2020年7月に発表されるや否やファッションやアート好きの女性たちの注目を浴び、SNSでも話題沸騰となったモードなフィルムをご存知でしょうか? それは、Dior(ディオール)の2020-2021秋冬 オートクチュール コレクションを紹介した幻想的なフィルム。
今回は、Precious.jp独占でお届けする撮影秘話も交えてレポートします!
コロナ時代のDior(ディオール)の2020-2021秋冬 オートクチュール コレクションが話題
こちらは、イタリアで最も有名かつ称賛を浴びている映画監督のひとり、マッテオ・ガローネが製作しました。クリエイティブディレクターのマリア・グラツィア・キウリは、発表の際に次のようにコメントしています。
「アート作品として、またアートの一表現手段として、映像というコンセプトに私は常に魅了されてきました。オートクチュールという独特の雰囲気を再現するために、幾度となくそれを試してみたいと思いを巡らせてきました。映画は、クリエイティブであると同時に職人技術によるアートであり、著述の作業であり、また合唱でもあります。ファッションのサヴォワールフェールと非常に類似しているのです」。
職人たちが生み出すディオールのドレスが、おとぎの森へと運ばれて
今回のフィルムのストーリーはディオールのために特別に制作され、コレクションに宿る想像の世界を巡る旅を、視覚的に具現化。
動画はこちらから視聴可能です。
監督の視線は、アトリエから始まります。そこは、才能あふれるたくさんのお針子たちが、ミニチュアのマネキンに着せるための卓越したクリエイションに励素晴らしい舞台。完成したドレスは、ディオールを象徴するモンテーニュ通り30番地をかたどった大きなトランクの中に並べられます。そして、そのトランクは同じ服を着た双子によって、おとぎの森へと運ばれて…。
双子はおとぎの森の奥へと進み、ニンフやマーメイド、ナルキッソス、銅像、サテュロスなどに出会います。そしてトランクを開けてディオールのドレスを見せると、多くの精霊が遊びを中断しドレスを欲しがります。
10分ほどのショートフィルムですが、その映像美とファンタジックなストーリーに圧倒! 精霊も、そして人間も美しいものなしでは生きていけない、ということを改めて気づかされるフィルムです。自粛期間でなかなか美術館やアート観賞に行けず“美しいものに飢えている!”という人にも是非見ていただきたい1本です。
製作時間も特別にリポート! 精霊たちが魅了されたドレスの舞台裏とは?
フィルムに登場した2020-2021秋冬 オートクチュール コレクションより、3つのドレスの舞台裏をエクスクルーシブにご紹介します。
■1:サンレイスタイルのドレープとプリーツが圧巻! 神々しい美しさに満ちたロングドレス
最初にご紹介するのは、グレージュのプリーツサテンクレープ生地を用いたロングペプロストドレス。上半身はドレープ、スカートはプリーツ仕立てで、どちらも連続する垂直の折り目が特徴的なサンレイスタイルです。ツイストのディテールが美しいベルトも施されています。
こちらのドレスは、双子が運ぶ小さいミニチュアのマネキンサイズも、妖精に扮したモデルが着用する大きいサイズも、全く同じプロポーション。「上半身にあしらわれたドレープの数も全く同じにしたかったので、自然なドレープではなく細工されたドレープにした」と、職人は語ります。
2名の職人が合計250時間を制作に費やし、使用されたファブリックは 27メートルに及ぶそうです!
ドレスの制作裏はyoutubeでも視聴可能です。職人たちのコメントとともに、お楽しみください。
■2:森の精霊のお気に入り! エンブロイダリーが光り輝く可憐なドレス
次にご紹介するのは、フィルムで森の精霊が着ていたセージグリーンのシフォンロングぺタルドレス。空想の森をインスピレーションにデザインされた、ロマンティックな雰囲気たっぷりのドレスです。
ボディスには、マリア・グラツィア・キウリがお気に入りのエンブロイダリーを使用。なんと、前世紀初頭に作られたものだそう! トルマリンとエメラルドカラーのストーンがちりばめられています。
花を表現したスカートは、1920年代の扇子がインスピレーション源。セピアカラーのプリーツスカートは、軽やかな2層のシフォンです。こちらのドレスは、3名の職人が合計300時間をかけて完成へと導いたそうです。
ドレスの制作裏はyoutubeでも視聴可能です。職人たちのコメントとともに、お楽しみください。
■3:立体的なプリーツが個性的! ミッドナイトブルーの幻想的なドレス
最後にご紹介するのは、ハンドプリーツとフリンジでボリュームを出したコローラ(花冠)のようなコート。3名の職人が合計150時間をかけて完成。使用したファブリックは35 メートルに及ぶそうです!
素材は、ミッドナイトブルーの張りのあるシャンタンを使用。1ピースのケープの上にどんどんフリルを重ねていき、立体的なデザインに仕上げています。
フィルムでは、このドレスを纏った精霊が竹林の中を追いかけっこしている様子が描かれていました。精霊が走るたびにフリルが弾けるように揺れる姿が、なんとも愛らしいです!
ドレスの制作裏はyoutubeでも視聴可能です。職人たちのコメントとともに、お楽しみください。
今回は、ディオールの2020秋冬オートクチュールコレクションのドレスのフィルムの魅力と、舞台裏をお伝えしました。ファッションはファンタジーであることを改めて気付かせ、そして心を豊かにしてくれる映像やドレスの数々。是非チェックしてみてください!
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 高橋京子
- EDIT :
- 石原あや乃