ビジネスやカジュアルでも使えるシャツをビジカジシャツと呼ぶ。オンタイムではきちんと礼儀と節度を表現し、休日やアフターファイブにはさりげないお洒落を主張し、使用シーンを選ばず使えるのが特徴だ。万能な白シャツを1枚持つことで、白シャツコーデの大きな武器になることは間違いない。しかし、数あるシャツブランドのなかで、どれを選べば良いかは難しい。ここでは、あなたのライフスタイルを豊かに演出してくれる、優秀な白シャツを3種類、ボタンダウンシャツ、カッタウエイカラー、ダブカラーシャツそれぞれの特徴を踏まえながら紹介する。
ファッションプロが探し求めた「究極の白シャツ」
白シャツは毎シーズン買うから、今まで何枚着てきたのか想像もつきません。
僕がお洒落に興味を持った1970年代半ばは、日本に海外ブランドが入りだした時代。
ボタンダウンシャツへの憧れはあったけれど、「ブルックスブラザーズ」は、まだ日本になかったから、初めて自分でお金を出して買った白シャツは「セロ」ですね。確か綿ポリの生地だったと思います。
原宿キャシディには’81年に入社したのですが、’80年代後半から’90年代前半にかけては、ラルフローレンから独立したジェフリー・バンクスやロバート・ストックらが台頭するなど、N.Y.がファッションの震源地でした。
よく買い付けにも行った、思い入れのある時代です。
ニューリパブリックのトム・オートマンも、そんなN.Y.で活躍したデザイナーのひとり。
古いものをよく知っている人でしたね。台襟にふたつボタンが付いた白シャツは、当時好きだったデザインです。僕は新しいデザイナーの服を買うときは、まず白シャツをオーダーするんです。
自分が着たいのもあるけれど、その人の本質がいちばん出るから。だから白シャツはこの仕事をやる上でも、特別な、清きよいものですね。できればぜんぶ袋に入れて売りたいくらいです。(八木沢さん談)
ノータイでシャツを着る際に抑えて置きたいポイント
では、実際にどのシャツを選択すれば良いのか?
ノータイでシャツを着るときに押さえておきたいポイントは、まず長袖シャツを選ぶのが正解。つぎにボタンダウンのシャツを選択することでノータイでもシャツの形が崩れないので、ノータイでもシャツの形が崩れない。そもそもボタンダウンのシャツは、ノータイで着るのを前提としてつくられているので、襟先が広がらないようにボタン留めできるようになっているのが特徴。
さらに清涼感、清潔感をアピールするため、ブルーや白といった色のシャツを選択するのが良いだろう。麻や綿のほかにシアサッカー素材のシャツもおすすめだ。
ビジネスだけでなく、リゾートでも活躍する白シャツコーデ
スーツのみならず、白シャツはあらゆるシーンでその実力を発揮する。そのなかでもカッタウェイシャツは場所を選ばずに使用できる。一般的なビジネスシーンやリゾート地でも使用可能で、アレンジ次第ではフォーマルコーデでも活躍し、蝶ネクタイとの相性も良いだろう。また、シャツの色は派手なものではなく、白シャツを基本に選ぶのがいいだろう。
ノータイでも首元やvゾーンなど、綺麗に見せることができるのが、カッタウェイシャツやボタンダウンシャツの特徴。1枚あればコーデの幅が広がるが、葬式など適さない場所もあるので注意が必要だ。シャツの個性を理解しコーデの幅を広げてみてはいかがだろうか。
※価格はすべて税抜きです。※価格は2017年夏号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 山下英介 MEN'S Preciousファッションディレクター
- BY :
- MEN’S Precious2017年夏号 これぞ究極の「白シャツ」列伝!より
- クレジット :
- 撮影/川田有二(人物)、小池紀行(パイルドライバー/静物) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/ Kazuya Matsumoto(W management) モデル/ Trayko レイアウト/武藤一将デザイン室 構成/山下英介(本誌)