京都初のドライジンである「季の美」。製造している京都蒸溜所は2016年に製造開始したパイオニアでありながら、香り豊かなクラフトジンは既に知る人ぞ知る名品になっています。
とはいえ、なかなか日本人にはなじみの薄いジン。どんなお酒なのか、「季の美」はどんな飲み方をしたらいいのか、京都蒸溜所の広報担当の深山さんに伺いました。
どこか懐かしいけれど新しい和のテイストを堪能できるクラフトジン「季の美」。京都の伝統を映したユニークなジンとは?
「ジン」とは大麦やじゃがいもなどの穀類でつくったスピリッツに、ジュニパーベリーというボタニカル(植物)を香りづけに利用したお酒。世界中の蒸溜所では現在、ジュニパーベリー以外のボタニカルでいかにユニークかつオリジナルな「ジン」をつくるか切磋琢磨しているのだそう。
そんな中、京都で製造されている「季の美」は、どんなジンなのでしょう?
「『季の美』は和の原料を使用してつくる京都産のプレミアムクラフトジンです。米のスピリッツと、山椒、赤紫蘇、柚子、玉露を含む11種類のボタニカル(そのほとんどが京都産)を使用しています。11種を一度に蒸溜せず、シトラスやスパイスなど6つのカテゴリーに分けて蒸溜した後、ブレンドする方法でつくっています。
ブレンドの際に使用するのは酒蔵で知られる伏見の軟水で、『季の美』ならではのやわらかくクリーンな味わいを表現しています」(深山さん)
少量生産、手作業でつくるクラフトジン「季の美」。柚子は毎年農園へ収穫に行って手作業で皮を剥き、お水は毎週、伏見まで汲み取りに行くなど、ひとつひとつの作業が手づくりで行われています。
いくつかの種類がある「季の美」。初心者にもおすすめなものから少し上級者向けのものまで、おすすめを伺いました。
広報担当おすすめ!「季の美」のクラフトジン5選
■1:定番の「季の美 京都ドライジン」
山椒、赤紫蘇、生姜、柚子、玉露を含む11種類のボタニカルを使用した京都蒸溜所のフラッグシップ商品です。
「山椒や生姜のスパイシーな香り、少し苦味のある柚子など、洋酒と和酒の垣根を超える味わいのジンです」(深山さん)
ふわっとどこか懐かしいような香りがしつつ、でも新しい味わいを実現している京都ドライジン。さわやかな味わいは夏にぴったりです。
■2:お茶にフォーカスした「季のTEA 京都ドライジン」
ボタニカルの中でもお茶にフォーカスした「季のTEA」。といっても、焼酎のお茶割のような味とはまったく異なる味わい。
「香ばしい緑茶の香りとキンモクセイのような華やかな香りが特徴のジンです。ソーダ割や水割がおすすめです」(深山さん)
炭酸水で割ると、香りがはじけ、より楽しむことができますよ。
■3:フルーティーな「季の美 スロージンタイプ ハスカップリキュール」
フルーツ好きな方におすすめしたいのが、「季の美 スロージンタイプ ハスカップリキュール」。
「果実の風味が引き立つように特別ブレンドしたジンに、北海道産のハスカップと京都産梅の『城州白』を浸漬後、北海道産の甜菜からつくられたグラニュー糖を加えた甘酸っぱいリキュールです。スパークリングワインやソーダ割がおすすめです」(深山さん)
他の「季の美」とは異なる赤い色が映えるリキュール。ぜひ、その色も楽しんでくださいね。
■4:芳醇な香りを味わえる「季の糖 京都オールドトムジン」
北海道の次は、沖縄特産品をプラスした「季の糖 京都オールドトムジン」がおすすめ。18世紀にはやったという砂糖を加えるジンは、最近、再注目されているタイプのジンです。
「『季の美』に沖縄県与那国島産の黒糖を加えたジン。芳醇でほのかな甘みが特徴です」(深山さん)
ビタミン、ミネラルを豊富に含む黒糖を使用したことで、豊かな味わいになっていますよ。
■5:上級者向けの力強さ「季の美 勢 京都ドライジン」
基本の「季の美」を味わったら、「季の美 勢 京都ドライジン」も味わいたいところ。
「原料や製造方法は『季の美』と同じですが、アルコール度数が54%と高めで力強いジンです」(深山さん)
ジントニックなどのカクテルベースにすると、その力強い味わいを楽しむことができます。
