便利な環境に慣れると、なかなか元には戻れないもの。クルマもそうで、人気のSUVに乗り換えると、普通のクルマがとても窮屈に感じられる。それならば、あえて多少不便な環境に身を置いてはどうだろう。そのぶん得られるものは大きいし、マイノリティであることを誇りに思うなら、なおいい。現在発売中のメンズプレシャス秋号では、我が道を行く男のクルマを徹底解説している。ぜひご一読を!
あえてクーペに乗るという贅沢
今、最も人気のあるクルマのジャンルは、間違いなくSUVだ。広く快適な室内は見晴らしがよく、走破性に優れ、しかも目立つのだから、売れて当然である。しかも、2018年にはプレミアム・スポーツカーブランドの「ランボルギーニ」からも、押し出しの強い新型SUV、ウルスが登場する。もはやこのジャンルは、かつての4ドアセダンに代わる、新スタンダードといっていい。
だが、こうも人気が集中すると、他人と被ることを好まないドライバーにはいささか難しい選択となる。逆に、誰も乗っていないクルマのほうが憂鬱感に浸れるのではないか、とさえ思えてくる。もしそんな考えを抱いているのなら、迷うことなくクーぺボディのクルマをおすすめしたい。
ドアはふたつで十分ですよ、旦那!
本日(10月27日)から続編が日本公開されるSF映画の金字塔「ブレードランナー」(1982年)において、ハリソン・フォード演じるデッカード捜査官は、屋台の親父に食事を注文するが、「ふたつで十分」とたしなめられる。結局、デッカードは我を通すのだが、クルマの話に戻せば、店主のいうとおり、ドアは「ふたつで十分」なのである! 4ドアセダンをベースにドライバーズカーとしての性格を強めたクーペは、いわば美しさだけを追求したクルマであり、SUVとは対極にある。しかも、装備は上級仕様なので、値段も4ドア版より高く設定されているのがほとんど。
そんなクーペの狭い後部座席と荷室に荷物を放り込んで、日常の足代わりとして、はたまた週末のグランドツーリングへと使い倒す……。これを究極の贅沢と呼ばずしてなんといおう。現在発売中のメンズプレシャス秋号では、この特別なクルマの魅力を徹底解剖している。ぜひ、手にとっていただきたい。
ちなみに、「ブレードランナー」でデッカードが注文していたのは丼物で、彼はどうやら海老の数にこだわっていたようだ。近未来(2019年の設定)のハードボイルドに登場するクルマ(捜査車両)は宙を浮く特異な形状をしているが、2017年を生きる孤高の男が乗るべきは、ドアがふたつのクーぺである。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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