注目のクリエイターによるパリ宝飾技巧の贅を尽くしたルイ・ヴィトンの最新ハイジュエリー
今、世界で最も注目される女性クリエイターをアーティスティック・ディレクターに迎え、ジュエリーの分野でも独自のスタイルを構築したルイ・ヴィトン。
パリで発表された最新ハイジュエリーコレクションは、「宇宙」にインスピレーションを得た極めて斬新なデザインを稀少な宝石とフランス伝統の高度な職人技で表現しています。
壮大な「宇宙」に着想を得た世にも贅沢なコレクション
世界のトップジュエラーでクリエイションを統括してきた華麗なキャリアをもち、2018年よりルイ・ヴィトンのウォッチ&ファインジュエリー部門のアーティスティック・ディレクターとして活躍するフランチェスカ・アムフィテアトロフ。2020年秋、彼女が手がけたハイジュエリーコレクションの第2弾がパリで発表され、話題を集めています。
「私は宇宙の広大さや宇宙を旅するというコンセプトに魅了され、また宇宙の美しさにも驚嘆しています」
そう語るフランチェスカは宇宙からインスピレーションを得て、『ステラー タイムズ』と名づけられたコレクションを生み出しました。90ものハイジュエリーからなるコレクションは、いずれも彼女が得意とするコンテンポラリーで構築的なデザインを特徴としています。
それらにはダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルドといった貴石と呼ばれる宝石のほかに、トルマリン、オパール、スピネル、タンザナイトなどの個性豊かなカラーストーンが用いられ、想像を超えた宇宙の神秘を表現。宝石のマッチングやカットにも、アートに精通する彼女ならではの審美眼が発揮されています。
そして、銀河を表現するハイジュエリーの制作は、常に先駆者であり続けるルイ・ヴィトンにとっても「冒険」でした。これまでにないスタイルとデザインを形にしていくことは、すべての職人にとって未知への挑戦だったといえます。
天才クリエイターによる独創的なデザインと世界から集められる稀少な宝石、さらに無理難題を克服していく職人たちの高度な技術──こうした三位一体のクリエイションこそが、ハイジュエリーの未来に新たな可能性をもたらすのです。
■1:銀河の彼方できらめく、惑星を思わせる宝石たち
今回のコレクションを構成するテーマのひとつで、到達点という意味をもつ『アポジェ』のジュエリー。ダイヤモンドの幾何学的なラインが結びつける宝石は、銀河の果てできらめく恒星のよう。その美しさはコンテンポラリーでいて詩情豊か。
ネックレスの中央では、30カラットを超えるオクタゴナル(八角形)カットのトルマリンが幻想的に輝く。
トルマリンとタンザナイトの絶妙なカラーコンビネーション、宝石の色と透明感を強調する直線的なカットが、メゾン独自のモダンな様式美を伝える。
■2:奇跡の「ブルームーン」を 鮮麗なサファイアで表現
月が青く光り輝く『リューヌ ブルー(ブルームーン)』といわれる神秘的な現象の名をもつチョーカータイプのネックレス。その本体にはスクエアカット、バゲットカット、ラウンドカットのサファイアとダイヤモンドが立体的にセッティングされ、多彩な輝きを放ちながら、中央の鮮麗なサファイアを際立たせます。
細部に注目
横から見ると、ネックレス本体の複雑な構造がわかる。ダイヤモンドとサファイアをセッティングしたうえに、さらに宝石を重ねて立体的に。石留めの台座を二重にしているにもかかわらず、しなやかさは高度な技術によってそのままとなっています。
後ろ側は…
メゾンの頭文字「V」をモチーフにしたクラスプ。サファイアは文字に合わせて、贅沢にもカスタムカットされています。これまではクラスプの位置がわからないことがハイジュエリーの条件とされてきましたが、その常識も変わりつつあるのです。
■3:月の満ち欠けを匠の技でドラマティックな意匠に
月の満ち欠けをダイヤモンドとサファイアでドラマティックに意匠化したリング。中央のサファイアの横には、精巧に石留めされたカスタムカットのダイヤモンドがきらめきます。
その三日月を思わせる輝きは、モダンでいて詩的な美しさ。アームの上下にもダイヤモンドがセッティングされ、選ばれしサファイアの鮮やかな色を引き立てます。
天才クリエイターを支えるパリ最高峰のアトリエ
2008年からハイジュエリーコレクションを発表し、高級宝飾の分野に本格的に参入したルイ・ヴィトン。2012年には、パリ・ヴァンドーム広場のブティックのある建物にハイジュエリーのアトリエを構えました。
そこで働くのは、それぞれが高度な専門技能をもつ一流の職人たち。今、彼らは新たなアーティスティック・ディレクターのもとで、以前にも増して難題に取り組み、技術を向上させています。そうしたチャレンジ精神は、まさに時代の先駆者であり続けてきたメゾンの伝統ともいえるもの。
今回、パリで発表された最新ハイジュエリーコレクションにおいても、細部にわたり職人たちの技術が生かされ、想像を超えたデザインが現実のものとなっています。
ネックレスを制作する職人の手元。宝石を台座にセッティングした後、金属部分の表面をなめらかにするためにバフ研磨が施されている。ネックレスの構造と、それがいかにしなやかにつくられているかがよくわかります。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 武田正彦
- EDIT&WRITING :
- 福田詞子(英国宝石学協会 FGA)