家庭でのおすすめの飲み方は?簡単カクテルレシピを紹介
そのまま飲むにはアルコール度が高いジンは、カクテルにするのがおすすめ。家庭で気軽にワイングラスで飲めるレシピをお伺いしました。
■1:さっぱりした味わい「季の美ソニック」
【用意するもの】
・季の美 30ml
・トニックウォーター 45ml
・ソーダ水 45ml
・レモンピール
・クラッシュアイス
これらをすべて混ぜ合わせたらできあがりです。
「さっぱりとした味わいでお料理を引き立てるオールマイティーなカクテルが簡単にできます。豚の生姜焼き、焼き魚、カルパッチョなどさっぱりしたお料理と合わせるのがおすすめです」(深山さん)
■2:ひと口ごとに甘さが増す「季の美 ジンジャー」
【用意するもの】
・季の美 30ml
・ジンジャーエール 90ml
・みりん 5ml
・オレンジピール
・クラッシュアイス
「みりんを最後に加え、グラスを回しながら飲むと、味わう度に甘さが増さしていき、ジンジャーエールのスパイスがまろやかに変化します。ブリの照り焼き、鶏肉のソテーなど、ちょっとこってりしたお料理によく合います」(深山さん)
ご近所で手軽に手に入る材料で、簡単につくれる本格カクテル。これ以外の食事に合うレシピもSNSで公開されています。ぜひ、お試しくださいね。
歴史ある町家を改装した和の空間にクラフトジンの世界を詰め込んだ「季の美ハウス」
そして、京都蒸溜所ではこの夏、その世界観を体感できる「季の美ハウス」がオープンしました。京都の街に受け継がれている数々の伝統をインスピレーションにつくり上げたという「季の美」を表現したブランドハウスは、要チェックスポットです。
木材商が営まれていた築100年以上の歴史ある町家を改装した「季の美ハウス」。古くてもしっかりと耐久性があるのだそう。土壁や梁をできるだけ温存し、当時の雰囲気を極力残したという風情ある佇まいは、京都という土地を吸収し昇華する京都蒸溜所らしさが詰め込まれた空間になっています。
■1:「季の美ハウス」限定アイテム販売や、会員限定バーがある1階スペース
1Fの「お店の間」では、各種「季の美」の販売の他、オリジナルグッズが販売されています。京都の清課堂による手づくりのアイススタンプや、「季の美」ボトルを製造している酒井グラスによるミキシンググラス(Mixing_glass_R)など、「季の美ハウス」でしか購入できないアイテムは必見です。
会員制バー「ジンパレス」は19世紀のイギリス・ヴィクトリア朝時代のバーからヒントを得た空間。ビンテージのリキュールを使ったクラシックカクテルを楽しむことができます。12席しかない店内は、大人の隠れ家といった趣です。
■2:より深く「季の美」を理解できる2階の「展示の間」と「混和の間」
「展示の間」は、ジンの歴史や種類、製造工程に関する解説がしてあるスペース。「季の美」の原料も展示してあるほか、VRによる蒸溜所ツアーも体験することができます。
「混和の間」は「季の美」を形成する6つのエレメントやブレンディングが学べるセミナールームとして使用していくスペース。「季の美」の味わいの秘密を除くことができる貴重なセミナーは必見です。
伏見の名水、柚子、山椒、宇治の緑茶など京都の良質な原料をドライジンにしていく「季の美」。初心者でも、アルコール度を低くしたワイングラスのカクテルなら、とても飲みやすいですよ。オンライン飲み会の時に出したら、話題にもなりそうです。ぜひ、夏の夜の家飲みのお供にしてくださいね。
※価格はすべて税抜です。
問い合わせ先
- 京都蒸溜所
- TEL:075-223-0457
- 営業時間/火~日 12:00~21:00(20:30L.O.)
- 定休日/月曜日
- ※ 2020年8月1日現在の情報です。最新の情報は公式HPで確認されてからお出かけください。
- TEL:075-223-0457
- 住所/京都府京都市中京区河原町通二条上る清水町358
- TEXT :
- 田中いつきさん フリーランスライター
- EDIT :
- 小林麻美