目黒区鷹番。地域の最寄り駅である学芸大学駅の東口を出て、近くの高架沿いを歩く。住宅街に向かっていると現れるのが、学芸大学駅で最老舗のスナック『五木』だ。
入店に躊躇してしまう!? 歴史を感じさせる外観
小さな小売店や住宅が立ち並ぶ中、一際年季を感じさせる建物が現れる。もちろん店内をうかがうことはできず、一見の客には入りづらいかも知れない。軒先のテントにもSnackという文字があるが、どことなく喫茶店のような佇まいだ。
軒先に近づくと、またスナックの印象を裏切られる。一般的にスナックは人を寄せ付けない雰囲気があるが、店頭にメニューが掲げられているのだ。
しかも料理のすべてが手作り。やはり一般的なスナックとは少し違う。
扉を開けて店内に足を踏み入れる。6席のカウンターの奥に4人がけのテーブルが2つ見える。テーブル席に腰を落ち着け、今宵の美女である生駒さんとビールで乾杯といこう。
生駒さんは一人飲みも臆さないタイプで、一人で焼き肉やイタリアンにも行けるという。頼もしい限りだ。
ビールとともに出されたお通しは、そのボリュームに驚かされる。
お通しというよりも、一品料理といっていいほどの量だ。出汁の効いた、あっさりとした醤油味が母の手作り料理を彷彿とさせる。
今夜は1軒目に訪れたので、料理もオーダーする。昭子ママが一つひとつ手作りしているため出てくるまで少し時間がかかるが、ここには囲碁と将棋盤がある。
それらを嗜む御仁なら、それらに興じながら料理を待つのもいいだろう。
昭子ママ手作りの純然たる家庭料理
いよいよ料理の到着だ。一品目は「なす、ピーマンの味噌炒め」。
味噌炒めでありながら、こってり感はなく、シャクシャクした食感の残るピーマンなど野菜の味がしっかりと感じられる。
続いては生駒さんが「本当においしい!」と絶賛した焼きそばのお目見えだ。
豚肉、キャベツ、ピーマンのスタンダードな具材に焼き目の香ばしさが口に広がる。ソース味ではあるが、あっさりしていてするすると食べやすい。
お腹が膨れた。後編では昭子ママにこの店の歴史を尋ねてみよう。
【スナック 五木】
問い合わせ先
- スナック 五木 TEL:03-3710-1900
- 住所/東京都目黒区鷹番3-4-24
営業時間/17:30〜25:00
定休日/第1日曜日
メニュー/生ビール¥650、サワー¥600、焼酎¥650、焼酎ボトルキープ¥3,500〜、ウイスキーボトルキープ¥4,500〜、焼きそば¥750、なす、ピーマンの味噌炒め¥700、カラオケ歌い放題¥1,000
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO&MOVIE :
- 黒石あみ