スマートウォッチの利便性は熟知しつつも、やすやすとシフトできないのが腕時計愛好家も多いのではないだろうか。精緻なゼンマイが織りなす魔法に魅せられた機械式派には、デジタルシフトへの抵抗も根強く残っている。そのポリシーを翻すことなく、スマートウォッチの先進性を手にできるのが、時計本体にではなく、腕時計のバックルにスマートウォッチ機能を搭載した、ソニーの「wena」シリーズだ。デビューから数えて3代目となる最新型の「wena 3(ウェナスリー)」は、正統進化を重ね、ひとつの到達点と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。

大画面タッチ有機ELディスプレイを搭載したバックル部にスマートウォッチの機能を集約したソニーの「wena」シリーズ

バックル部には、カーブしたタッチディスプレイとバッテリー、独自設計による超小型基板を配置する。バッテリーは1.5時間の充電で1週間持続するので、毎日充電をするストレスから解放される。
バックル部には、カーブしたタッチディスプレイとバッテリー、独自設計による超小型基板を配置する。バッテリーは1.5時間の充電で1週間持続するので、毎日充電をするストレスから解放される。
モジュール部は堅牢なステンレススティール「SUS316L」を使い。ディスプレイには傷つきにくく、90cmの落下衝撃にも耐えるゴリラガラスを採用。防水性能は5気圧。
モジュール部は堅牢なステンレススティール「SUS316L」を使い。ディスプレイには傷つきにくく、90cmの落下衝撃にも耐えるゴリラガラスを採用。防水性能は5気圧。

メール、電話の通知や活動ログが簡単にチェックできる

大きな進化点となるのが、最薄部6.9mmのスリムなバックルにある、タッチパネルを採用した大画面の有機ELタッチディスプレイだ。ホーム画面には、メール、電話、LINEの通知やスケジュールなどが表示され、ホーム画面から上下左右にスワイプすることで、アプリケーションをはじめ、多彩な機能へも容易に辿り着くことができる。表示は見やすく、日中の屋外でも瞬時に読みとれる視認性を確保。ミーティング中に、チラッと見るだけで通知をチェックすることも可能だ。

また、手首の形状に合わせてモジュール本体をカーブさせているので装着感もよく、手首にフィットするので、活動量計として、より正確なデータ計測も実現している。

Suicaなど様々な電子マネーがかざすだけで使える

バックルの内側に緑LEDに加え、赤LEDも搭載したデュアル光学式心拍センサーを搭載。緑LEDだけのタイプに比べてより正確な心拍数を計測できる。
バックルの内側に緑LEDに加え、赤LEDも搭載したデュアル光学式心拍センサーを搭載。緑LEDだけのタイプに比べてより正確な心拍数を計測できる。
1週間のバッテリー容量に加え約24時間²の予備電力も内蔵。メインの駆動バッテリーが切れた状態でも、予備電力を使って電子マネー機能は利用できるので安心。
1週間のバッテリー容量に加え約24時間²の予備電力も内蔵。メインの駆動バッテリーが切れた状態でも、予備電力を使って電子マネー機能は利用できるので安心。

wena 3のアプリは、iOS/Android版ともに「Suica」や、「楽天Edy」、「iD」、「QUIC Pay」といったおサイフリンクに対応している様々な電子マネーが利用可能。使用するたびにアプリを起動させたり、切り替える必要がないので、wena 3をただかざすだけでスマートに使える。

アプリ上で、チャージや残高・利用履歴の確認もできるので、計画的な使い方ができる。また、加速度センサーとデュアル光学式心拍センサー搭載し、日々の活動をアプリで管理。日常の健康チェッカーとしても役立つ。

また、Alexaを搭載し、ボタンを押して話しかけるだけで、外出先から部屋の家電をつけるなど、シーンに応じてさまざまなことができる。

歩数、消費カロリー、移動距離はもちろん、ソニー独自のアルゴリズムで心拍数を計測。さらに時間ごとに睡眠の深さを4段階で表示したり、持久力の指標となる最大酸素摂取量(VO2 Max)や、心拍のゆらぎをキャッチすることで、ストレスレベルも推定できる。左から、心拍数計、睡眠計、VO2 MAX、ストレスレベル計。
歩数、消費カロリー、移動距離はもちろん、ソニー独自のアルゴリズムで心拍数を計測。さらに時間ごとに睡眠の深さを4段階で表示したり、持久力の指標となる最大酸素摂取量(VO2 Max)や、心拍のゆらぎをキャッチすることで、ストレスレベルも推定できる。左から、心拍数計、睡眠計、VO2 MAX、ストレスレベル計。

手持ちの腕時計がスマートウォッチに変わる

腕時計ファンにとっての最大の魅力は、現在所有している多種多様なヘッド(時計本体)に「wena 3」に取り付けられることだ。18~24mmのラグ幅に対応しているので、ヘッドに最適なラグ幅のエンドピースを別途購入すれば、お気に入りのヘッドを装着してスマートウォッチとして使うことができる。ヘッドとバンドは専用の工具不要で簡単に取り外しが可能。例えば祖父や父から譲り受けたクラシックなタイプピースも、「wena 3」と一体化するだけで、最新機能を備えたモデルへと変貌する。

