僕たちファッションエディターにとって、8月とは繁忙期であると当時に、最大の「散財期」でもあります。

要するに春くらいに注文していた洋服が、請求書とともにわんさか届くんですな。

こういう仕事をしていると、ちょっと安くしてもらえたりという役得もありますが、その分失敗もあります。

人間半年もたてば気分がガラリと変わるものですから、届いたころには「あれ、こんなの頼んだっけ?」「ていうかもうこれ要らねえな・・・」となることが多いんです。

あと面白いのは、似たようなモノばかり買ってしまうこと。あとになって「なるほど、俺あのとき、こういう気分だったわけね」と気づかされるわけです。

ちなみに今季の僕の気分は「茶ジャケ」だったようで・・・。

一着目は 「T-MICHAEL」。

「ノルウェージャンレイン」などで人気のマイケルさんがデザインする、クロージングブランドです。

ホップサックのようなブラウンの生地を使ったこちらは、ダブルのふたつボタンで、ウエストのポケットが縦に切られた、デザイナーズライクなジャケット。

着丈も長いので、ピーコートのような感覚で着るのがよさそうです。

実をいうとこちら、ブランドのルックブック制作にモデルとして参加したお礼として、本人からプレゼントされたものなんですよね。

かつてのホームタウン、神楽坂にて。僕で大丈夫だったのでしょうか・・・。

続きましてはかなりの大物「アットリーニ」です!

今年1月にナポリのファクトリー取材をした際に、奮発してス・ミズーラしておいたのだ!

この業界のおしゃれな方々が、口をそろえて「ヘタなオーダーよりもアットリーニの既製のほうがずっといい」と言っているのが今まで理解できませんでしたが、確かにここの既製ジャケットはすごい。

それがス・ミズーラとなれば、そりゃあもう、言うことなしです。

肩にカポッとはまる感触に「オホッ」と気色悪い吐息を漏らしてしまう、服オタ心くすぐるジャケットでした。生地はウインドウペーンのツイードで、デザインはプレーンな3つボタン段返り。

トレンドのデザイン的要素などは皆無ですが、逆にそれが今の気分。日本で買えるお店はあまりありませんが、こういうのが売れる国であってほしいよな〜!

アットリーニの工場。ここのモノづくりは、マジで別格でした。
アットリーニの工場。ここのモノづくりは、マジで別格でした。

そういえば、今テーラーケイドでつくっているスーツもブラウンのツイード。

プラダやアルマーニのコーデュロイスーツもほしくてたまらないし、ブラウン気分は盛り上がる一方です。

正直いって「ジジくさい」と女性陣からの評価は芳しくありませんが、仕方ない。メンプレ男塾の校則によれば、服選びにおいて婦女子の意見は無用なのでありますから!

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。