ヘッドスパという言葉を聞いたことがあるだろうか。ヘッドスパ発想のヘアケアも登場していることで、なんとなくのイメージは抱けるかもしれない。これは頭皮にマッサージや洗浄を施すことによって、髪や頭皮の状態を活性させるトリートメントのこと。実は英語ではなく、日本語の造語で、ここ数年で話題になっているワードだ。
ヘッドスパを行うサロンには、これまでは女性が髪や頭皮のトリートメントを行うために訪れるのが主だった。しかし、最近では頭皮の健康にフォーカスしたメニューも開発されており、多忙な生活を送っている本誌読者諸兄のようなジェントルマンにこそ必要な施術だといえる。
というのも、ヘッドスパは頭皮のマッサージによるリラクゼーション効果以上の作用を得られるからだ。多くの神経が集まる頭部は、体のなかでもコリや疲労感が蓄積しやすい部位だ。首や頭部の緊張が続くと、肩コリや眼精疲労を誘発することもあるが、男性はあまりマッサージそのものを受ける機会に恵まれていない。
そのため、ヘッドスパによって頭部がしっかりと揉みほぐされると、「驚くほどに目がさえた」、「視界にかかっていた、もやが消えた」など、即効的な効果実感や全身的な満足感を得られることが多い。その快感体験から、定期的にヘッドスパに通うようになった、という男性もいる。
とはいえ、ヘッドスパ・サロンに限らず、お洒落な美容室やネイルサロンは、美の殿堂として女性専用を標榜するところがほとんど。
そのため、たとえ男性が入店できたとしても、なんとなく通いづらくなったり、入店に躊躇してしまう場合もあるだろう。そこで、今回は、男性ひとりでも気軽に立ち寄れるような場所と雰囲気を兼ね備えたサロンを取り上げた。いずれも男性専用のメニューを用意していたり、ビジネス街の近くにあり、仕事終わりにふらっと立ち寄れるサロンだ。
脳内がすっきりと冴える格別な体験を!
では、実際にヘッドスパ・サロンを訪れるときのために、実際の施術の流れを説明しておこう。
まず、多くのヘッドスパ・サロンは予約制なので、あらかじめスパの予約を入れよう。数日前の施術予約が理想的ではあるが、スケジュールが読めない場合は、数時間前、数十分前でもかまわない。スパの空き状況を確認するためにも電話を入れてほしい。無事に予約が確保できたらサロンへ。カウンセリングシートに、その日の体や頭皮の状態を記入し、頭皮チェックを受ける。
その後はいよいよ施術の開始だ。ベッドやチェアに横たわり、リラックスした気持ちで、シャンプーや頭皮マッサージを堪能しよう。このとき、十分な施術効果を得るためにも、マッサージに強弱のリクエストがあれば、きちんとセラピストに伝えること。施術に余計な遠慮は不要だ。自分が気持ちがいいと感じる圧で施術を受ければ、ヘッドスパの効果を最大限に受け止められる。
頭皮が十分に揉みほぐされた後には、全身の力が抜けるような、驚くほどの脱力感を味わえるだろう。ただ、頭のなかだけはスコーンと抜ける青空のように晴れ渡っているはず。施術前に抱えていた重たさがすべて浄化されて、脳内がすっきりとさえるのを実感できるはずだ。
こんな都会のオアシスというべきヘッドスパ・サロンを女性だけに独占させておくのは勿体ない。それに男だって毒出しが必要だ。
1.ラ・カスタ銀座本店
銀座にある完全個室で、だれの目も気にすることなく、施術を受けられるのが「ラ・カスタ銀座本店」だ。
カウンセリングから施術、髪のセットまで、すべての行程をパーソナルな空間で受けられる。しかも、個室は2部屋が用意されているため、パートナーとともに施術を楽しむことも可能。
こちらで受けたい施術は、年齢を重ねた大人の頭皮や毛髪のために開発された、90分間の「アロマ リヴァイタ エイジングケア コース」だ。蓄積した頭部や肩のコリや首もとのコリを解消するべく、ヘッドスパながら40分間にも及ぶ、入念なマッサージで、滞りをしっかりと解消できる。
また、頭皮の毛穴に詰まった皮脂汚れを除去するために、頭皮のダブルクレンジングを行うこともポイント。植物オイルで頭皮を揉みほぐすことによって、すっきりと爽快な仕上がりを実感できる。
顧客にはカシミアのようななめらかな肌触りのガウンも好評だ。このガウンは、1999年に「日常使いができるカシミア」をコンセプトとして、ロサンゼルスで誕生したカシウェアのもの。アカデミー賞のギフトにも選出されて以来、世界中の一流ホテルやスパで採用されるようになった。その柔らかなテクスチャーは、羽織っただけでも癒されると評されるほどに上質。「ラ・カスタ」のリラクゼーションは、このガウンに着替えることからはじまるのだ。
