日々の暮らしにおいてサステイナブルな意識を持つことは、ニューノーマルな時代にとても大切なことだ。クルマの世界でも作り手の意識改革はプロダクトに続々と反映されていて、スーパースポーツの世界からも、ひとつの回答が示された。2月17日(現地時間)に発表されたマクラーレン・オートモーティブの新型ハイブリッドスポーツモデル、「アルトゥーラ(Artura)」が、それだ。

スポーツカーに欠かせない軽さを巧みなエンジニアリングで実現

プラットフォームから新設計されたアルトゥーラ。価格は日本円で約2730万円から。
プラットフォームから新設計されたアルトゥーラ。価格は日本円で約2730万円から。

ハイブリッド専用の軽量ボディを開発し、そこにマクラーレン初となる3リッターV型6気筒ツインターボエンジンとモーターを組み合わせた「HPH(ハイパフォーマンス・ハイブリッド)」を搭載したのが、アルトゥーラ。システム全体での最高出力は680馬力、最大トルクは720N・mというスペックだ。これは同じマクラーレンのV8ツインターボエンジンにも匹敵するほどの最高出力となっている。

このパフォーマンスを生かしながらエコロジーなキャラクターを実現するため、今回の開発の重要ポイントとなったのが軽量化。レーシングカーとロードカーのエンジニアリングで培ったマクラーレンのノウハウを結集しただけあり、徹底している。

核となるアルミニウム製のV型6気筒エンジンは、他のマクラーレンのV型8気筒エンジンよりも50kg軽く、160kgと発表されている。

そして外部充電が可能なバッテリー(重量88kg)、モーター(同15.4kg)も搭載。重量増を最小限に抑えるため、電気系統で使用される配線までも重量を削減。HPHシステムの総重量は、わずか130kgだ。さらに、一見してマクラーレンと分かるスタイリングのボディには、カーボンファイバーとスーパーフォームド(成形)アルミニウムを多用。こうした軽量化によって、乾燥重量は1395kgに抑えられている。

先進の運転支援システムも装着可能!

4つのパワーモードを装備。Eモードではモーターで30km走れるという。
4つのパワーモードを装備。Eモードではモーターで30km走れるという。

マクラーレンのエンジニアリングの集大成とも言える軽量化は、走行性能の向上にも有利に働く。0~100km/hの加速は3.0秒、0~200km/hの加速は8.3秒、最高速度は制限付きながらも330km/hと発表されている。マクラーレン本来のハイパフォーマンスはまったくスポイルされていないうえ、WLTPの燃費値は5.5L/100km(約18.2km/ℓ)を達成しているところがすごい。

そうしてもう一点、オプションながらもマクラーレン初となるADAS(先進運転支援システム)も用意した。ストップ&ゴー機能付きインテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロール、車線内をキープするレーン・デパーチャー・ウォーニング、ハイビームアシスト、ロードサイン・レコグニションなどが選択できるうえに、このADASとインフォテインメントシステムは、常に最新のシステムが利用できるようにアップデートが行えるのだ。

スーパースポーツカーとしてのパフォーマンスを磨きながら、時代を見据えたアップデートも続けていくことは、たやすいことではないだろう。そうしてでき上がったアルトゥーラは、これからの時代に必要な、ラグジュアリーな精神を携えているといえる。世界最高峰のエンジニアリングを体感できる機会が来ることを、願うばかりだ。

ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,539×1,976×1,193mm
車重:1,395kg
駆動方式:MR
トランスミッション:8速AT
最高出力:500kw(680PS/7,500rpm)
最大トルク:720Nm/2,250rpm

問い合わせ先

マクラーレン

この記事の執筆者
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで「いかに乗り物のある生活を楽しむか」をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。