夏号の特集「男だからこそ美しい 洗練ゴールドの名品時計」では、日常のシーンを鮮やかに彩る名品時計の着こなしスタイルを披露した。ここでは、掲載された7本のゴールド時計の詳細を徹底レポート。第5回は、ヴァシュロン・コンスタンタンの『フィフティーシックス・コンプリートカレンダー』だ。
雑誌メンズプレシャス夏号で紹介した名品時計の詳細をレポート!
![デザインされたジレ&Tシャツで軽快に着こなしたストライプスーツ。型にはまらずスーツを楽しむ、そんな現代の男の手元には、ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計『フィフティーシックス・コンプリートカレンダー』がよく似合う。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/f/720mw/img_8fe54804cfb8905879ffabbb8e67cc9d167395.jpg)
ヴァシュロン・コンスタンタンというブランドを語るのに、もはや「世界最古のマニュファクチュール」という枕詞は必要ないかもしれない。もちろん、1755年の創業から、3回も西紀を超え現在に至るまで、一度も時計製造を止めることなく続けてきた唯一のマニュファクチュールであることは紛うことなく事実であり、ブランドのアイデンティティである。
しかしヴァシュロン・コンスタンタンは、その歴史と伝統を誇りながらも、そのステイタスにあぐらをかかず、常にアップデイトを続けているのだ。そのことを如実に体現しているのが、『フィフティーシックス』というコレクションだ。
2018年に発表されたこのコレクションは、ヴァシュロン・コンスタンタンというブランドに対するそれまでの既成概念を、いい意味で鮮やかに覆した。そのステイタスの高さから、時計愛好家にとっては「いつかはこの手に」という憧憬の的だったし、それは今も変わらない。しかし、自らがもっと成熟した暁に手にしたいという「夢」から、現在の等身大の自分に寄り添う「リアル」へと引き寄せられる大きなきっかけとなった。
1956年に誕生した歴史的名機のDNAを受け継ぎ、現代に伝える腕時計
『フィフティーシックス』というコレクション名は、そのデザインのインスピレーションの源となった、1956年発表の伝説の名品『Ref.6073』に由来する。
![1956年に誕生した「Ref.6073」は、ブランド初の自動巻ムーブメントを搭載。ブランドの革新性の象徴ともいえる名機である。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/4/2/720mw/img_4270e65334a5df0c90803b73704585fb35217.jpg)
時計としての「正統の美」が息づく、いかにもヴァシュロン・コンスタンタンらしい3針の自動巻きだ。シンプルでいながら、ブランドのシンボルであるマルタ十字を4つに切り分けたようなV字形のラグや、偶数時のみ強調されたバーインデックスなどの繊細なディテールによって、非凡な個性が冴え渡る。
『フィフティーシックス』は、その特徴的なラグを含めたケースデザインのDNAを継承しながら、偶数時はアラビア数字、奇数時はバーインデックスをリズミカルに配し、モダンな表情に仕上がっている。
ピンクゴールドケースに調和する、美しきセピアブラウントーン・ダイヤル
![](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/e/3/720mw/img_e3e9407c4c7c7f6a0fdbe336fbeb853355632.jpg)
こうしてヴァシュロン・コンスタンタンの新たなイメージを切り拓いた『フィフティーシックス』の、フラッグシップモデルとなるのが、この『フィフティーシックス・コンプリートカレンダー』だ。日付、曜日、月に加え、6時位置にはムーンフェイズ表示を配置。このムーンフェイズは122年に1度しか修正を必要としないという超絶した精度を誇り、ヴァシュロン・コンスタンタンの卓越した技術力を物語る。
その誕生から2年の歳月が流れ、『フィフティーシックス』はブランドのアイコンのひとつに成長した。そして今年は、ピンクゴールドケースと「セピアブラウントーン・ダイヤル」を組み合わせた新作が登場。ピンクゴールドやダイヤルのブランドの艶によって、これまでとはまたガラリと表情を変え、非常に色気のあるコンプリケーションウォッチに仕上がっている。
正統の美とモダニズムの黄金比率によって、ワンランク上の洗練を叶える『フィフティーシックス・コンプリートカレンダー』――それは「ラグジュアリー・デイリー・ウォッチ」の頂点で輝き続ける存在となることだろう。
問い合わせ先
![](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/9/1/720mw/img_917cde6c223eeb10a7268f88a756b01c160408.jpg)
- TEXT :
- 岡村佳代 ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
- PHOTO :
- 水田 学(NOSTY)
- STYLIST :
- 菊池陽之介
- HAIR MAKE :
- KUBOKI(Three PEACE)
- MODEL :
- Dylan VT