新型コロナウイルスの影響で閉館していた「銀座メゾンエルメス フォーラム」が、6月4日(木)より再開。中断となっていた、ブラジル・サンパウロを拠点に活動するアーティスト、サンドラ・シントさんによるドローイングを活かした個展「コズミック・ガーデン」展が、6月4日(木)〜7月31日(金)の期間にて開催されます。
気軽に全身でアートを感じられる空間で、自粛生活で疲れた心もリフレッシュできそうです。
「銀座メゾンエルメス」の空間を活かした、幻想的で美しいインスタレーション
独自性のある展覧会で知られる「銀座メゾンエルメス」8階のギャラリー、「メゾンエルメス フォーラム」。現在開催中の展覧会「コズミック・ガーデン」は、ブラジル・サンパウロを拠点に制作を続けるサンドラ・シントさんによる、ドローイングをいかした個展。
レンゾ・ピアノ氏が設計したガラスブロックの空間と、シンクロしながらさまざまな表情を見せる、神秘的で美しいインスタレーションです。
ペン1本を使ったドローイングで、自然と時間を描き出すサンドラ・シントさん
2週間をかけて5名のアーティストとともに「銀座メゾンエルメス フォーラム」の壁全体にドローイングを施し、青の世界を創り上げたサンドラ・シントさん。
ブラジル・サンパウロを拠点に活動するシントさんは、星や結晶、波などをモチーフとしたドローイングを用いて、建築や空間と密接に関わったインスタレーションを、数多く手がけてきたアーティストです。
彼女が主に使うのは、ペン1本。誰にでもできる原始的な手法を使ってメッセージを発信するということを、非常に大切にしているのだといいます。
朝・昼・夜、ガラスブロック越しに時間と光の移ろいを感じて…
会場は大きくふたつに分かれています。まず、エレベーターを降りて右側に広がる、明るい青の世界。壁一面に描かれたドローイングを、ガラスブロックを通して刻々と変わる、日の光が照らします。
「空間を活かした作品が多い私にとって、建築との対話や関係性は非常に重要です。レンゾ・ピアノ氏による建築のなかで制作できたことを、うれしく誇りに思います。この空間のなかで最も特徴的な要素が、ガラスブロック。光を取り込むこのブロックを活かして、会場全体で時と光の移ろいを表現しました」(シントさん)
シントさんの長年の願いが実現した、全身でアートを感じる空間
会場を進むにつれて、明るいブルーは濃く深く、紺碧へと変化します。奥の空間が、夜を表現したもうひとつのスペース。こちらでは靴を脱いで鑑賞します。
「深い夜の世界へようこそ! ここではリラックスして、ゆったりと過ごしてください。座ったり寝転んだりもできますよ」(シントさん)
床には星空を描いた絨毯やクッションが設置され、文字通り腰を下ろすのも寝そべるも自由。見渡せば、周りには神秘的な宇宙空間が広がります。
実は、カーペットを使ったインスタレーションは初めてなのだとか。
「長年の間、よりトータルに作品を体感できる、親密な空間が創りたいと考えていました。ブラジルでは実現ができていなかったのですが、やっと願いがかないました。これは私にとって、頭に思い描いたことをすべて形にすることができた、初のインスタレーションです」(シントさん)
この空間でぜひ注目したいモチーフが、星に架かる橋。
「アートを通して人と自然の橋渡しをしたいと思っています。人工的に創り出された自然ではありますが、私の作品が自然に思いを巡らせる、きっかけになればと願っています。また、国と国の争いが続く現代にあって、アートは人と人を繋げる役目を担うことができるのではないか?と。そういった思いを込めて、橋を描きました」
「コズミック・ガーデン」展に込められた願いがもうひとつあります。それは、「この親密でリラックスできる空間を通して、訪れる人に元気になってほしい」という、シンプルで温かなメッセージ。
「ここに来て、より皆さんの気分が明るくなるように、もし落ち込んでいる方がいたら、少しでも気分が晴れるように。そんな願いを込めて制作しました」
モダンアートやインスタレーションというと、構えたり難しく考えたりしてしまいがちですが、「コズミック・ガーデン」展ではもっと直感的に、空間に身を委ねて、ただただリラックスすることができます。
もしかしたらこの展覧会は、あなたのなかのアートという概念をやわらかく変えてくれる、きっかけになるかもしれません。
「コズミック・ガーデン」 サンドラ・シント展 詳細
会期/6月4日(木)〜7月31日(金)
開館時間/11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
定休日/エルメス銀座店の営業時間に準ずる
入場料/無料
住所/東京都中央区銀座5-4-1 8F
会場/銀座メゾンエルメス フォーラム
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 石原あや乃