いろいろなクルマに乗ってきた。トヨタ『カリーナED』、日産『テラノ』、VW『ヴァナゴン』T4キャンパー、アルファロメオ『155』、ランドローバー『レンジローバー』、メルセデス・ベンツ『SLK』……。

今まで所有したもので何がいちばん好きか?と問われたら、真っ先に頭に浮かぶのがMG『MGB』だ。

このクルマ、スポーツカーなれど、下駄代わりにちょいと乗れるし、シンプルでとても機能的。何せMGのコンセプトが、「Safety Fast」だ。

あれこれ想像するのが楽しくなる英国オープンカー

MGは英国を代表するスポーツカーブランド。『MGB』は1962年に誕生、1980年に生産終了。本当はアルミバンパーが感じだが、僕のは北米仕様のウレタン製。ま、これはこれで実用に適している。まだシングルシートで助手席がすっぽり空いていて、ここにクリスマスツリーなんか積んでオープンで走ったら絵になるだろうなー、とか考えるのが楽しい。
MGは英国を代表するスポーツカーブランド。『MGB』は1962年に誕生、1980年に生産終了。本来はアルミバンパー製だが、僕のは北米仕様のウレタン製。ま、これはこれで実用に適している。まだシングルシートで助手席がすっぽり空いていて、ここにクリスマスツリーなんか積んでオープンで走ったら絵になるだろうなー、とか考えるのが楽しい。

しかし、このクルマ。観たり、触れたり、運転したりするとたまらなく楽しい。こんなに心に訴えかけてくるクルマもそんなにないと思うのだ。『MGB』、動かなくなって約20年。友人のO氏と一緒に共同所有という形でガレージに眠らせていた。で、メンズプレシャス秋号のヴィンテージカー特集がきっかけで、レストアに取りかかることになった。

20年の時を経て現代へタイムスリップ!

この角度と、バックからの眺めが好き。三角窓が開くとことか、かわいさ抜群。今回の試乗では、30年愛用した〝バブアー〟のオイルドコートとハットを合わせてみた。
この角度と、バックからの眺めが好き。三角窓が開くとことか、かわいさ抜群。今回の試乗では、30年愛用したバブアーのオイルドコートとハットを合わせてみた。

カート用のサーキットコースで試乗。エンジン点火。一気に20年前にタイムスリップ!鼻の先でエンジンが回る、この感覚。オイルの香り。何周も何周も走らせて、べたつく手や顔。これぞ英国オープンカー!

しかし、まだまだクルマの入院治療は続く。それでもどこを走ろうか、だれを隣に乗せようか夢想の日々だ。

20年ぶりの再会は、恋の再燃と似て、一回でも触れてしまうともういけない。会いたいという思いが日増しに募る。しかし、ラジエターだ、幌だと、まだまだお金がかかる。大人の恋にお金がかかるのと、これまた似ていて、楽しくも憂鬱なのである。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2019年秋号より
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WRITING :
酒井直人
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