食の醍醐味を追求し、新旧問わずさまざまな飲食店にアンテナを張り巡らせている、フードコンサルタント。
その飲食店のプロが評価するお店は、どんな優れた特徴があるのでしょうか? 今回は、都内在住のフードコンサルタント壬生茜さんに、日ごろから巡っている飲食店のうち、特に多く訪れているという寿司屋のなかから、おすすめの高級寿司店3店舗を紹介していただきました。
日ごろのランチやディナー利用はもちろんのこと、接待や大切な人とのひとときにも利用できそうです。
フードコンサルタントが絶賛する都内高級寿司店3選
■1:「鮨 さいとう」|六本木
「言わずと知れた有名店、鮨 さいとうには通い始めてから10年以上経ちますが、いまだに私の心とらえて離さないお店です。今回はあえて、メインカウンターの、世界が認める齋藤孝司氏ではなく、2番手を任されている橋場俊治氏の通称『個室』をおすすめさせていただきます(※)」
「5年ほど前より個室を任されている橋場俊治氏は、32歳という若き寿司職人。控えめで口数は少なく、やわらかい印象ですが、にぎりの瞬間に見せる眼光の鋭さ、そして腰を落とし、魂を込めるようなスタイルが目を惹きます」
「空気を含み、握られたシャリは、置かれた瞬間にふわりと沈みます。口に運ぶと、形を保っていたのが不思議なほど、ほろりとほどけ、ネタと絡み合えば、うっとりとする美味しさ!」
「江戸前鮨のため、ネタは定番が多く、季節による大きな変化はあまりないですが、それを補うのが『つまみ』。潔いまでにシンプルで、派手なことはせず、マイナスの美学を感じるものが多くあります。このバランスにより、一生通い続けたいと思うほどの魅力的な鮨屋なのです。予算感は30,000~40,000円くらいです」
■2:「鮨 なんば 阿佐ヶ谷」|杉並区阿佐谷南
「親方の難波英史氏が『鮨 なんば 日比谷』をオープンするにあたり、板場を任されることになった高岡俊輔氏が率いるお店です。
鮨 なんば 阿佐ヶ谷の最大の魅力は、俊輔大将がイケメンであることでしょうか。というのは冗談であり、事実でもありますが、整った容姿に見惚れて油断をしていると、ときどき、いたずらをされたりもします(笑)。若いのにこの愛嬌、接客の能力は秀でたものがあり、客から愛されている様子がうかがえます」
「おいしさはもちろんのことですが、こちらの魅力は、コストパフォーマンスが非常によいこと。私はこのお店ではいつも日本酒をいただくのですが、5種類ほどいただいても20,000円を少し超える程度。都内のこのクラスの鮨屋では驚異的な価格です」
「にぎりは王道の江戸前。白酢と赤酢のシャリを使い分け、ネタに合わせたシャリの温度変化でネタの香りを立たせるなど、技が込められています。ネタとのバランスもよく、しかし、ときにはひと口では食べきれないような、大胆なにぎり、例えば車海老などもあります。
カウンターは12席と、ほかの寿司屋に比べると席数が多いですが、客を楽しませながら、テンポよく展開していく姿にも感心させられます」
「そして日本酒のラインナップが豊富で、特に十四代の品ぞろえは都内随一ではないでしょうか。カウンターにずらりと十四代を並べてくれるのですが、圧巻! ついつい、飲みすぎてしまう危険なお店です」
■3:「鮨 海界」|六本木
「北海道のミシュラン三ツ星店で修業を積み、独立された西崎祐樹氏の鮨 海界(すしかいかい)。六本木のミッドタウンからすぐという立地でありながら、ここだけ、世界が違うかのような落ち着いた空気が流れています。
先の2店と比べると、予約も取りやすく、使い勝手がいいため、実はあまり教えたくないお店です。西崎氏はパッと見は強面(こわもて)ですが、ユーモアがあり、気さくで楽しい方です」
「西崎氏が北海道出身ということもあり、北海道のネタも多く、珍しいものがいただけるのも特徴です。そしてにぎりもいいのですが、つまみが秀逸!
素材の組み合わせも面白く、お酒が好きな人にはたまらないラインナップで、ついつい、飲みすぎてしまうお店です。お酒も北海道のものがたくさんありますので、都内にいながら北海道の魅力を満喫できるのは貴重です」
「他店ですと、基本は『おまかせ』1メニューというところが多いですが、ここでは『フルコース』『にぎりのみ』『アラカルト』などと柔軟な注文ができることもうれしいポイントです。予算感は、25,000~35,000円くらいです」
どのお店も寿司職人が生み出す美しい寿司と高級感あふれる雰囲気が伝わってきますね。
またそれぞれのお店の魅力も知ることができました。どのお店も予約が必要なので、利用の際には予約をして出かけましょう。
問い合わせ先
- 鮨 さいとう
- TEL:03-3589-4412
- 住所/東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワー1F
- ※個室は、2020年4月12日(日)より「鮨 さいとう」から独立し「鮨 俊治」となる予定。
- 鮨 なんば 阿佐ヶ谷
- TEL:03-3391-3118
- 住所/東京都杉並区阿佐谷南3-44-4 B1F
- 鮨 海界
- TEL:050-5303-6253
- 住所/東京都港区六本木7-9-6 ヒタチプラザ1B
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子、榊原淳