昨今の新型コロナウイルス感染症の影響や、近年のテレワーク推進や働き方改革の動きに伴い、「WEB会議」を導入している企業が増えています。

しかし、組織改革支援を行う企業「スコラ・コンサルト」の調べによれば、「WEB会議」においては、「相手の真意が読み取りづらい」「仕事の依頼が正しく伝わらず、手戻りが多くなった」「ちょっとした意思疎通に時間がかかる」などの課題が挙げられています。

仕事の生産性を高めるために、円滑なコミュニケーションは不可欠ですよね。しかしオンラインのやりとりでは、対面で一緒に仕事をするのに比べて、まだまだ100%円滑にコミュニケーションが取れる、とは言えない現状です。

そんな「WEB会議での困りごと」を解決するためのコツを、上記調査結果とともにスコラ・コンサルトが発表。「ビジネスにおける本音の対話」をコンセプトにした「オフサイトミーティング(R)」を、1,000社以上累計15万回を超えてコーディネートした経験のある同社が提案する「解決策」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

課題感の残る「WEB会議でのコミュニケーション」の解決策は?

■1:日頃の会話を見直すきっかけにも「WEB会議での困りごとチェックリスト」

まずはこちらの「WEB会議での困りごとチェックリスト」をご覧ください。

キャリア_1,アプリ_1
WEB会議での困りごとチェックリスト

通常の会議とWEB会議、それぞれの場面で強く感じる、と思うほうにチェックを行います。普段お仕事で会議をされている方は、どのくらい当てはまったと感じましたか?

上記のチェックリストは、チームなど、いつも会議を行うメンバーでチェックをするべき項目なのだそう。「WEB会議で強く感じる」にチェックが多い場合には、会議を実施する前に、あらためてWEB会議の特性を理解し、話しやすくする方法や、「対話の質」を上げることを意識する必要があるそうです。

ちなみに通常の会議で感じる、にチェックが多い場合には、WEB会議にとどまらず、日頃の社内での対話を見直す必要があるかもしれません。

■2:それって機器の問題かも?「WEB環境やリテラシーの課題」も見直して

また、WEB会議の課題は、「対話・コミュニケーションの課題」のほかにも、「WEB環境やリテラシーの課題」の側面もチェックしておく必要があります。

キャリア_2
事前におさえておくべき環境やリテラシーのチェックポイント

例えばWEB会議に使用するツールの使い方に慣れていなかったり、接続が途切れてしまったり……。そうなってくると対話以前の問題ですよね。

また、議事録が共有しにくい、システムがいまいち使いにくいという方は、もしかしたらよりよいツールを知らないだけかもしれません。

■3:困りごとが起きる原因とは?「WEB会議特有の性質」を理解して

キャリア_3,アプリ_2
テレワークが進む中、円滑なコミュニケーションを取れるのが理想ですよね

スコラ・コンサルトによれば、チェックリストのような困りごとが起きてしまう背景には、ふたつの「WEB会議特有の性質」があるそう。

ひとつ目は、「役割・立場の壁がいつも以上に高くなり、フラットな話が難しくなること」

元々フラットな関係性を築けている仲間との対話であれば、問題はあまり顕在化しないものの、日頃から上司部下の壁や、部署間の壁がはっきりとしている会社であれば、WEB会議はその壁を強化してしまう傾向にあるそうです。

「普段の序列」「場の同調圧力」「会議の結論に対しての予定調和感」の3点が強まりやすいため、例えば「なかなか意見が言いにくい」「聞き返したり確認しにくい雰囲気を感じる」などの問題が起こってしまうのだとか。

また、ふたつ目は、「定型的な仕事や会社からの指示など、固定化された情報の伝達は容易な一方で、その情報に紐づく感情情報や背景状況の交換が難しくなること」

平たく言えば「なぜそれが必要か」などの指示の背景が見えづらくなったり、「どのくらい意見に対して同調しているのか、どのくらい納得しているのか」など、個々の気持ちがオンラインだと見えづらくなります。

その情報をブラッシュアップしたり、よりよいイメージを生み出していく、創造的なコミュニケーションも、WEB会議だと難しい傾向にあるのかもしれませんね。

キャリア_4,アプリ_3
「対話の4象限とWEB会議の特徴」

ちなみに「対話の4象限とWEB会議の特徴」という図では、一方向/双方向、既知/未知という軸において、対話の性質を示しています。

「WEB会議の強み領域」として示されている「一方向」で「既知」の部分というのは、例えば上司から部下へ指示を出す、といった、単純なやり取りの場面が多いかと思います。

この範囲が「双方向」の方向へ、また「未知」の方向へ広がるにつれ、課題も大きくなっていくので、WEB会議を導入する際には、こういった対応範囲をどこまで広げていけるかを見極めていかなければいけないのかもしれません。

「WEB会議での困りごと」対策の最大のコツは「対話の質」!

