毎日オフィスに通うという生活から、家で過ごす時間が増え、働き方や暮らし方そのものが変わった今、「リーダー」に求められるものも大きく変化しています。
最新『Precious』4月号では、特集「変化の先に続く新しい日々は、ジャケット、ドレス、ときどきスニーカー」にて、女優・西田尚美さん演じる新しい時代の女性リーダー像をご紹介すると共に、キャリア女性たちへのインタビューを掲載しています。
今回は、「ショーメ」のジェネラル・マネージャー、蒲谷直子さんにお話を伺いました。
きっと、多くの部下をもつプレシャス世代の女性たちが、次に目指すべきひとつのお手本になるはずです。
エレガンスとは「人に敬意を払う」こと。それこそが、新リーダーの素質と考えます
時代がドラスティックに変化している今、リーダーに必要とされているのは「多様性に対して理解を深める姿勢」だと感じています。
今はいろいろな人がさまざまな価値観をもち、その意見を個々で発信できる時代。
だからこそ引っ張るのではなく、さまざまな価値観を受容する。「ついてきて」と背中を見せるのではなく、「どう思う?」と耳を傾ける。そんなリーダーが求められていると思うのです。
私自身、自分への諫めとして「違和感」をとても大切にしています。
例えば人は、自分の常識を超えた意見を「それは違う」と排除してしまいがちですよね。でも一瞬立ち止まり「どういうこと?」とその声をすくい上げてみる。するとその先に、自分だけでは決してたどり着かなかった、新しい世界が広がっていることがあります。異なる価値観は、未来の扉を開く鍵となりうるのです。
すると大切になってくるのが、有機的なチームづくりです。ご存じのとおり、今の世はあまりに複雑。だからこそ自分にないものをもっている、足りないものを補ってくれる、そんな優秀な人々を頼り、共に歩むことが、仕事と人生を豊かにするのではないでしょうか。
そのために内外のネットワークを広げることはもちろん、才能溢れる人々が夢を見られる、そして能力を発揮できる環境を整えることも、リーダーの役目だと感じています。
そしてエレガンス——。私はそれを「相手に対して敬意を払うこと」だと理解しています。美しく装うのも、上品に振る舞うのも、相手を大切に思っているから。
そんな愛に溢れ、調和のとれた佇まいは、場を和やかにし、人をリラックスさせてくれます。するとお互い心が通じ合い、本音を語り合いやすくなるのです。それこそが多様性への理解、有機的なチームづくり、そして最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることにも繋がっていくのではないでしょうか。
最近のリーダーシップ論では「心理的安全性」という言葉がよく使われます。この「安心感の醸成」こそがエレガンスの極み。そして、新時代のリーダーシップに必要なものではないか。そんなふうに考えているのです。
- PHOTO :
- Getty Images
- WRITING :
- 本庄真穂
- EDIT :
- 喜多容子・古里典子(Precious)