スポーツカーを持つのが夢、というひとは多いだろう。では、スポーツカーメーカーの夢はなにか。ひとつはレースに参戦して、ライバルを向こうに回して勝利することだ。たとえば英国のアストンマーティンは、創業いらい、そういうレース活動を通して名声を確立してきた。

F1のテクノロジーと市販スポーツカーの密接な関係

「AMR21」にはメルセデスAMGの「M12 Eパフォーマンス」1.6リッターV6ハイブリッドターボエンジンが搭載される。
「AMR21」にはメルセデスAMGの「M12 Eパフォーマンス」1.6リッターV6ハイブリッドターボエンジンが搭載される。
アストンマーティンのイメージカラーであるグリーンの塗色が特徴的で、「レーシングポイント」時代のメインスポンサーBWTのピンク色はストライプとして残る。
アストンマーティンのイメージカラーであるグリーンの塗色が特徴的で、「レーシングポイント」時代のメインスポンサーBWTのピンク色はストライプとして残る。
このコクピットに収まるドライバ−は、フェラーリから移籍するセバスチャン・フェッテルと、レーシングポイントからの残留となるランス・ストロール。
このコクピットに収まるドライバ−は、フェラーリから移籍するセバスチャン・フェッテルと、レーシングポイントからの残留となるランス・ストロール。

2021年初頭に、アストンマーティンラゴンダは、フォーミュラ1に参戦すると発表して、大きな話題を呼んできた。メンズプレシャスのサイトではあまり採り上げられないモータースポーツのトピックスであるが。

しかし、じつは量産車と関係がある。アストンマーティンラゴンダでエグゼクティブバイスプレジントおよびチーフクリエイティブオフィサーを務めるマレク・ライヒマン氏が、「F1の技術を、これからのアストンマーティンのミドシップ・スポーツカーに積極的に採用する」と話しているからだ。

じっさいアストンマーティンでは、F1で戦闘力のあるレッドブルレーシングチームとともに、次世代のスーパースポーツカー「バルキリーValkyrie」の開発を行ってきた。ミドエンジンの2シーターで、サスペンション、エンジン制御、変速機など、あらゆるところにF1由来の技術が採用されているのでは、とファンの熱い注目を集めるモデルだ。

これから登場するミッドシップスポーツカーに期待!

開発がほぼ最終段階というスーパースポーツ「バルキリー」。
開発がほぼ最終段階というスーパースポーツ「バルキリー」。
22年に発表を計画しているハイパースポーツカー「バルハラ」もミドシップ。
22年に発表を計画しているハイパースポーツカー「バルハラ」もミドシップ。
バルハラにも積極的にF1由来の技術が使われるという。
バルハラにも積極的にF1由来の技術が使われるという。

アストンマーティンとF1といえば、2017年から20年にかけて「アストンマーティン・レッドブルレーシング」はあった。ただしアストンマーティンの立場はあくまでもタイトルスポンサー。今回、「レーシングポイント」チームをベースに、「アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームAston Martin Cognizant Formula One Team」が作られた。そこでアストンマーティンが主体的にレース活動を展開。2021年シーズンからの参戦が決定している。

2022年なかばまでには、英シルバーストンにあるアストンマーティンのファクトリーをさらに1万8000平米強も増強した施設が完成するそうだ。

スポーツカーとしては、アストンマーティンでは、バルキリーのあと、バルハラValharaやあたらしいバンクイッシュVanquishなど、ミドシップになるスーパースポーツの開発計画が進行中。「F1マシンのような超スムーズな変速ができるギアボックスや、同様のハイブリッドシステムなどを市販車に盛り込んでいく可能性もあります」とはライヒマン氏の言である。

問い合わせ先

アストンマーティン

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。