりある室内空間、そして小排気量なれど、トコトコと走るのが愛おしい奥深き走行感覚は、現代でも十分に刺激的で、カーマニアではない女性や子供の心にも訴えかけてくる。

そして、この夏から日本に導入が始まった最新世代の小型車「C3」も、「2CV」とはまた違った意味で刺激的だ。最大の魅力はデザイン。

丸みを帯びたシンプルなスタイリングを基本としつつ、薄型のグリルとヘッドライトが一体化したマスク、そして随所に円系のモチーフを散りばめ、ボディカラーは全7色。

さらにルーフのカラーも3種類から選べ、側面には軽い接触からボディを守るエアバンプを個性的に配置している。

世代を超えて愛されるデザイン哲学

直系640㎜の大きなタイヤがデザイン上のアクセントにもなっている。そしてボディサイドのエアバンプさえもスタイリッシュ! フランス人のように、街中でボコボコぶつけても気にしない心のゆとりをもちたいものだ(無理だが…)。
簡潔にまとめられたインテリアの随所に、レザー調パッドがあしらわれている。全体のトーンは実にモダンで、見てくれの高級感だけを追求していないことがわかる。
シートのデザインも洗練されている。体を包み込む快適な座り心地は、フランス車の伝統であるしなやかな乗り心地と合わせて、ドライバーの心を解きほぐしてくれるだろう。

「C3」は、インテリアも簡潔で無駄のないデザインでまとめられている。

それでいてドアのインナーハンドルは仕上げ縫いが施されたストラップになっていたり、ファブリックのシートやレザー調のパネル類も美しい。とにかく、すべてが「ポップ」で若々しいのだ。

クルマのデザインを語るうえで、よく「遊び心」という言葉が使われるが、確かな安全性と品質が求められる工業製品である以上、制約だらけだし自由度は低い。

だが、「C3」は、直接的なつながりはないにせよ、大先輩たる「2CV」と同じく、世代を超えて愛される魅力に満ち溢れている。フランスの洒脱なセンスは、クルマに「遊び心」ではなく本当の「遊び」を機能で表現し、日用品としてもしっかりと機能して、心を豊かにしてくれる。

ハンドルを握るだけで明るい気分になれる「C3」なら、都会の渋滞でもイライラしないで済むだろう。そういう意味では、実にラグジュアリーなクルマなのである。

〈シトロエン・C3 シャイン(上級グレード)〉

全長×全幅×全高:3995×1750×1495㎜
車両重量:1160~1180kg
排気量:1199cc
エンジン:直列3気筒DOHCターボ
最高出力:110PS/5500rpm
最大トルク:205Nm/1500rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT
価格:239万円(税込) 
<お問い合わせ>
シトロエン・コール
TEL:0120-55-4106
http://www.citroen.jp/

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2017.7.13 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。