スマートウォッチの利便性は熟知しつつも、やすやすとシフトできないのが腕時計愛好家も多いのではないだろうか。精緻なゼンマイが織りなす魔法に魅せられた機械式派には、デジタルシフトへの抵抗も根強く残っている。そのポリシーを翻すことなく、スマートウォッチの先進性を手にできるのが、時計本体にではなく、腕時計のバックルにスマートウォッチ機能を搭載した、ソニーの「wena」シリーズだ。デビューから数えて3代目となる最新型の「wena 3(ウェナスリー)」は、正統進化を重ね、ひとつの到達点と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。
大画面タッチ有機ELディスプレイを搭載したバックル部にスマートウォッチの機能を集約したソニーの「wena」シリーズ
メール、電話の通知や活動ログが簡単にチェックできる
大きな進化点となるのが、最薄部6.9mmのスリムなバックルにある、タッチパネルを採用した大画面の有機ELタッチディスプレイだ。ホーム画面には、メール、電話、LINEの通知やスケジュールなどが表示され、ホーム画面から上下左右にスワイプすることで、アプリケーションをはじめ、多彩な機能へも容易に辿り着くことができる。表示は見やすく、日中の屋外でも瞬時に読みとれる視認性を確保。ミーティング中に、チラッと見るだけで通知をチェックすることも可能だ。
また、手首の形状に合わせてモジュール本体をカーブさせているので装着感もよく、手首にフィットするので、活動量計として、より正確なデータ計測も実現している。
Suicaなど様々な電子マネーがかざすだけで使える
wena 3のアプリは、iOS/Android版ともに「Suica」や、「楽天Edy」、「iD」、「QUIC Pay」といったおサイフリンクに対応している様々な電子マネーが利用可能。使用するたびにアプリを起動させたり、切り替える必要がないので、wena 3をただかざすだけでスマートに使える。
アプリ上で、チャージや残高・利用履歴の確認もできるので、計画的な使い方ができる。また、加速度センサーとデュアル光学式心拍センサー搭載し、日々の活動をアプリで管理。日常の健康チェッカーとしても役立つ。
また、Alexaを搭載し、ボタンを押して話しかけるだけで、外出先から部屋の家電をつけるなど、シーンに応じてさまざまなことができる。
手持ちの腕時計がスマートウォッチに変わる
腕時計ファンにとっての最大の魅力は、現在所有している多種多様なヘッド(時計本体)に「wena 3」に取り付けられることだ。18~24mmのラグ幅に対応しているので、ヘッドに最適なラグ幅のエンドピースを別途購入すれば、お気に入りのヘッドを装着してスマートウォッチとして使うことができる。ヘッドとバンドは専用の工具不要で簡単に取り外しが可能。例えば祖父や父から譲り受けたクラシックなタイプピースも、「wena 3」と一体化するだけで、最新機能を備えたモデルへと変貌する。
バンド素材のラインナップはメタル、レザー、ラバーの3種類。時計本体に合わせたスタイリングが楽しめる。また、ヘッド単体もリリース。工業デザイナーの山中俊治氏がデザインした世界4か所の時刻を同時に表示できる「フォー・イン・ワン」モデルや、カーデザイナーのジウジアーロ氏がデザインを手がけたモデルも用意されている。
今回レザータイプを使ってヘッド交換や装着感を試してみたが、交換は簡潔で、ベルトの長さ調整法についてもうまく考えられていた。そして何より、バックルにスマートウォッチ機能を集約するという発想は、今後の腕時計スタイルそのものを変える可能性を秘めている。まずはお気に入りの1本を装着し、サイバーなウォッチライフをはじめよう。
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- TEXT :
- 安藤政弘 ライター