そんなWEB会議での困りごとを解決していくための最大のコツは「対話の質」にあるそうです。WEB会議のメリット・デメリットを理解し、その対策のコツを理解するだけでも、WEB会議における対話の質は変わってくるそうですよ。

■1:WEB会議「対話の質を高める」に使える3つの秘訣

キャリア_5,アプリ_4
WEB会議「対話の質を高める」に使える3つの秘訣

WEB会議の「対話の質を高める」ために使える秘訣は、「要約と確認」「迷子探し」「サイレント(SILENT)」の3つ。

細かいニュアンスが伝わりにくくなりがちなWEB会議だからこそ、「きちんと要点が伝わっているか、理解できているか」を確認すること。時には立ち止まって「会議についてこれているか(迷子探し)」を確認すること。もし意見を出していない「サイレント」さんがいる場合には、積極的に意見を求めていくこと、などが大切ですよ。

■2:WEB会議「最初にやるといいかも」3つのコツ

キャリア_6,アプリ_5
WEB会議「最初にやるといいかも」3つのコツ

WEB会議では「話しやすい空気」をつくる工夫も大切です。WEB会議を始める前に、「声チェック」「一人一言」「ゴール確認」の3点を意識してみましょう。

スタート時点で全員に一言話してもらって、まずは声量のチェック。これは音の環境の状況を確認するのにも有用です。

せっかくならば、一人一言を回して、場の雰囲気を柔らかくするのもおすすめです。これは日々の業務連絡でもいいですし、ちょっとした日常の近況などでもOK。顔を合わせることの少ないテレワークを円滑に進める上で、各個人の状況を把握するのも大切なことですよね。

最後に「ゴールの確認」。これは話し合いや会議の基本ともなりますが、今日の会議の目的やゴールのイメージを共有しておくことで、参加者にとっても何が求められているのかわかりやすくなる、というメリットがあります。

■3:WEB会議「話しやすくする・なる」に使える3つのコツ

キャリア_7,アプリ_6
WEB会議「話しやすくする・なる」に使える3つのコツ

最後にWEB会議で「話しやすくする・なる」に使える3つのコツ、「フェイス(FACE)」「枕詞」「ルームグッズ(ROOM GOODS)」をご紹介します。

まずは「フェイス(FACE)」。基本的には顔しか見えないWEB会議だからこそ、皆の表情に注目してみましょう。表情を見て気になった場合には「なにか困っていることはありますか?」と声をかけ、話しやすくする環境をつくってあげましょう。

そして「枕詞」。なかなか途中で口を挟みにくいWEB会議。そんな時には枕詞を付けるとよいそうです。「外しちゃうかもしれませんが」「少し文脈ずらしてしまうかもしれないけど」、などと発言するハードルを下げる言葉を覚えておくと、話しやすくなるそうですよ。

最後に「ルームグッズ(ROOM GOODS)」。テレワークだと、各個人の部屋の様子も画面に映りますよね。会議の冒頭に時間をとって、「画面に映った気になるもの」を紹介してもらうことで、いつもは見えないその人らしさが見えたりするそうですよ。


現在の情勢だけでなく、以前から課題となっている「ダイバーシティ対応」に向けて、これからの社会に必要不可欠となってくるであろう、「WEB会議」。みなさん個人や、仕事のメンバーそれぞれが、ちょっとした心がけを行うことで、よりスムーズな会議を進めることができるはずですよ。

問い合わせ先

スコラ・コンサルト

この記事の執筆者
フリーランスの編集者・ライター。グルメやスイーツ、ライフスタイル系の記事執筆・編集を中心として活動中。元システムエンジニア、プログラマの経験を持つ。二児の母。趣味は料理、SNS、写真を撮ること、美味しいものを食べること。麺類と辛いもの、自分のために買うご褒美スイーツが特に好き。
Twitter へのリンク