ボルボがあたらしいピュアEV「C40 Recharge」を出すことを2020年3月初頭に発表した。SUVとハッチバックのいいとこどりといえるクロスオーバースタイルが特徴。ユニークなのは、販売はオンラインのみで行うということだ。

クーペではなくクロスオーバーの「C」

ボルボ車のアイデンティティを踏襲しているものの、ダミーグリルなどはピュアEVの特徴。
ボルボ車のアイデンティティを踏襲しているものの、ダミーグリルなどはピュアEVの特徴。
プラットフォーム共用するXC40とのつながりを感じさせるものの、こちらのほうが軽快感は強い
プラットフォーム共用するXC40とのつながりを感じさせるものの、こちらのほうが軽快感は強い

「2030年までにすべてのモデルをピュアEVにする計画」と述べるのは、スウェーデンのボルボカーズのホーカン・サムエルソンCEO。ボルボのピュアEVとしては「XC40  Recharge(リチャージ)」につぐ2台目のC40 Rechargeと、着々と計画が進行中ということだ。

C40 Rechargeは実車とみまがうデザインプロトタイプが製作され、ニューヨークシティとミラノ、そして「ボルボスタジオ青山」の世界3個所同時発表となった。青山通りに面した日本のボルボスタジオでは、ブルーのボディをもつ車体が、通行人を含めて多くのひとの注目を集めていたのが印象的だ。

ボルボにすこし詳しいかたなら車名の「C」はクーペを意味していたのでは、と思うかもしれない。新時代のボルボでは、Cはクロスオーバーを意味するそうだ。その皮切りがこのモデルである。薄く見えるルーフの前後長を多少切り詰めて、そのぶんリアハッチゲートを寝かすことで、クーペ的な印象をかもしだしているファストバックである。

アップデートはオンラインで

RechargeとはボルボではプラグインハイブリッドとピュアEVにつくサブネーム。
RechargeとはボルボではプラグインハイブリッドとピュアEVにつくサブネーム。
計器もフルデジタルとなる。
計器もフルデジタルとなる。

XC40 Rechargeと同様、前後に1基ずつのモーターを搭載する全輪駆動で、このクルマでは、ボルボはコネクティビティを飛躍的に向上させると謳う。グーグルとインフォテイメントシステムを共同開発。インフォテイメントシステムは、アンドロイドオートモーティブOSで動くことになる。

「スマートフォンがはまっているように使える」と、ボルボカージャパン広報担当者は言う。さらにスマート端末のように、インフォテイメントのアプリケーションの数かずのアップデートもオンラインで、さらにモーター出力も(テスラのように)オンラインでアップデートすることまで計画されているそうだ。

プロファイル(サイドビュー)は、オーソドクスで、奇抜さはない。フロントにはボルボ車の個性になっているT字を橫に倒したような「トールハマー」ヘッドランプや、C型をモチーフにしたというリアコンビネーションランプの意匠は継承。それでもヘッドランプは多数(84個という説もある)のLEDを使ったマトリックスタイプとして、より走行安全性を高めるなど、しっかり”進化”している。

サブスクをアレンジして販売

C40 RechargeもXC40 Rechargeも世界的にオンラインのみの販売となる。
C40 RechargeもXC40 Rechargeも世界的にオンラインのみの販売となる。

生産開始は2021年秋といい、日本でもほぼ同時期に発表される予定とボルボカージャパンの広報担当者は話す。納車は22年早々だそう。日本でもオンラインで販売するという。

「最初の100台は、弊社のサブスク(サブスクリプションサービス=残価設定などをして毎月定額で決まった期間クルマに乗る契約形態)をアレンジしたかたちでは対応します。通常の契約は3年とかの設定ですが、C40  Rechargeでは、当初は3カ月以降、契約を終了できるようにするつもりです」(広報担当者)

価格は現時点では未定。入っていく市場は「プレミアムEVのセグメント」とボルボではしているものの、XC40 Rechargeを参照すると、全長はおそらく4.4メートル程度になるだろう。アウディe-tronやポルシェ・タイカンといったドイツ製プレミアムSUVとまっこうからぶつかるのは、こののち登場するより大型のピュアEVになりそうだ。それも楽しみである。

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。
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