自動車ライターを生業とする傍ら、近年は英国車専門の自動車博物館で副館長も務める私だが、元はといえば生粋のイタ車ファン。今おすすめのイタリア製「クラシケ」は、1955年の誕生以来、イタリアの国民車として熱愛されたフィアット『6セイチェント00』と、今や日本のみならずイタリアでも「ルパン三世の愛車」と呼ばれる、二代目『5チンクエチェント00』の姉妹だ。

乗りこなせたら最高に格好いいアバルトチューンの手ごわいクルマ

フィアット『600D アバルト』

フィアット『600D』のアバルト仕様(’65年式)にして、写真のモデルはアウトビアンキ『A112アバルト』の強力な1,050cc、70psユニットを収めた仕様。オーナーはモータージャーナリストの吉田匠氏で、ヒストリックカーのラリーやヒルクライムに出場するために購入。アバルトではない『600D』の中古車相場は180万~330万円。
フィアット『600D』のアバルト仕様(’65年式)にして、写真のモデルはアウトビアンキ『A112アバルト』の強力な1,050cc、70psユニットを収めた仕様。オーナーはモータージャーナリストの吉田匠氏で、ヒストリックカーのラリーやヒルクライムに出場するために購入。アバルトではない『600D』の中古車相場は180万~330万円。

ともに安価な大衆車として生まれつつも、そこはデザイン立国イタリアのクルマ。当時の有名デザイナーがスタイリッシュに仕立てた『600』と、小さなサイズを生かした、キュートな『500』と、それぞれの魅力を放つ。忘れてはならないのが、おそらくは自動車史上初となる、コンプリートで販売されるチューニングカーのベースモデルとなったこと。その代表がアバルトだ。

アバルトは、’50〜’70年代のレースシーンで大活躍しただけでなく、ストリートでも当時の若者を魅了。エキセントリックで先鋭的なクルマと受け止められた。正直、ヤワな現代人には手ごわいのだが、乗りこなせたら最高にカッコイイのが、この時代のアバルトなのだ。(文・武田公実/自動車ライター)

※2019年秋号掲載時の情報です。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2019年秋号より
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戸田嘉昭(パイルドライバー)