「SUS316L」を使ったSS製のメタルバンド。ディスプレイガラスと幅を合わせてラインが連続的につながる3連デザイン。バンドのコマには、ヘアラインが施され高級感を醸し出している。「Premium Black」モデルには表面にIP処理を施し、強度を高めている。左/wena3 metal Silver[WNW-B21A/S]オープン価格(市場推定価格¥33,000前後) 右/wena 3 metal Premium Black[WNW-B21A/B]オープン価格(市場推定価格¥35,000前後)
「wena 3 metal」/「SUS316L」を使ったSS製のメタルバンド。ディスプレイガラスと幅を合わせてラインが連続的につながる3連デザイン。バンドのコマには、ヘアラインが施され高級感を醸し出している。「Premium Black」モデルには表面にIP処理を施し、強度を高めている。左/wena3 metal Silver[WNW-B21A/S]オープン価格(市場推定価格¥33,000前後) 右/wena 3 metal Premium Black[WNW-B21A/B]オープン価格(市場推定価格¥35,000前後)
素材となるレザーは国際皮革環境認証「LWG」を取得しているタンナーが製造。シボを生かし、自然な革の質感や風合いを堪能できる。「Premium Black」モデルにはより革の質感などが楽しめる染料仕上げと顔料仕上げが施されている。/wena 3 leather Premium Black[WNW-C21A/B]オープン価格(市場推定価格¥32,000前後) 右/wena 3 leather Brown[WNW-C21A/T]オープン価格(市場推定価格¥30,000前後)
「wena 3 leather」/素材となるレザーは国際皮革環境認証「LWG」を取得しているタンナーが製造。シボを生かし、自然な革の質感や風合いを堪能できる。「Premium Black」モデルにはより革の質感などが楽しめる染料仕上げと顔料仕上げが施されている。/wena 3 leather Premium Black[WNW-C21A/B]オープン価格(市場推定価格¥32,000前後)右/wena 3 leather Brown[WNW-C21A/T]オープン価格(市場推定価格¥30,000前後)
バンドを装着したままヘッドの着脱可能な新機構のエンドピースコネクタにより、簡単にヘッドの付け替えができるラバーバンド。wena 3 rubber Black[WNW-A21A/B] オープン価格(市場推定価格¥24,000前後)
「wena 3 rubber」/バンドを装着したままヘッドの着脱可能な新機構のエンドピースコネクタにより、簡単にヘッドの付け替えができるラバーバンド。wena 3 rubber Black[WNW-A21A/B] オープン価格(市場推定価格¥24,000前後)
工業デザイナーの山中俊治氏がデザインしたメイドインジャパンの「フォー・イン・ワン」モデル。文字盤に4つの時刻を表示でき、海外出張の多いビジネスパーソンには最適。高級時計製造で知られる協和精工で製造され、全パーツの研磨や、針の取り付け、組み立てはすべて手作業で行われている。オープン価格(市場推定価格 シルバー¥59,000前後・Premium Black¥60,000前後)
「wena head designed by Shunji Yamanaka」/工業デザイナーの山中俊治氏がデザインしたメイドインジャパンの「フォー・イン・ワン」モデル。文字盤に4つの時刻を表示でき、海外出張の多いビジネスパーソンには最適。高級時計製造で知られる協和精工で製造され、全パーツの研磨や、針の取り付け、組み立てはすべて手作業で行われている。オープン価格(市場推定価格 シルバー¥59,000前後・Premium Black¥60,000前後)
カーデザイナーのファブリッツィオ・ジウジアーロ氏がデザイン。モータースポーツでの使用を想定し、ヘッド部が左右に30度ずつ回転する構造になっている。2021年3月12日発売予定。オープン価格(市場推定価格 シルバー¥58,000前後・Premium Black¥59,000前後)
「wena head designed by Giugiaro Architettura」/カーデザイナーのファブリッツィオ・ジウジアーロ氏がデザイン。モータースポーツでの使用を想定し、ヘッド部が左右に30度ずつ回転する構造になっている。2021年3月12日発売予定。オープン価格(市場推定価格 シルバー¥58,000前後・Premium Black¥59,000前後)

バンド素材のラインナップはメタル、レザー、ラバーの3種類。時計本体に合わせたスタイリングが楽しめる。また、ヘッド単体もリリース。工業デザイナーの山中俊治氏がデザインした世界4か所の時刻を同時に表示できる「フォー・イン・ワン」モデルや、カーデザイナーのジウジアーロ氏がデザインを手がけたモデルも用意されている。

今回レザータイプを使ってヘッド交換や装着感を試してみたが、交換は簡潔で、ベルトの長さ調整法についてもうまく考えられていた。そして何より、バックルにスマートウォッチ機能を集約するという発想は、今後の腕時計スタイルそのものを変える可能性を秘めている。まずはお気に入りの1本を装着し、サイバーなウォッチライフをはじめよう。

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ソニー

この記事の執筆者
主にモノ雑誌を中心に’80年代から活動するライター。トレンド製品や斬新な着想から生まれたガジェット全般の執筆に取り組む一方で、腕時計やバッグ、シューズといった、男の逸品をテーマにした記事も手がけている。