東京・銀座にある癒やしの隠れ家で、頭皮も心も揉みほぐされる至福
SHOP DATA ラ・カスタ銀座本店
住所:東京都中央区銀座3-7-13
TEL:03-5579-9477(完全予約制)
2.ヒアカ アヴェダ 伊勢丹新宿店
アメリカの人気ヘアケアブランド「アヴェダ」の施術が受けられるサロン「ヒアカ アヴェダ 伊勢丹新宿店」は、本館からほど近い場所にある。こちらで男性の顧客から支持を集めているメニューが、45分間の頭皮トリートメント「ボタニカル スカルプ スパ」だ。
植物アロマによるリラクゼーション効果を訴求するブランドだけあり、使用する頭皮用オイルは、ベチバーとジンジャー、ラベンダーとイランイラン、ローズマリーとオレンジといった3種類の香りのなかから選べる。自分好みの香りに包まれながらのヘッドスパで、脳内環境をリセットできる。また、施術では頭皮はもちろん、首や肩など、広い範囲を揉みほぐしていくため、眼精疲労や肩コリで悩む男性からの支持も集めている。
使用するチェアはファーストクラスの座席を思わせるような、ゆったりとした座り心地。フルフラットのリクライニングで施術を受けられることが魅力だ。肩や背中のマッサージには、専用のチェアを用意している心配りもうれしい。
植物のアロマが、頭皮の滞りを流す
SHOP DATA ヒアカ アヴェダ( Heaka AVEDA)
住所:東京都新宿区新宿3-15-16 パークシティイセタン4 2/3F
TEL:03-5341-4862
3.ジャン・クロード・ビギン ギンザ ル・グラン
スパ発祥の地といわれているモロッコのヘッドスパを、日本で再現しているのが、パリで60店舗のヘアサロンを展開する「ジャン・クロード・ビギン」。
サロン創設者の「体のコリは全身を揉みほぐさなければ解消しない」という哲学から、銀座店が独自に開発したメニューが、ヘアサロンながら、頭皮だけでなく、脚まで揉みほぐしていくメニュー「スキャルプ&フット リフトアップトリートメント」だ。
完全個室で行う施術は靴を脱いで、リラックスすることからはじまる。天然成分のバスミルクを入れた足浴で、じっくりと足元を温めた後に、フルフラットのチェアで脚全体をマッサージしながら、代謝を高めていく。体全体を温めたら、モロッコ産の美容オイル、アルガンオイルなどを使って頭皮を揉みほぐしつつ、現地のスパでも使用されているヘアケアで、頭皮と髪に指圧を加えながら洗浄。天然の香りに心もゆるんでいく。
施術後はモロッコ産のハーブティのサービスで、ほっと一息。異国の世界観を五感で堪能できる90分だ
脚まで揉みほぐす、モロッコ流の癒やし
SHOP DATA ジャン・クロード・ビギン
住所:東京都中央区銀座7-9-11 モンブラン銀座ビル5F
TEL:03-6228-5279
4.uka 丸の内 KITTE店
丸ノ内KITTEや東京ミッドタウンなど、アクセス至便な場所にあるトータルビューティサロン「uka」では、最もシンプルな頭皮ケア「ABBA」から体験しよう。
こちらは頭皮クレンジングにフォーカスしたコースで、クレンジングジェルで頭皮マッサージを施しながら、毛穴に詰まった皮脂汚れを十分に除去。その後、シャンプーとトリートメントを施していく、60分のメニューだ。「uka」では、このコースの後に、デトックスや頭皮ケア、毛髪ダメージなどの悩みに対応したオプションメニューを用意し、健康な毛髪を育むための頭皮環境を整える、豊富な選択肢を提供している。
また、特筆すべきは、ヘッドスパと同時に、ネイルケアも同時に受けられること。男性用のネイルケアは45分のため、ヘッドスパを楽しんでいる間に、爪の手入れも完了する。加えて、ヘッドスパとヘアカット、眉カットなどがセットになったコースも用意されており、ワンストップで身だしなみが整う。きれいな身なりを維持するために通いたいサロンだ
頭皮ケアと同時進行で、爪の手入れもできる
SHOP DATA uka 丸の内 KITTE店
住所:東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワーKITTE3F
TEL:03-3217-2011
以上、男性にお勧めのスパ4店舗紹介しました。ここまで読んだら、あとは実体験あるのみ。気になるサロンに電話をかけて、さっそく予約を。そして、頭にも目にも心にも、大人の休息を与えてほしい。
- TEXT :
- 加藤智一 美容ジャーナリスト
- クレジット :
- 撮影/西山輝彦 構成/加藤智一